『リトル・ミス・サンシャイン』アビゲイル・ブレスリン、『スティルウォーター』の役作りで刑務所へ

『オデッセイ』『ジェイソン・ボーン』のマット・デイモンが主演を務めるサスペンス・スリラー映画『スティルウォーター』。本作で難役に挑んだアビゲイル・ブレスリン(『リトル・ミス・サンシャイン』)のインタビューが到着した。

『スティルウォーター』は、第88回アカデミー賞で作品賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』のトム・マッカーシー監督の最新作。仏マルセイユを舞台に、殺人罪で捕まった娘の無実を証明するため、父親ビルが真犯人を探し出すというサスペンス・スリラーだ。

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2006年公開の映画『リトル・ミス・サンシャイン』のオリーヴ役で全米映画俳優組合賞および英国アカデミー賞の最優秀助演女優賞にもノミネートされたアビゲイル・ブレスリン。その後、『幸せのレシピ』、『ソンビランド』シリーズ、『マギー』、ドラマシリーズ『スクリーム・クイーンズ』に出演するなど着実にキャリアを重ね、本作でマット・デイモン扮するビルの娘アリソンを演じる。

アリソンはフランス留学中、ガールフレンドのレナを殺害したとして長期の刑期を言い渡されるが、一貫して無実を訴え続けるという難しい役どころ。そんなアビゲイルに、本作の役作りについて聞いた。

――役を演じるにあたり、どのような取り組みをしましたか? 彼女は5年間も監獄という状況下にいます。若い人間の肩にのしかかる負担としては非常に重いものですが。

想像しようと努力したことの一つは、来る日も来る日もあの場所にいることが人を大いに消耗させるに違いなく、孤独や絶縁を感じるはずだということです。それが理由で、化粧は一切しないことを心掛けました。彼女は刑務所を出ること以外、何も気にしていないんです。演じるにあたって、刑務所に実際に入った経験のある人と話す機会を多く持ちました。そして実際に刑務所に行き、自分が暮らすであろう場所も見ました。なぜなら本作でアリソンが監房にいるシーンは描かれないからです。一番難しかったのは、彼女のそういう状況を観客に感じさせることでした。

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――長期間刑務所に入っている場合のものの見方について、考えなくてはなりませんでしたか?

初日に刑務所へ行ったとき、そこでの平均的な1日がどのようなものになるか、説明してもらいました。刑務所に入るやいなや、パスポートを渡さないといけないんです。彼らは何も起きてほしくないと思っているから。おのずと恐ろしさを覚えました。

看守たちは私を監房に連れていき、中に入れ、監房の扉を外から閉めるところまで見せてくれました。そして、付き添って歩く方法や、面会室までどれくらい歩くか、面会室に着いたら看守が私に何を言うか、刑務所でのルーティンは何か、屋外で過ごせる時間はどれくらいか、などといったことを説明してくれました。それは、かけがえのない貴重な体験でした。

――本作への参加は、人生を変える経験になりましたか?

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これまでとは全く違った経験だったんです。フランス製作の作品に関わるのは初めてでしたから。フランス人のクルーがたくさんいて、私はフランス語を流暢に話せないので、何が起きているか、いつも少し戸惑っていました。

病院のシーンでは、みんなフランス語で話していて、私はみんな演技をしていることは分かっているんだけど、恐怖を感じました。それは間違いなく、私にアリソンの気持ちを感覚的に体感させる経験でもありました。

悲劇が起きる前、アリソンがマルセイユにいた期間はたぶんそんなに長くはいなかったと思います。だから、翻訳の過程で迷子になる瞬間がたくさんあるんです。でも、とても楽しかったです。マルセイユ以外の場所での撮影は想像できません。なぜならマルセイユという場所自体が本作で大きな個性を発揮しているから。とても興味深く独特な都市なので、そこで撮影しないということは考えられなかったです。

娘の無実を証明するため、異国の地で真犯人を探す父。真実にたどり着いたその時、彼は苦渋の決断に迫られる―。映画『スティルウォーター』は、1月14日(金)よりTOHO シネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国公開。(海外ドラマNAVI)

Photo:

『スティルウォーター』© 2021 Focus Features, LLC.

配給:パルコ ユニバーサル映画