『ウォーキング・デッド』製作陣や出演者が一同にそろっての記者会見で、出席者の口から飛び出したコメントのなかで、とくに興味深いものを以下に紹介しよう。
――リック、ロリー、シェーンの三角関係は、シーズン2でどのような方向をたどるのか、ネタばれにならない程度に教えてください。
フランク・ダラボン(製作総指揮):とても強烈なことになるよ。シーズン1では、次のシーズンで待ち受ける出来事の地固めをしたんだ。緊張や衝突が待ち受けている。
ロバート・カークマン(原作者):あまりくわしいことは言えないけれど、大きな重みが人間関係にのしかかってくるんだ。物語が進むにしたがって、登場人物の衝突は緊迫感を増していくことになるだろう。
サラ・ウェイン・キャリーズ(ロリー役):演じる側の視点から言わせてもらうわね。シーズン1の最後、ロリーにとって最も恐ろしかったのは、夫の友人であるシェーンに「君を愛している。君も僕を愛しているはずだ」と言われたことだった。シーズン2に取り組むにあたっては、自分の行い(夫の不在中にシェーンと関係をもってしまったこと)がもたらした可能性と、その末路に向けての恐怖が、ロリーの役作りの取っかかりになっているの。
――もし自分がゾンビにかまれたらどうしますか? 治療法を探しますか、それともあきらめて放置しますか?
ロバート:以前から言っていることなんだけど、僕ならゾンビになるがままにまかせる。映画ではよく、ゾンビにかまれた人が「ああ恐ろしい。ゾンビになりたくない!」と叫んで自ら命を絶ったりするけれど、そもそも、ゾンビになるのはどういうことなのか、わかっていないんだよね。彼らの目から見た世界がどういうものか、どんな味覚があるのか......。もしかしたらゾンビにしてみれば、ドーナッツを追いかけているだけかもしれないじゃないか(笑)。彼らの目にはそこら中に虹が見えているかもしれない。
――ゾンビの特殊メークをはじめとする特殊効果に、本作ではどのように取り組んでいますか。
グレッグ・ニコテロ(特殊効果/共同製作総指揮):この番組ではありがたいことに、シーンが必要とする手法を採用させてもらえる。例えばシーズン1の序盤で、上半身だけのゾンビが出てきたのを覚えているかい? 自転車のそばにいたので、僕らはあのゾンビを「自転車の女性」と呼んでいるんだけど、両足はデジタル処理で消しているんだ。また、リックが街路で12体のゾンビを撃つシーンでは、血の飛び散るさまをCGIで処理している。いずれも製作現場の事情として理にかなったことだよ。『スターゲイト』で視覚効果を担当したスタッフは、血の特殊効果などで素晴らしい成果を見せてくれた。
ロケ地で僕は500人のスタッフとともに、午前3時に起きてゾンビの特殊メークを始めていた。シーズン1が終わったあとは自分自身にメークをほどこして、改良点を考えるのに没頭していた。その甲斐あって、シーズン2のメークの仕上がりには本当に満足している。見たこともないものを視聴者が楽しめるよう、ありとあらゆる方法を用いているんだ。まだ明かせないけれど、すごい場面を脚本家たちが書いてくれたので、フランクと僕は5か月も待ちきれなかった。昨年と同じチームが全員復帰しているのもうれしいね。人手はやや不足しているけれど、昨年の経験から大いに学び、腕を上げている。第4話の作業をしている今の時点で累算すると、これまでに900体のゾンビを手がけたんじゃないかな。今後もっと手がけることになるだろう。
――出演者のみなさんに質問です。自分の演じるキャラクターが殺される心配はありませんか?
サラ:『ウォーキング・デッド』という作品に出たら、肝っ玉が据わるのはたしかね(笑)。
ノーマン・リーダス(ダリル・ディクソン役):毎日心配してるよ(笑)。
スティーブン・ユイン(グレン役):仕事として見たら、たしかに自分の役が殺されてしまうのは悲しいし、恐いよ。でも、これはシェーン役のジョン(・バーンサル)が言っていたことだけど、出演料の額とは関係なく、最高の仕事をしているという自覚が僕らにはある。出演者のみんながそう思っているはずだ。次のステップにもなるのはもちろんだし、もともとこういう仕事を僕らは求めている。乗り心地のいい飛行機で移動するとき、機内上映の映画をぼんやり見ていたってかまわないのに、みんな一心不乱に台本を読んでいる。それだけ真剣なんだ。毎日毎日、この現場にいられることをありがたく思っている。
ローリー・ホールデン(アンドレア役):私のとなりに座っている人(ジョン)は、コミックよりずっと長生きしているのよ。
ジョン・バーンサル(シェーン役):うん。コミックでは自分の出番を読み終わるまで、あまり時間はかからなかった(場内爆笑)。それはたしかに悲しくて恐ろしかったよ。でも、スティーブの言うとおりだ。この番組に出られることと、みんなと一緒にいられることがうれしい。僕ら俳優は物語においては、いかようにでも動く兵士(ソルジャー)みたいな存在だ。自分の役が殺される心配はあっても、自らを捧げて受け入れるしかない。それが僕らの生きようとしている世界なんだから。
ロバート:いいこと言うね。
――ゾンビになるときの演技のコツを教えてください。
ローリー:え? 私たちは誰もゾンビになっていないわよ。
――いえ、可能性としてです。
スティーブン:うーん、左足を引きずって歩くこと?
グレッグ:違う違う、(記者に)真に受けないように(笑)。
サラ:「苦痛」と「飢餓感」を表現することかしら。この番組ではゾンビ役を演じる人たちのために、グレッグが講習もやっているのよ。
ジョン:ゾンビ役の人たちはすごいよ。スティーブ、君のスタントダブル(スタントシーンで起用される俳優の代役)が演じたゾンビの名前はなんていったけ?......そう、○○○だ! こいつの出てくるシーンは楽しみにしてほしい。特殊メークは手間がかかっているし、おぞましい外見にピッタリの演技を見せてくれる。ゾンビをやりたがる人は大勢いるけれど、見かけほど簡単じゃないんだ。
サラ:えーとそれじゃ、ネタばれしないように言いなおそうかな......。
ジョン:え、なにかいけないこと言った?(共演者たち苦笑い)
サラ:私たちのスタントダブルもゾンビを演じているの。
ジョン:あー!(やっと気がつく) そうだね、そうそう。
アンドリュー・リンカーン(リック役):そういえば義理の兄がセットに来て、ゾンビの特殊メークをしてもらったことがあったな。夕方の4時に僕のところに戻ってきて"こんなことを毎日やってるのか? すげえな!"と喜んでいた(笑)。
グレッグ:メーク用の装具とコンタクトレンズをつけて、血まみれの重い衣装を着ていると、とても歩きにくいけれど、ゾンビになりきるうえでは役に立つんだ。つまずいて「いいね今の!」と言われたエキストラが「え? なにかした?」と、きょとんとしていたこともあった。「目が見えない。ねばねばして気持ち悪い」と不平を漏らすエキストラがいたら、「俺だって前シーズン中に2回ゾンビになったんだ。みんなに笑われたんだぞ」と答えることにしている。パイロットエピソードの撮影時には、ゾンビの群集の中にゾンビらしからぬ目線を送るけしからんやつがいてね。モニター越しに目を凝らして、そいつを見つけては「注意してこい!」とスタッフに指示していた。ところが、スタッフが違うゾンビをつかまえてくるものだから撮影が手間取ってしまってね(笑)。
――シーズン2はホラーとしてさらに激しい描写が期待できますか?
フランク:いつも手加減はしていないので、シーズン1と比べてどうこうということはないな。そのときそのときに適したアプローチを心がけているだけだ。でも新鮮さを保つために、新しい手法を模索しているのはたしかだ。視聴者の趣味は変化している。私は今52歳だけど、子供時代はホラーとか、SFとか、ファンタジーは見下されていたものだった。『スパイダーマン』は当時、土曜の朝の子供向けアニメにすぎなかったが、いまや大予算をかけた映画が世界的にヒットしている。素晴らしい時代に生きていると思うよ。
――視聴者へのメッセージをお願いします。
一同:ありがとう!
ローリー:シーズン2もぜひ見てください。
サラ:私たちは本当にこの作品での仕事を愛しています。朝目が覚めて、ここにいる人たちと一緒に仕事ができることは、最高に幸運なことですよ。世の中には、仕事が大好きでも誰にも気にかけてもらえないということはあるけれど、この作品をみなさんに見てもらうことで、私たちは今後もっと力を注ぐことができる。本当に心の底から感謝しています。
フランク:そういえば、サラはゾンビ嫌いが治ったんだってね。
サラ:ええ、前は怖くてしかたなかったけれど、今シーズンでは怖い夢を見なくなりました。
フランク:ワオ、それはかえってよくないな。また悪夢を見てもらわないと(笑)。
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最後に、シーズン2の第2話までを見た筆者の所見を記して、コラムを締めくくることにしよう。熱烈なファンが最も気にしているのは、フランク・ダラボンが本作のショーランナー(脚本総指揮)の座を降りたことが、番組にどう影響するかということだろう。
この異動はコミコンの直後に明らかになったものだが、記者会見やコミコン会場で行われたファン向けのパネルトークで、本人はおくびにも出していなかった。会見の席に居合わせた記者たちも、のちの報道にビックリしたというのが実情だ。一部の報道によると、ダラボン自身も当初は自分が降ろされることを知らず、パネルトークが終わったあとでAMCから通達されたのだという。
たいへん残念なニュースだったが、シーズン2製作半ばまで彼がショーランナーとしてかかわっていたことから、今シーズンのロードマップは本人のビジョンにしたがって描かれているのは間違いないだろう。また、ダラボンと同じくゾンビに深い愛着を寄せるグレッグ・ニコテロが、シーズン2にあたって共同製作総指揮に昇進している(ダラボン自身も製作総指揮のクレジットは維持している)。そして、ダラボンの後任となるグレン・マザラ(『ザ・シールド ~ルール無用の警察バッジ』)のもと、撮影スタッフと出演者たちが意気を高めていることも伝えられている。
それらを反映してか、少なくともシーズン2の序盤では、シーズン1にみなぎっていた緊迫感がいささかも衰えていないので安心していただきたい。物語は、主人公リックの一行がアトランタ市の疾病予防管理センター廃墟をあとにした、前シーズンのラスト直後から幕をあける(これは「シーズン2のお話は半年後からスタート、なんてくだらないことはやらないからな!」と、ダラボン自身がパネルトークで請け合っていたとおり)。しかも第1話のしょっぱなから、恐怖と緊張をあおる素晴らしいセッティングで、ゾンビの群れにおびえる登場人物たちの姿が描かれるのだ。これからも、ゾンビファンにとっては至福の数か月が待ち受けていることを期待しよう。
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Photo:フランク・ダラボン、ノーマン・リーダス、ローリー・ホールデン (c)Kazumi Nakamoto / www.HollywoodNewsWire.net/(c)TWD productions LLC Courtesy of AMC