「ここまでやるか！？」というのがこの番組を見た、第一印象だ。
SHOWTIMEという映画／ドラマ専門チャンネルが送るホームドラマは、型破り。英国で9シーズンも続く人気ドラマを『ER』のプロデューサーが大胆にリメイク。面白くならないわけがない。
主演に『ファーゴ』や『マグノリア』等、映画界で尊敬を集めてきたウイリアム・H・メイシー。彼が演じるのは仕事もせずに飲んだくれる父親。6人の子供たちに囲まれて生きている。今にも崩れそうな、脆いダメ男を演じさせたら彼に右に出るものはいないだろう。
長女役には『ミスティック・リバー』 で殺されてしまう娘、『デイ・アフター・トゥモロー』で自然災害を乗り切って生き延びるヒロインを演じ、印象深かったエイミー・ロッサム。酔いつぶれて、眠っているばかりの父の代わりに、バイトで稼ぎ、弟たちとの生活を支えている。ここでも彼女は"問題を乗り切って生きるヒロイン"だ。
他にも、キャメロン・モナハンやジェレミー・アレン・ホワイトといったティーンの俳優たちがギャラガー家の面々を演じて大活躍している。
誰も憧れないであろう、中流よりもやや貧しい家族の姿を、俳優陣は体当たりで演じている。酒、SEX、ドラッグ、同性愛...あらゆる問題を抱えながら生き抜くこの一家には、なぜか温かな空気があり、魅力的に描かれているのが特徴だ。とにかく芸達者なキャスト陣の、チームワークの賜物だろう。「えっ！ エイミーがここまでやるの！」「あら、弟はこんなことになっちゃってんの！？」という、テレビとは思えない生々しい表現に、僕は目を丸くした。この俳優たちの思いきりの良さと製作陣たちのタブーをタブー視しない心意気は、現在の日本のTVドラマの中には見られない類いのもので、一見の価値がある。
さらに特筆すべきは、この一家の生活をリアルに表現している小道具と美術だ。物が溢れんばかりに散らばった生活感を、肌で感じさせてくれるかのようなギャラガー家のセットは、見事というしかない。このセットをとらえる撮影の光も良し、そしてガンガン動き回るエイミーや弟たちをどこまでも追いかけるカメラワーク、そしてそのスピード感を倍増させるかのような巧みな編集。1ショット、1ショットが楽しいのだ。なるほど、これは家庭版『ER』なのかもしれない。
このドラマの面白さを、言葉で表すのは難しい。あえて一言でいうなら、『チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ』のような爆笑のシットコムをセリフのやりとりの面白さだけでなく、赤裸々な生活の裏の裏（金持ちと貧困層という設定の違いはあるが）まで全部見せ、良質の連続ドラマに仕上げたら、こんな型破りなものになるんじゃないかな...という感じか。
とにかく、見モノです！
☆『シェイムレス 俺たちに恥はない』は、
WOWOWプライムにて、1月5日（木）23：00スタート 毎週木曜23時OA！
※第1話は無料放送
(c) Warner Bros. Entertainment Inc.
