≪【前編】はこちら!
体調不良を押してインタビューに答えてくれたのはカート役のクリス・コルファー。
――カートはグリー部一のファッショニスタなわけですが、オシャレなカートを演じていて影響を受けることは?
それは絶対に無いね。全くないよ! 僕はファッションについては何も知らないし、興味を持ったことも無い。カートが着るような服は、ホントはすごく恥ずかしいんだよ。衣装合わせの時も、鏡を見て「本当にこれ着るの?マジで?」と言って衣装係の人たちを見るんだけど、彼女たちは「あら???、すっごく完璧よ!?」なんて言っているんだよ。だから僕も「OK。君たちの方が良く分かっているんだろうからね」と言って観念するんだ(笑)。
でも、そういう服は僕に勇気をくれるみたいなところもあるね。何百万人という人が、僕がものすごくとんでもない服を着ているところを観ているわけだから、僕が実生活で着るものは何てこと無いと思えるようになるからね。僕が実生活で着るものは、まったくどうってことのない服なんだ。
――ではあなたが一番関心があることは?
僕はストーリーというものに関心があるんだ。TVや映画、本が大好きで、書くことも大好きだよ。何であれクリエイティブで居ることが好きなんだ。笑うのも大好きだし、とても良い作品を観ている時には泣くのも好きだよ。それと、僕は現実逃避的な作品が大好きなんだ。現実から逃避して、自分の名前も忘れてしまうほど、どっぷり浸かり込んでしまうのが好きなんだよ。
例えばTVなら前は『デスパレートな妻たち』に夢中だったよ。というのは、(興奮したような声色になって)誰があの手紙をメアリー・アリスに書いたのか、知りたかったからっ!(笑)。ああいう人の心をつかんで放さない作品だったらどんなものでも好きだよ。今だったら、『アメリカン・ホラー・ストーリー』とか『ナース・ジャッキー』、あとは『Real Housewives of Atlanta』とかの番組が好きだよ。
――カートは番組でも1、2を争う人気キャラクターだと思うんですが、その分あなた自身と同一視されがちだと思うんですが、そういう部分についてはどう対処してるんですか?
確かに若い子たちやティーンエージャーの視聴者たちの中には、時として現実をフィクションから切り離すことができない人がいる。でも僕とカートはすごく違うから、ちょっとイライラすることもあるよ。僕とカートは似ているところもあるけれど、ほとんどの部分で僕たちはすごく違うんだよ。僕が道を歩いていると、「とても素敵よ!」なんて声をかけられるんだけど、僕は「ああ、違う、違う、カートは素敵だけど、僕はジーンズとTシャツを着ているその辺の男の子と変わらないんだよ」と返事するし、「ヘイ、ガール!」なんて声をかける人たちも居て、僕は「ヘイ、ガール!なんて言わないでくれよ!」って感じになる。
カートはこの国のゲイ・コミュニティの広告塔みたいな存在になっているものだから、僕のところにやって来て「あなたがゲイ・コミュニティのためにしてくれたことに感謝します」なんて言われることもある。でも僕は「それは僕じゃなくて、脚本家たちのしていることなんだ。それは僕たちが創り上げたカートというキャラクターがしていることであって、僕はただ彼に似ているだけなんだよ」と言いたいんだ。
番組当初は線の細い少年といった雰囲気だった彼ですが、3年が経ち、だいぶ大人の男性という印象が強くなっていたクリス。若くても自分の意見をしっかり持ち、とても知的。そして実際の彼はドラマで見るよりはるかにセクシーでした。
インタビュールームに入ってくるなり、「ニホンゴ、スコシ、デキマス」と日本語で話しかけてきたのはブレイン役のダレン・クリス。お父さんが日本に住んでいたことがあるとかで、ちょっとだけ日本語ができると話していました。
――ブレインとあなた自身の共通点はどこですか?
ブレインも僕もパフォーマンスを楽しむというのは確かだし、避けられない類似性はあるよね。僕がブレインを楽しんで演じているのは間違いないけど、ブレインの方が僕よりもパフォーマンスにハマっちゃっていると思う。僕自身はみんなで一緒に集まったり気持ちを交わし合ったりする活動を楽しむんだ。
僕がパフォーマンスに魅かれるのは個人の努力といったことではなく、みんなで共有できる事なんだよね。個人的利益の追求などに邪魔されることなく、みんながひとつにまとまるようなエンターテイメントに参加するのが大好きなんだ。コミュニティやグループがカタルシスを感じられるようなエンターテイメントにね。ブレインが同じように考えるのかどうかはわからないけれど。あとは、少なくとも僕は彼のような髪型にはしないと思うね。それが彼と僕との最大の違いかも。
――それは、彼の髪型があまり好きじゃないってことですか?
うん、全然好きじゃない。ブレインは、髪型に関しては臨床的に正気ではないと思うよ(笑)。髪型の好みは僕とすごく違う。でも、だからといってバカにしているわけではないよ。僕が自分の演じているキャラクターと違うというのは良いことだし、ラッキーだと思う。俳優として、自分が演じる役と関連性が薄いのはありがたいことだからね。
この番組に出演している他の俳優たちにとっての落とし穴は、視聴者が彼ら自身と彼らが演じている役を同一視してしまうことだろうね。それが真実とはほど遠い事だったとしてもね。でも僕はブレインとは違って見えるから、そうならずに済む自由があるんだ。僕の髪型は違うし、普通はヒゲも剃らないし、振る舞いも違うからね。
――カートのために嫌な思い出のあるプロムにも出るし、転校もするブレインはかなり尽くすタイプだと思うんですけど、実際のあなたはどうでしょう?
うん、僕もブレインが尽くし型だというのには100%同感だ。その点は僕も同じだと思う。これまでの人生の中で、僕も人のためになることをしてきたから。僕は他の人のために役立つ事をすることでワクワクした気持ちになるんだ。今居るような立場になれたことはとても幸運だと思うけれど、僕が一番大事だと思っているのは、他の人たちのために何か役立つようなものを創りだすことなんだ。
もちろん僕もいつの日か、まだまだ遠い日になると思うけれど、家庭を持ちたいと思っている。愛する人のために尽くしたいという点では、僕とブレインは心が通じ合っているように思う。それに僕はカートも尽くし型だと思っているよ。だからこそ、二人はカップルとしてすごく上手くいっているんじゃないかな。彼らは、互いに尽くし合っているし、互いから学べるという点や、常に相手の性格によって元気づけられているという点で、彼らは支え合っているんだと思うよ。
「自分は運が良かった」としばしば口にしていたダレン。今の人気におごることなく、「人の役に立ちたい」「みんなと何かを共有したい」というオープンで謙虚な姿勢がまた周囲を魅了するんだろうなー、とつくづく感じました。
最後はスー先生を演じているジェーン・リンチの登場です!
――あなたが演じているスー先生というのは、学園の暴君であると同時に少女のような一面も持っている、すごくギャップのあるキャラクターだと思うんですが、そういうキャラクターを演じる一番の楽しみというのは、どんなところなのでしょうか?
複雑なキャラクターにしてくれたからこそ、演じるのが楽しいのよね。彼女は、悪くなろうと思って悪役になっているわけではないの。彼女は優しい気持ちの持ち主なんだけど、意地悪になることによってその優しさを守っているのね。それが彼女がどういう人間であるかということを理解する鍵みたいなものなのよ。彼女はずっと前に、自分の優しさを守るため、彼女がそれまでかばい続けてきた姉を守るために、戦士にならなければいけないと心に決めたの。だから彼女は自分にとっての軍服であるあのジャージを毎日着ているわけ。争い事が見つからない場合は、自分で争い事を作り出すのよ。だから彼女を演じるのは大好きよ。とってもオイシイ役だから。
――スーを演じる上で実生活でモデルになったような人物はいるんですか?
ええ、いるわ。大学時代にそういう先生が居たの。彼女は演劇科の教授で、私たちは「dragon lady(意地悪女)」と呼んでいたわ。彼女は恥と屈辱を利用して、教え、舞台を監督していたんだけど、それってまさしくスーがやることよね。私たちは彼女が自分に注意をはらってくれることを願っていたと同時に、彼女が自分に気づいたらそれはそれで怖いと思う気持ちになっていたものよ。でも、彼女は普通なら気まずくなるような瞬間に、自分自身や自分が周囲に与えている影響について、素晴らしいユーモアのセンスを発揮したの。私はそんなところが理由で彼女が大好きだった。
でも、私はみんなに聞かれるまで、自分が彼女をスーの鋳型として使っていたことに気がついてなかったのよ。彼女には独特の雰囲気があって、彼女にも軍服にあたるようなものがあったの。彼女の場合は、ウールのショールを肩にかけた格好だったんだけど。彼女は大柄でもあったわ。身長が6フィート(183cm)ぐらいで。私もそれぐらいの背だけど。ということで、私が彼女を参考に使ったのは確かね。
――これまでのエピソードでは、スーにぴったりな恋のお相手が現れていないんですけど、今後、現れるとしたら、どのような男性が合っていると思いますか?
スー・シルヴェスターを従順にさせるためには、大きくて頑丈で、ほとんど虐待するような人間で(笑)、女性らしさとか女性たちを尊重しないような男性になるのかしら。いずれにせよ彼女の中核部まで揺さぶれるような、彼女が身につけている鎧も貫き通してしまうようなパワーのある人ね。願わくば、善い人であることがわかるような人が良いけれど、スーはまるで悪夢のような人間を惹き付けてしまうのかもしれないわね(笑)。彼女にとって理想的な男性は、彼女の鎧に恐れをなすこと無く、鎧を突き破って優しい心に到達することのできる人だと思うんだけど、そのような人はまだ見つかっていないのよね。
ドラマでは誰もが恐れる暴君を演じているジェーンですが、実際はとても優しい人でした(笑)。そしてとってもエレガントな美女! で思わず見惚れてしまいました。ちなみに美容法を聞くと「お酒もタバコもやらないからかしら。あと毎晩乳液はつけるわ(笑)」とのこと。その乳液も「お金はかけないわよ! その辺のドラッグストアで買えるものよ」と、気取りのなさも素敵でした。
以上、『Glee』撮影スタジオ潜入記でした!
シーズン3もそれぞれのキャラクターの個性と個性がぶつかりあって、ますます楽しくなりそうですね!
Photo:クリス・コルファー (c)Manae Nishiyama/www.HollywoodNewsWire.net ダレン・クリス (c)Ima Kuroda/www.HollywoodNewsWire.net ジェーン・リンチ (c)Yoko Maegawa/www.HollywoodNewsWire.net