【お先見!海外ドラマ日記】帰ってきたドーソンが笑わせるシットコム『23号室の小悪魔』

全国の海ドラファンの皆さん、こんにちは。新緑の季節をいかがおすごしですか?
アメリカでは、5月はドラマのシーズン・フィナーレのラッシュ。昨年秋から続いたドラマ、今年になって始まったドラマの多くが、今月シーズン・フィナーレをむかえました。

最近のお気に入りは、5月27日に日本に上陸したシットコム『23号室の小悪魔』(原題:Don"t Trust The B--- in Apartment 23)。北米では4月にABCでシリーズデビューして、シーズン1の最終エピソードとなる第7話の放映が終わったところですが、今年始まったシットコムの中で一番面白いと思います。

メインキャラは、20代の女の子二人。アメリカ中西部の田舎から憧れのニューヨークに職を得て意気揚々とやってきたジューン(ドリーマ・ウォーカー『ゴシップ・ガール』『グッド・ワイフ』)は、いきなり会社が倒産して職なし、家なしになってしまいます。そのまま田舎に帰るわけにも行かず、とりあえず住むところを探して、行き当たったのがクロエ(クリステン・リッター『ブレイキング・バッド』)の住む23号室のアパート。おしゃれで感じのよいクロエとアパートの部屋をすっかり気に入ったジューンは、クロエに関するよくない噂をアパートの隣人から聞きつつも背に腹はかえられぬと、そこでルームシェアすることにしたのだが...。

このシットコムに欠かせないキャラが、ジェームズ・ヴァン・ダー・ビークが演じる本人。ヒロイン、クロエの元カレで今はベストフレンドとして登場します。『ドーソンズ・クリーク』(1998~2003年)で、映画監督を目指して目を輝かせて夢を語るドーソン少年を演じたジェームズも、今や35歳。立派な2児のパパです。『ドーソンズ』の共演者が、トム・クルーズ夫人となったり、オスカー候補の実力派女優になったり、人気ドラマの主役になったりと目立った活躍をするなか、『ドーソンズ』以降、そんなにパッとしない印象が否めないジェームズ。もちろんコンスタントにTVドラマや映画に出演し、確実にキャリアを積み上げてはいるのですが、今ひとつ大きな話題になりませんでした。

でも、この『23号室の小悪魔』では、かなりイケてます。セレブは、自己愛が強くナルシストな人が多いというイメージがありますが、ジェームズはそれを巧みに演じています。街では、未だに「『ドーソンズ・クリーク』見てたよ」とか「ドーソン!」などと声かけられて、それにはウンザリしながらも愛想良くふるまうという、『ドーソンズ・クリーク』の呪縛から抜けられない俳優のセルフパロディが笑えます。『ドーソンズ』では、いい子すぎて面白くないドーソンよりも、ジョシュア・ジャクソン演じるペイシーの方が好きでしたが、『23号室の小悪魔』のジェームズはおもろい! すっかり見直しました。相変わらず顔長いけど(笑)。

あるインタビューによると、ジェームズは俳優ならではの経験や小ネタを同コメディのライターたちとよく話しているのだとか。ネタを提供しているジェームズ自身も、実はなかなかのファニーガイのようです。ウィル・フェレルの主宰する「Funny or Die」というコメディビデオ・サイトに投稿されているジェームズのビデオ、笑えます。興味のある方はぜひ見てみてください。

『23号室の小悪魔』は、そのキャラの設定やプロットにリアリティがあるとは言えませんが、都会育ちでストリート・スマートなクロエと、田舎育ちで正義感が強く真面目な優等生タイプのジューンの対照的なヒロイン二人のかけあい漫才みたいなテンポのよい本音ガールズトークには、妙な生々しさがあります。そこにジェームズや、レズっ毛のある隣人、向かいのビルに住む変態のぞき魔らが加わり話を盛り上げるのですが、その笑いは徹底してドライ。そしてあっぱれなほど、バカバカしい。下ネタも多分に入った、突き抜けたバカバカしさがこのシットコムの魅力です。

このほど、北米でシーズン2のリニューアルが決定しました。パーティガールのクロエに翻弄されつつ、どうにか定職を見つけてニューヨークに住み続けようと奮闘するジューン、また二人の関係がこれからどうなっていくのか見物です。ジェームズがツイッター(フォロワー約15万人)で、次のシーズンでは誰にゲスト出演して欲しいかきいたところ、あるフォロワーが「ジョアン・リバースが、性に奔放なジューンの祖母の役で出るべき」と答えました。ジェームズも「それすごくいいね!」と賛成。果たして、秋から始まるシーズン2にあの毒舌コメディエンヌ、ジョアン様がお目見えするのでしょうか? 実現すれば面白いですね。

★『23号室の小悪魔』は、FOXにて5月27日(日)から放送中!

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