SF(サイエンス・フィクション)界で最も権威のあるヒューゴー賞。前年度に発表された優秀なSF/ファンタジー作品をたたえるこの賞の映像部門を、英米のTVドラマが独占した。

ヒューゴー賞は、世界初のSF雑誌「アメージング・ストーリーズ」を創刊した人物ヒューゴー・ガーンズバックにちなんで名付けられ、1955年から授賞式が定期的に開催されている由緒ある賞。今年の授賞式は、米シカゴ市にて開催されたワールド・サイエンス・フィクション・コンベンションの会場で、9月2日(日)に実施された。

まず、映画など90分以上の作品を対象とするベスト・ドラマチック・プレゼンテーション(長編)部門では、高い評価を集める米HBOのファンタジードラマ『GAME OF THRONES』シーズン1が受賞。ファンタジー作家ジョージ・R・R・マーティンが手がける大河ファンタジー小説シリーズ「氷と炎の歌」をTVシリーズ化したドラマで、アメリカではシーズン2が終了したところ。マーティンは受賞スピーチにあたり、本作は原作の忠実な映像化だとたたえている。

通常、劇場映画がおもな対象となる同部門で、TVシリーズが受賞するのは今回が初めてだ(『HEROES/ヒーローズ』が2008年にノミネートされたことはある)。しかも、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2』『ヒューゴの不思議な発明』『ミッション:80ミニッツ』といった強豪のヒット映画を押さえての受賞となった。

一方、TVドラマのエピソードなど、90分未満の作品を対象とするベスト・ドラマチック・プレゼンテーション(短編)部門には、英BBCの『ドクター・フー』第6シリーズから、「The Doctor"s Wife」が受賞。小説『アメリカン・ゴッズ』やアメコミの原作者として知られる、イギリスの作家ニール・ゲイマンが脚本を担当した回として話題を集めた。ヒューゴー賞を受賞するのは今回で5度目となるゲイマンは、新たな回でも脚本を手がけることを受賞スピーチで明かしている。英米で放送がスタートした第7シリーズの後半部で放送される模様だ。(海外ドラマNAVI)