2013年5月17日に全米公開が予定されている映画『スター・トレック・イントゥ・ダークネス』(日本での公開は9月)。本作でベネディクト・カンバーバッチが演じる"悪役"について、脚本家のアレックス・カーツマンとロベルト・オーチー、そして、監督のJ・J・エイブラムスがコメントした。
(以下は、ネタばれになるかもしれない情報を含むので注意!)
現代ロンドンの名探偵ホームズを描く『SHERLOCK シャーロック』で一躍有名になり、ハリウッドでの躍進もめざましいベネディクト。その彼が本作で演じる役の詳細は、いまだに謎のベールに包まれている。パラマウントが今週リリースした資料から役名は判明したが、これに戸惑ったのがスタートレック・シリーズ(以下、ST)のファンたち。かねてから「ファンにはよく知られたキャラクター」と伝えられていたのに、"ジョン・ハリスン(John Harrison)"という聞き慣れない名前だったのだ。
ネタばれを防ぐために用意された仮の名称である可能性もささやかれたが、エイブラムスの製作会社バッド・ロボットの取材に参加したTrekMovie.comは、「ハリスン」という名前はたしかに映画の中で用いられていると伝えている。同サイトはさらに、脚本家のアレックス・カーツマンとロベルト・オーチーに真偽を問いただした。
カーツマンは次のように答えている――「僕らは前作の映画に立ち戻り、ファンとしてそもそも何をやりたかったのか、そして、ファンに対してどんなことがうまく作用したのかをとことん話し合った。STの歴史や、作品そのものを尊重しつつ、新鮮で予測のつかない物語を編み出したいと思っている。そうした思考を、"ハリスン"の場合にもあてはめているんだ」と。なんだか釈然としない答えだが、つまり、ベネディクトの役は、STの歴史を踏まえつつ、新鮮で予測不可能な存在らしい。
一方、"ベネディクトが演じるのはSTにおける既存のキャラクター"と数か月前にコメントしたオーチーは、「それがウソだったかどうかわかるまで、待ってもらわないといけないね」と笑いながらコメント。やはりはぐらかされてしまった。
さらにその後、今度は米MTVの記者が、監督のJ・J・エイブラムスに質問。「"ハリスン"はオリジナルシリーズ『宇宙大作戦』の「宇宙の帝王」に出てくる名前ですが、深読みしすぎですか?」との問いに、エイブラムスは「君ってすごいギークだね!」と仰天。それでも、「過去作品との関連とは別に、ベネディクトの演技には思わず引き込まれるはず」と、直接的な回答を避けた。さらに「彼(ベネディクトが演じる役)のバックストーリーだけでなく、本人の計画や秘密、そういった諸々のことはすべて、少なくとも僕にとっては、恐ろしくてクールな悪役を作り上げる要素になっている」とも。
「本当の悪役は、怒って復讐心にかられるだけの薄っぺらな存在ではない。自分のことを悪人とは思ってはおらず、完全な理性と動機をもっている。ベネディクトが演じるキャラクターも善悪の区別はちゃんと心得ていて、本人は善の側についていると思っているんだ」と述べるエイブラムス。
いずれにせよ、監督や脚本家たちは、ベネディクトが演じる役の素性を説明するつもりはまだないらしい。これからもしばらく、ファンはやきもきするしかなさそうだ。(海外ドラマNAVI)