『SMASH』 女は闘いながら、"ヒロイン"という生き物に進化する! 小林沙苗×たかはし智秋、対談インタビュー

20121220_c01.jpg永遠のセックスシンボル、マリリン・モンロー。その人生を追ったミュージカルの企画から完成までの舞台裏を描いた『SMASH/スマッシュ』。華やかなショービズの世界の裏側を描いたサバイバル・ドラマでは、ブロードウェイ版「ガラスの仮面」とも言える、二人の女優のライバル対決が展開する。その二人とは――女優を夢見てニューヨークに上京し、ウェイトレスをしながらオーディションの日々を送る無名の新人、カレン。そしてブロードウェイで10年のキャリアを積む実力がありながら脇役に甘んじてきたアイヴィー。今回は、カレンの声を演じる小林沙苗さんと、アイヴィーの声を演じるたかはし智秋さんに二人のヒロインを徹底的に語ってもらった。

カレンVSアイヴィー エピソードを重ねるたびに、意外な一面が見えてくる二人のヒロイン

取材当日、スタジオに現れた小林さんとたかはしさんは、まるで対照的な姿で登場! 普段と変わらないナチュラルテイストの小林さんは、素朴でほんわり、まさにカレンの雰囲気そのもの。それに対し、たかはしさんは"完全武装"! アイヴィーの衣装で登場したのかと思うほど、セクシーで、期待通り!

――まさに、役柄のイメージそのものですね。

20121220_c03.jpg小林(以下、敬称略):智秋ちゃんがドレスアップしているのを見て、しまった! と思いました(笑)

たかはし:沙苗ちゃん、絶対に普通に来るだろうな、って思ってた。写真撮るのも、忘れてるんじゃないか、ってくらいに(笑)

――カレンもそういうところありますよね。

たかはし:そうそう。例えば第1話、マリリンのオーディションのシーンで、普通の格好で来ちゃうところとか、今日の沙苗ちゃんみたい(笑)。

――第1話で演出家のデレクの自宅に呼び出された時も、思いっきり普段着でしたね。売れっ子演出家に呼ばれているのに(笑)

たかはし:カレンは、どこかヌケているというか、天然ですよね(笑)。でも、逆にそのガツガツしていないところが、彼女の透明感につながっている。そこが、沙苗ちゃんとカレンの共通点だと思う。あんまり本人は気がついてないんだけど、すごくキラキラしたものを持ってるんですよね。

――そんなカレンですが、小林さんの第一印象は?

20121220_c05.jpg小林:まず、(第1話で)演出家のデレクに誘われた時に、毅然と断る姿が印象的でした。あの状況で関係を持たずに帰れるなんて、スゴイですね(笑)。純粋に歌が好きで、彼女の中で歌というのは特別なもの、真っすぐにミュージカルスターを夢見てきて、きっとこんな現実に戸惑ったと思います。まだまだ業界に染まっていない素人のカレンはとても可愛らしく感じました。

たかはし:本当に純粋なのよね。

小林:これから、歌が好きなだけじゃ、ダメなんだと気づいていくんでしょうけど...。

たかはし:そういう駆け引きも、まだわからないのよね。

小林:このまま、わからないでいてほしいけど(笑)、上手くすり抜けてステップアップしていけないかな...なんて。普通の子だから、デーヴ(カレンの恋人)との関係も大切にしているし、他の人にはないカレンの魅力になっている。今の段階では、ですけど。そういう純粋なところは誰もが持っているものじゃないから、大切にしてほしいなと思いますね。

たかはし:そういうカレンの純粋なところがマリリンに通じるんじゃないかな。マリリンのエージェントであるジョニー・ハイドとの関係がそうでしょ。彼にどんなにお金を積まれても、結婚はしなかったというのが、ちょうどカレンがデレクと寝なかったというエピソードと重なる。だからマリリン・モンローも絶対に愛に対して純粋だったんだと思う。

――それでは、アイヴィーの第一印象は?

小林:第1話のアイヴィーの印象は、ギラギラしているなという感じですね。「私はこのブロードウェイでトップになるのよ!」という熱気がすごく伝わってきた。それにとてもセクシーな女性なので、そこを武器にしているところがカレンとは違います。

たかはし:アイヴィーはカレンとは対照的に、ショービジネスの世界とはこういうもの、と知り尽くしている女優ですね。自分の母親もブロードウェイの大女優だったので、それが日常だった。だから、ショービズはこういうものと、うがって見過ぎているんです。だからこそ、ちょっとだけもったいない! そういう計算だけじゃなくて、純粋な部分も必要なんだよ、ということを学んでいくのがアイヴィーですね。そこに気がつき、成長していく姿が、この物語を通じて見られるんじゃないかと。

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――恋愛についてはいかがですか?

たかはし:アイヴィーは仕事(舞台)がすべてですね。だから完全に仕事人間で、不器用な女性なんです。仕事、仕事で強くなっていく女を、支えてくれる男性というのは、ゲイなのかなと思いますね。

――確かに、アイヴィーはゲイの友達に大人気ですよね。

たかはし:そうなの。みんながアイヴィーの心配をしているんですよね。トム(作曲家)も仲間のダンサーたちも、勝ち気で不器用な女を応援したくなるみたい。普通の男性では支えたいって思わないタイプなんですよね。だから私生活がめちゃくちゃ不器用になる。男性人気は圧倒的にカレンだと思います。

小林:そうですね。なかなかアイヴィーにいく男性っていないかも(笑)

たかはし:いるとすれば、最近の草食系男子で「なんか、支えてほしいー」っていうタイプ(笑) なんて言うか、カレンとアイヴィーの対比がうまいことできているよね。

小林:そう、対照的。

たかはし:あとアイヴィーに関して言えば、母親との関係も大きいですね。母親との確執は、彼女の中で根が深い問題です。大女優である母親に認めてもらいたんだけど、なかなか認めてもらえない。マリリンも母親との関係は複雑でしたよね。アイヴィーもマリリンと同じように母親への愛を求めているんです。

小林:アイヴィーは回が進むにつれて印象が変わってきましたね。母親に対するコンプレックスだったり、認められるために努力する姿が少しずつ見えてくるんです。アイヴィーは役作りのためにマリリンの本や映画を研究するんですけど、私途中で、智秋ちゃんにマリリン・モンローの本を貸してもらったんですね、なんだかアイヴィーと重なって改めてナイス・キャスティングなんだと思いました。

たかはし:カレンはカレンで、アイヴィーはアイヴィーで、それぞれ違うところで、マリリンらしさが出てきているんですよね。だから、足して2で割れば、いい感じにマリリンになるのにねって、沙苗ちゃんともよく話しているんです(笑)

小林:本当だよね。それから最近、よく思うのが、レベッカ(ユマ・サーマン演じるマリリン役の第3の候補で、映画スター)にもマリリンっぽいところがあるなって。

たかはし:そう!スターになってからのマリリンだよね!

小林:このドラマ、本当によくできてるって感心しちゃいます。

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■世界を虜にするマリリンは究極の"美魔女"!?

――マリリン・モンローの舞台を作るということで、ヒロイン候補それぞれにどこかマリリンに通じるところがあるんですね。

たかはし:マリリン、アゲアゲ番組ですよ(笑)

小林:ねえ!(笑)第1話の冒頭で歌う「虹の彼方へ」もマリリンの好きだった曲だし、ちょこちょこ、マリリンにまつわる何かが仕込まれているんです。

たかはし:ちょうど2012年はマリリンが亡くなって50年ですよね。思うに、マリリンは究極の"美魔女"です。世界中に「私を愛して!」という呪いをかけて死んでいったんです!(笑)

小林:確かに!(笑)

たかはし:「私を忘れないで!」っていう呪いをかけられたとしか思えない。だって彼女はずっと言い伝えられていくでしょ。

小林:人気ありますよね。

たかはし:マリリンはたったひとり、孤独に死んでいった...だから最期に「私を愛して、忘れないでね!」とブワーっと呪いをかけたんです。私たちはもうマリリンの呪いにかかってるんです。だから、この作品を見ると、もっとマリリンのこと知りたいなって思いますよ。私も伝記本を何冊か買って、もうとりこです。

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――マリリン・モンローについては映画やドラマでも多く描かれてきましたが、『SMASH』はどういう点が、他の作品と違うと思いますか?

たかはし:マリリン本人を描くのではなく、マリリンのミュージカルを作ろう、というバックステージが舞台というのが、まず面白いんです。マリリンについて周りの人が試行錯誤する、その模様を描いているんです。ですから、ドラマではトム(作曲家)が思うマリリン、ジュリア(作詞家)が思うマリリンと、それぞれのマリリン像が出てくるわけです。しかも、作り手たちの空想だけでなく、その夢を実現するための資金繰りだったり、トラブルだったり現実的な問題もしっかり描いているので、いい意味で心が落ち着かない感じ。とにかく展開が読めない。常に「どうすんの?」みたいな感じなんです。全員が常にぎりぎりのところにいる。そこがめちゃくちゃ現実的ですね。舞台の現場では、スムーズにいくことなんてない。スムーズにいっていたと思うと、だいたい本番の30分前に、大切なことを忘れていたとか気がつく。例えば、座席が足りないとか。

小林:それは抜けすぎでしょ(笑)

たかはし:だけど、実際ドタバタした感じはあるよね。

小林:そうだね。ブロードウェイの最先端の舞台作りが見られるというのが本当に面白いです。とにかくワクワクしますね。それにミュージカルシーンもかっこいい!毎回どんな歌が聴けるんだろうと楽しみでしょうがないです。初めはカレンとアイヴィーのシンデレラ・ストーリーなのかと思いきや、でもそれだけじゃないんです。ジュリアだったり、トムだったりと、いろんな人間関係が交錯していく。そして、その真ん中にマリリンの舞台を作るという核がある。ただのサクセスストーリーとは一味違います。

たかはし:歌とか、ミュージカルシーンは目でも楽しいよね。サントラとかほしくなる。

――それでは最後に読者の皆さんに一言お願いします。

小林:マリリンの舞台を作る過程の中で色んな事が起きて、1話を見たら、ラストまで観ずにはいられないと思います。
それから、テンポのいい会話はクセになりますよ! 気になるシーンがあれば、もう一度観返してください。何度でも楽しんでもらえたら嬉しいです。

たかはし:おそらくお気に入りのエピソードが出てくると思うので、ぜひチェックしてください。それに1話に必ずオリジナル曲が入っています!そんな海外ドラマ、最近はないと思います!カバー曲もありますが、それも含め音楽がすごくいいです。サントラもすごくいい。

小林:サントラ、絶対いいよね。

たかはし:ぜひ、お友達にも奨めてください。このドラマ、みんなで観るととても盛り上がると思います。舞台1本を作るのはこんなに大変なんだな、というのも感じていただければ嬉しいです。2回、いや3回くらい観たほうがいいです(笑)3回はイケます!

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smash.jpg『SMASH』vol.1&DVD-BOX
ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントより、2013年4月5日(金)発売
同日よりvol.1~8のレンタルも開始!

【キャスト/日本語吹替】
・カレン:キャサリン・マクフィー/小林沙苗
・アイヴィー:メーガン・ヒルティ/たかはし智秋
・ジュリア:デブラ・メッシング/勝生真沙子
・トム:クリスチャン・ボール/山口勝平
・デレク:ジャック・ダヴェンポート/内田直哉
・アイリーン:アンジェリカ・ヒューストン/沢田敏子

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