泣く子も黙る、あのドロドロドラマの裏側で新たな事件が!? 飛び道具も!? 『リベンジ』シーズン2のアフレコ現場に潜入!

この春から、完全無料のBSテレビ局「Dlife(ディーライフ)」でスタートした、大人気サスペンスドラマ『リベンジ』のシーズン2。アメリカでもシーズン3の更新が決定し、日本でもファンが急増中の中毒性たっぷりなこの作品。その現場やいかに!? ということでアフレコ収録現場に急ぎ取材にいってまいりました!

座談会メンバー:
(左から)綱島 郷太郎(ジャック・ポーター)、岩見純一監督、山像かおり(ヴィクトリア・グレイソン)、三木眞一郎(ノーラン・ロス)

――日本でも大人気の海外ドラマ『リベンジ』がシーズン2に突入しましたね。ご自身の演じるキャラクターに成長や変化などあれば聞かせていただけますか?

山像:ヴィクトリアは、シーズン1ではデヴィッド・クラークや自分の旦那さんであるコンラッドとの関係に引きずられていました。自分自身の「愛」に対する苦しみや葛藤が多かったように思います。
シーズン2は一言でいうと「母性」。もうおかしいぐらいに母の愛を感じる展開で、子どもをどういうふうに守るかということにおかしいぐらいにぐ~っと走ってます。

三木:あ~そうだね。

山像:シーズン1は昔の彼がでてきたり、過去の自分の恋愛にフォーカスされているけど、シーズン2はどうやって子どもを守るかについて、シーズン1以上にしゃかりきになっている気がする、私は。三木さんはどう?(三木さんを見て)

三木:オイラですか?笑。そうですね、ノーラン的にはですね、成長はしているんだけど、その成長の度合いというのをどこまで話していいかわからない。とりあえず、今、シーズン2をご覧になってくれている方が感じる成長はもちろんあるし、その先も彼は進化していきますね。色々なことが起こっていく中でこの先、ますますの成長を見せてくれると思いますよ。

――それは具体的にはどの部分での成長ですか?精神的な部分?

三木:いや、何を言ってもヒントになりすぎてしまって・・・

一同:笑。そうだよね~

三木:成長...ですね。ここまでしか言えない...スミマセン。

山像:そうだよね。恋愛についてもその他についても何を言ってもヒントになっちゃうね。ジャックはどう?

綱島:ジャックはですね、相変わらず周りで起こることに振り回されながら、自分はなるべく間違った道に進まないように、と必死でがんばっていますね。

三木:必ず正しいことをしたいんだよね、ジャックは。

綱島:そうなんですよね、だけど振り回されちゃう。

山像:それでいて意外と鈍感だしね。

綱島:そうそう!女心が全然わかってない!!

三木:あ~本当に分かってないシーンが多いよね。

綱島:そうなんですよ。逆にわかった上であれをやってたら怖い。

山像:ジャックは今まで純真だったから、後半いろいろあるんだよね。反動がきちゃったのかな?

三木:それはノーランも同じだね。シーズン2ではびっくりする展開が...

山像:うん、びっくりだよね。

――ええええ????

山像:うふふふふふ。

――おお、今後の展開がますます気になりますね!!ところで、海外ドラマの俳優さんの声を演じるにあたって、もともとの俳優さんの演技を活かすために収録内で工夫していることってあるのですか?

山像:顔はね、一緒になるよね。岩見さんも「顔をよく見てください」とおっしゃっているけど、演じているとそのキャストと同じ顔になるよね。

――へぇ~。ちなみに声を演じながら、動作もつけるんですか?

綱島:あ、つけますね。向こうと同じ動きをしちゃってる。

山像:そうだね。収録なのでマイクからは外れないけど、声も動作も同じになってたりするよね。

三木:そうだね。キャストと同じ感覚を共有していないと、声として出てくる音と画面が離れてしまうから、そうならないようには意識していますね。で、それをハンドリングしているのが、まさに岩見監督ですよ。

――おお!その岩見監督に聞いてみたいのですが、海外の俳優さんの演技を日本語に変えるときのうまくいかせるコツがあれば教えてくださいますか?

岩見:そうですね。まずは台本をどう作るかですね。オリジナルの英語が聞こえてきて、それを翻訳して日本語のセリフを作るときに、声優さんの体が自然に映像どおりに動くような日本語を書きます。ここでこういったら自然とこっちに手が伸びて、次にこういったらその伸びた手がこっちに動く、というように動きにそったセリフをかけば自然と体はそう動きますから。

山像:たしかに!だから台本を作る段階が一番大変なのかもしれないですね。作っているスタッフさんたちこそ一番骨を折ってくださっていますね。

岩見:台本ができてしまえば、あとはそれをこのみなさんにお預けして中身を伝えていただけばいい。、台本が自然と画面にあうように設計されているんです。

――でも、オリジナルの英語と日本語って同じことを伝えようと思っても言葉数や時間が異なり、あわせるのが非常に難しいと思うのですが...。

山像:そこがマジックだよね! 監督と翻訳家さんの努力の賜物だと思います!

岩見:そうはいっても、収録をしながら声優のみなさんから提案をいただくことも多いですよ。「ここの動きとここの目の動きがあわないからこうしましょう」とかね。そこはちゃんとみなさんおっしゃってくださいます。こちらのベテランクラスのみなさんはきちんとそういうことをおっしゃってくださいますから。

一同:照れ笑い。

(カメラマンがその顔をすかさずパシャ!!)
綱島:(ニマニマ顔)

山像:ほ~ら、そういう顔していると、撮られちゃうよ。

山像:あ、撮られた!!

一同:笑

――みなさん、他にも数多くの海外ドラマの吹き替えをされていますが、『リベンジ』ほど、敵と激しく対峙するドラマもないと思います。演じるにあたってキャスト同士で敵にイライラしたり、喧嘩になったり、例えば「この~ヴィクトリアめ~!」なんて思ったりすることはないのですか?

山像:私はいつもセリフをいったあとに皆に「こわ~い」とか「やだ~」とかって言われてるよね。テストのときには必ず言われる。笑

三木:だって怖いんだもん、笑。ヴィク(ヴィクトリア)は特にね!?

山像:そうそう。ヴィクは特にね。音楽もかかるし、捨てゼリフも怖いので、大体ヴィクが何かいうとみんな「うへぇ~」っていうんだよね。笑。

三木:普通言わないようなこと、言うんだもん。

山像:そうだね、普通は言わないね。笑。でも楽しいですよ!普段言わない「今に見ていなさい」や「絶対に許しはしない」なんてこというのは、快感ではありますよ。

――なるほど! わかる気がします!

三木:なんか、そんなこと言ってる人やだ~。怖い~。笑

山像:そうそう、だからみんなが「こわーい」って言ってくれないと私も困るんです。みんなが逆にシーンとしてたら、「今日はちょっとまだパワーが足りないんだな」って思ったりもするし。

岩見:私は基本的には作品をナチュラルにしあげたいのですが、コンラッドとヴィクトリア夫婦だけは別で、たとえるなら"忠臣蔵"なんですよ。"シェイクスピア"で構いません。でもあとの人たちは非常にナチュラルな現代劇をやってもらいたいという思いがありますね。

山像:そうですね。オリジナルのキャストのお芝居の質感もご覧になってわかるようにコンラッドとヴィクトリアだけはちょっと違いますもんね。だからコンラッド役の牛山(茂)さんと二人でやっていると舞台みたいになっちゃう。そんな感覚でやっているとどんどん言葉が押していっちゃったりして長くなりすぎて、「気持ちよくやっていても二人だけのシーンじゃないんで」ってツッコミが入ることもあったりして。

三木:牛山さんたまにドヤ顔して帰ってくるしね。笑

山像:そうそうそう。コンラッドとヴィクトリアの力関係ってエピソードによってずれることがあるでしょう?コンラッドのほうが強い日もあれば、ヴィクトリアのほうが強い日もあって、コンラッドが強い日は牛山さん「うぃ、言ったった!」みたいな顔してたりね。

一同:そうそうそう 笑

山像:気持ちよさげにかえってきて。

三木:スタジオの中で居住まいが違いますからね。

綱島:役者同士がいがみ合うことはないですけど、家で一人でVTRを見ているときに、「チッ。コイツ」と思うことはありますね。このやろ~って。

一同:あるある。大体後から出てくるキャラクターが面倒くさかったりね。笑。

――非常に和気あいあいとした雰囲気の現場だということが、もう、見てとれますが、現場で何か面白い事件などありましたか?

山像:え~それはあるんだけど本人の目の前で言っていいことなのか?

三木:そうそう、本人の目の前で・・・ねぇ?(二人で綱島さんを見て)

綱島:ハハハ、え~!?

三木:ままま、誰かが漢字読めないはおいといて。

山像:あぁ!そう!漢字ね。シーズン2に入るとシーズン1よりもっと難しい話も出てきたりして、株の話なんてでてきたりするもんだから、もう、言っている方がわけわかんなくなってきて。みんなもぽかーんってね。

一同:そうそう。・・・ね!?

山像:ね!?漢字が読めなかったダニエルとか・・ね!笑

三木:あ~いっちゃった。

山像:あ、ピ~っていれてもらって、「ダ○○○」ってダが見えるぐらいにしてもらって。笑

綱島:あれ?何が読めなかったんでしたっけ?

三木:えっとね、「不躾(ぶしつけ)」だ!

綱島:そうだ!

三木:「不躾」って言葉を「ふらち」って読んだんだ。

一同:大爆笑

三木:そのあとみんなで大爆笑して

山像:私は"ダニエルの母"として「ダニエル、それは違うわよ。自分で調べなさい」って言ったんだけど、そしたら・・・

三木:「ふびん」って読んだ!

山像:そう、「ふびん」って読んだの。

三木:え~そこ!?って。

山像:そしたらそのあとからダニエルのセリフの部分に、難しそうな部分にふり仮名がうってあったんだよね。

岩見:ダニエルは、ハーバードのビジネススクール出身という設定なんですけどね~。でも、ハーバートには「漢字」の書き取りはないので。だから彼は読めなくても問題ないんです!

綱島:たしかに!なるほど~。

――岩見監督、声優のキャスティングを決めるにあたって、まずヴィクトリア役の山像さんからお決めになったと聞いていますが?

岩見:そうなんです。キャスティングってどこから、誰から決めるのかがいつも悩ましいのですが、このストーリーはエミリー・ヴァンキャンプ演じる「エミリー・ソーン」が主人公ですから、この方から決めていくのが普通なのですが、私は「ヴィクトリア」からだったんです。というのも、本作のベースとなっている『モンテ・クリスト伯』という作品の日本語版に山像さんがお出になっていたことがきっかけ。その中で山像さんは、好きな人と引き裂かれて宿敵の元に嫁いでしまう、主人公の恋人役メルセデスを演じていらっしゃいました。『リベンジ』がこの『モンテ・クリスト伯』をベースにしていることがわかって、それを理解した上で見ていくと非常にストーリーがよく分かるわけです。すると、「どうしてもこの人にヴィクトリアをやっていただかないといけないな」と思ったんです。彼女がキーでそこから伸びていくんですね。彼女が中心にいるから息子はこれぐらいの年でこういうイメージとか、その周囲の人たちができあがっていくわけです。

山像:ありがとうございます。

岩見:逆に一番難しかったのはコンラッドですね。コンラッドが一体何をする人なのかというのがわからなかった。どうみても黒幕のように見えないのです。ヴィクトリアの手の上で転がされているようでちっともコンラッドの中に悪が見えなくて。なので、彼が一番最後でした、決まったのは。

綱島:面白いですね、夫婦役が一番最初と一番最後に決まるっていうのも。

岩見:そうですね。

三木:でもうれしいよね、そういっていただけると。

山像:そうですね。すごくいいチームだし、でも馴れ合いはないんです。みんな本番にはばしっと作りあげてくるので、それに負けないように、みんなそれぞれにライバル心を持ってやっていると思います。いい意味で。

三木:そうだね。先輩はやはり先輩としての居住まいでいたほうがいいわけじゃないですか。
そうすると後輩もがんばろうって思うし、後輩は「じゃあ自分のできることってなんだろう?」って探し始めるし、そういう座組みが大切だと思いますね。

――馴れ合いではなくそれぞれが本気。それでいながらもアットホーム。本当に素晴らしい現場なのですね。

山像:本当にそうだと思います。和ましてくれる人もここにいるしね。
(綱島さんをみる)

綱島:そ、そうですか?

三木:本当に"とび道具"をもってるからね。

山像:そうそう。

綱島:え!?なんのこと...?あ、オナラ...!?

――オ、オナラ!!!!?

綱島:そうなんです。一回、このシーンは力を抜かなきゃいけない、絶対に力を抜かなきゃいけないっていう弟デクランのシーンがあって。そこで「兄ちゃん!」っていわれて「よう!」って言ったら、「ぷぅ」ってでちゃった。

一同:大爆笑。

山像:本番中だったのに、ジャックが吹き出しちゃって。

綱島:だって、おかしくって。「俺、屁したよ~すいませ~ん!」って。

山像:そういうところもジャックっぽいんですよ!そこで知らん顔するんじゃなくて、正直に言っちゃうあたりがね。

三木:結果、ジャックの恋人アマンダ役の佐古(真弓)ちゃんが「愛せな~い」って言ってたよね。

綱島:そう、あれショックだった!

山像:おかしかったね~。「私とのラブシーンの時に・・・したら殺す!」って言ってたよ。

三木:こんなこと言えるのもね、本当に仲がいいからで、仲が悪かったらオナラされても口も利かないもんね。

――毎回行くのが楽しみになる現場ですね。

三木:もう、おかしいですよ!だって毎回飲んでるんですよ!!

山像:そうそう。お休みの声優さんも出てきてみんなで集まって飲んだりするの。本当に仲いいよね。しかも集まって話す内容がずっとこの『リベンジ』のことばかり。

――具体的にどのようなことをお話されているんですか?

山像:「これからどうなるの?」とか、「アイツは許せない!」とか。本当に一視聴者が集まって話しているような感じ。また想像もたくさんできるんだよね。私たちは数話先の台本までしか見てないから。

三木:「あの時のあの役者の表情、いじわるな顔してたよね~」とか、「あの伏線は一体何につながってくるのか!?」とかね。

山像:ここまで作品ネタで盛り上がれる現場もないよね。

三木:そうだね。あとさっきも言ったけど、やはり先輩と後輩のバランスがとてもいい。

山像:そうだね。よい仲間が集まったということで監督には本当に感謝しています。

三木:岩見さんが中心できちんとしめてくださるからだよね。

山像:そう。やっぱり岩見さんがちゃんとしめてくださっている。何か様子がおかしいときには、岩見さんがびしっと言うんです。「どうしたんですか、今日」って。それを聞くとやはりこちらははっとするしね。

三木:岩見さんもおっしゃっているけど、結果として日本語の音声ガイドが付いている商品ではなくて、やはり日本語版という一つの「作品」。「商品」と「作品」ではやっぱり全然違うので、「日本語版の作品を作る」という思いがみんな強くあるんじゃないかな。

一同:うん、そうだね。

三木:しゃべればいいでしょ、そこにいればいいんでしょ、なんてレベルでは全くないんだよね。

――皆さんプロ意識が非常に高いんですね。

山像:そうですね、だからね?リラックスしずぎちゃったんだよね?(綱島さんを見て)

綱島:そうそう、いろんなところがリラックスしすぎちゃった。

一同:笑

――盛り上がってきたところで名残おしいですが、最後に視聴者の皆さんに一言お願いします!

綱島:収録現場は、とてもクリエイティブでみんなで楽しんでいます。一本も見逃さないで頂きたいです

三木:いや~でもそれが全部な気がするな~。ちょっとでも目を離すと分からなくなってしまうので。シーズン2を見ていくと逆にシーズン1を見返したくなることもあると思うし。新しいものを見ながら、古いものも見ていただき、『リベンジ』を愛していただければと思います。

山像:あとは、はまってください!声優陣もどっぷりはまっていますので、一緒にはまろう!かな?毎回台本もらったらすぐ読みますからね。

岩見:「今、こいつは本当は何を考えているのか」をご自身で推理しながらみていただくと面白いかもしれません。言葉通りなのか、その逆の意味なのか。娯楽作品なので考えすぎて疲れちゃうのはよくないですが、非常に複雑に、そして緻密に構成された作品ですので、ご自分の楽しみ方を見つけていただければ嬉しいです。

山像:自分流の楽しみ方といえば、ファッションや家具・調度品などに注目していただいても面白いかも!ヴィクトリアは、ここぞというシーンに着るドレスやする髪型があるんです。観ているとそのようなパターンもわかったりするので、そこに注目してみてもまた面白いかもしれません。

綱島:そう、建築とかもね!コンロが5つぐらいある設計図もでてきたりして。

一同:そこ~??

 

======

人間の憎悪に溢れた美しくも恐ろしいサスペンスドラマ『リベンジ』ですが、その収録現場は信じられないほど明るく、そして"本気"な雰囲気でした。岩見監督、そして声優のみなさんそれぞれが作品を愛し、尊敬しあって、本気の本気で作り上げている作品。これから見るのがますます楽しみになりました。ありがとうございました!

『リベンジ』
毎週土曜22:00からDlifeにて好評放送中!

20130604_c08.jpg特別編成『リベンジ ウィーク 沈没への序章』
6月10日(月)~15日(土)19:00~21:00 毎日2話ごと、第13話・第14話は15日(土)21:00~23:00に一挙放送。

© ABC Studios