【お先見!海外ドラマ日記】この夏、スティーヴン・キング原作のSFミステリードラマ『Under the Dome』が熱い!

アメリカの夏のTV界は思いっきりバカンスモードで、クラシックな番組の再放送か、低俗なリアリティショー、はたまたオンシーズンで放映するにはイマイチな出来のドラマしかやってないのが恒例。でも、今年の夏はどの局もやる気満々で、手抜きなしの本気の作品が満載でびっくり!そんなこの夏、豊作ドラマの中でも視聴率トップを突っ走るのが『Under the Dome』です。

一見、平凡で静かな田舎町チェスターズミルが、ある日突然、巨大で透明なドームに覆われて外界とのコミュニケーションをシャットダウンされるところから、このドラマは始まります。ドームが降り立った瞬間、その内部と外側の境目にいた牛の胴体がまっ二つに切り裂かれるシーンはかなりショッキング!その直後に飛行機がドームにぶち当たって派手にクラッシュするなど、これから起こる恐ろしい展開を暗示しているようです。

透明だけど音は通さない、初めて触るとビリビリっとショックが走る、内部では雨が降ったり風が吹いたりする、TV、電話やWiFiなどは繋がらないけどラジオはOK、などの特徴を持つ謎のドーム。その中に閉じ込められた恐怖や、水、食料や薬などの生命維持に必要な物資がだんだん少なくなってしまう不安、外界にいる愛する人々に会えない寂しさから、平常時にはごく普通だったチェスターズミルの人々の心の中に、少しずつ狂気が芽生えていきます。ドームという超常現象も気になりますが、混乱の中で少しずつ露呈される人間の本質を観察するのも怖面白いです。

主演には『Bates Motel』にも出演していたマイク・ヴォーゲル。タイミング悪くチェスターズミルに居合わせた男バービーを演じています。ドーム内で人々のために活躍したりするのですが、黒い秘密があったりと、「いい人だけど悪い人、悪い人だけどいい人」というグレーな人間臭い役どころです。ヒーローになりきらないところが、逆にカッコいいバービー。無精ヒゲもさまになっています。

そんなバービーと親しくなるのが、ドーム出現と同時に夫が行方不明になったジャーナリストのジュリア(レイチェル・レフィヴレ)。バービーが町にやってきた理由と彼女の夫の失踪には接点があり、微妙な関係のふたりには大波乱がありそうな気配がします。

忘れてならないのが、こんな非常時を待ってました!とばかりにチェスターズミルの人々を仕切りたがる、チェスターズミルに唯一残った議員のビッグ・ジムです。演じているのは『ブレイキング・バッド』のハンク役が印象深いディーン・ノリス。表向きはソフトだけど実は権力を得るためには手段を選ばないビッグ・ジムという男もぴったりはまり役です。筆者の周りでは、最初は「ハンクにしか見えない」と言われていましたが、回が進むにつれて「ビッグ・ジム」の呼び名がすっかり定着しているほど。

13エピソードというミニシリーズのこの作品は、スティーヴン・スピルバーグの製作会社アンブリンとCBSテレビジョン・スタジオとの共同製作で、原作となった同名小説の作者スティーブン・キングも脚本に関わっています。ビッグネームによる製作ということで、業界での前評判やファンからの期待も高く、第一話は1300万人を越す視聴者を得るという快挙を遂げました。それからも常に視聴者1000万人を越え(第7話現在)、毎週のように視聴率1位の座についています。とにかくアメリカでは『Under the Dome』の話題で持ち切りです。

この人気から、来年の夏にシーズン2が始まることも決定済み。シーズン1途中の今から、楽しみでなりません。もう夏のテレビはつまらないという意見は撤回。今後は、バカンス期間もテレビチェックを欠かさないことを誓う、2013年の夏なのでした。