『ゲーム・オブ・スローンズ』"禁断の愛"はヒット作の必須条件!?

七王国を舞台に史上最大の戦いが繰り広げられる、王国の存亡を懸けたアクション・スペクタクル巨編『ゲーム・オブ・スローンズ』。本作のストーリー展開上、避けて通れないのが"禁断の愛"の存在である。

ラニスター家の双子サーセイとジェイミー。片や王妃、片や王を守るキングズ・ガードとなった2人だが、幼い頃から肉体関係を持ち、それはサーセイがバラシオン家に嫁いでも切れなかった。この2人の関係こそが、七王国の玉座争いの火種となったのだ。ロバート王亡き後、後継となったジョフリーの出自を疑う者が立ち上がり、サーセイたちは秘密を守るためにあらゆる策を弄する。双子ゆえの親密さを超越した2人の愛は七王国の政治と密接に絡み合い...この複雑さこそがドラマの見どころとなっているといっても過言ではない。

本作で"禁断の愛"に溺れているのは、サーセイとジェイミーだけではない。ロバート王亡き後、王都を逃げ出しタイレル家と手を組み玉座を狙うレンリー・バラシオンだ。彼には妻がいるが、彼の本命はマージェリーの「兄」である花の騎士ことロラス・タイレルだった。ドラマではレンリーとロラスの関係もハッキリと分かるように描いているが、実はこの部分は原作ではなんとなく関係を匂わす程度に留められているのだ。2人の関係を明確に描く事は、現在のTVシリーズの在り方にも沿うものとなっており、そのおかげでタイレル家の立ち位置、そしてマージェリーの存在感がよりハッキリと打ち出されている。レンリーとロラスの禁断の愛もやはり政治と密接に絡み合っているが、さらに玉座争いに揺れる男たちの陰で展開される女たちの野望をも浮かび上がらせている点も興味深い。一口に"禁断の愛"と言っても、ここから一筋縄でいかないストーリーが展開されていくのが『ゲーム・オブ・スローンズ』の醍醐味だろう。

振り返れば2000年、同性愛者を主人公にした英国ドラマ『クィア・アズ・フォーク』がアメリカでリメイクされ、2004年には『Lの世界』では知られざるレズビアンの世界がディープに描かれた。『Glee/グリー』ではゲイのティーンエイジャーが抱える問題を掘り下げ、今年のエミー賞を席巻した『恋するリベラーチェ』の作品性も高く評価されている。一方で『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』のように、ありとあらゆる"禁断の愛"をディープに描いたドロ沼愛憎劇も人気となり、『ヴァンパイア・ダイアリーズ』『TRUE BLOOD/トゥルー・ブラッド』では異種族とのロマンスという"禁断の愛"も描かれている。

"禁断の愛"のかたちも時代と共に変化しているが、いずれにしても見る者を惹きつけてやまないのは確かなようだ。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ゲーム・オブ・スローンズ』(左から)レンリー・バラシオンとロラス・タイレル
『ゲーム・オブ・スローンズ 第二章:王国の激突』
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