オリジナルドラマの人気にあやかり製作されるスピンオフドラマ。ゼロからスタートするよりも、認知度という点から有利として最近、ますますスピンオフへの期待が高まっているが、もちろんすべてが成功するわけではない。そこで米TV Guideで今まで報じられた「やらなきゃよかったスピンオフ」から、海外ドラマNAVI的視点から10本ピックアップしてご紹介しよう。
■『ローン・ガンメン』
2本目は日本でもおなじみの大ヒットSFドラマ『X-ファイル』からのスピンオフ。本家シリーズの中で度々モルダー捜査官を手助けしていた3人組のコンピューターオタク"ローン・ガンメン"をフィーチャーしたドラマで、『X-ファイル』シーズン8が中休みに入った2001年春にスタートした。
TV Guideは"やらなきゃよかった"理由として、「『X-ファイル』を生み出した奇才クリス・カーターと(後に『ブレイキング・バッド』を手がけた)ヴィンス・ギリガンによる企画にもかかわらず、とにかく期待はずれだった」とバッサリ。UFOやエイリアンなどが絡むスーパーナチュラルな怪現象を扱っていた本家に対し、企業犯罪や政府陰謀によるテロなど、より現実的な事件をテーマとしていた『ローン・ガンメン』(ちなみに、同時多発テロ事件の約半年前に放送された第1話では、飛行機を遠隔操作し世界貿易センタービルに墜落させる米政府の陰謀がテーマとなっており、事件後、その酷似性が話題になった)。だが、恐ろしくも現実味のある(ありすぎる?)ストーリーに、視聴者は共感できなかったのだろうと指摘している。
2001年当時、モルダー役を演じていたデヴィッド・ドゥカヴニーの降板に伴い、番組終了がささやかれていた『X-ファイル』。その後釜を継ぐ番組になるかと注目されていた『ローン・ガンメン』だったが、次第に視聴率が低迷。さらに本家の番組続行が決定したため、お役御免となってしまい、結果わずか1シーズン(全13話)であえなく打ち切りに...。最終回はクリフハンガーになっていたが、後に本家エピソード内で解決された。コミカルなオタク3人組が、政府の陰謀などシリアスな事件に挑むという斬新な設定だったものの、結局は"伝説のシリーズ"とも呼ばれる本家の壁を超えられなかったようだ。(海外ドラマNAVI)