オリジナルドラマの人気にあやかり製作されるスピンオフドラマ。ゼロからスタートするよりも、認知度という点から有利として最近、ますますスピンオフへの期待が高まり、毎年、新しいスピンオフが登場する。スピンオフと言えば、本家に登場したキャラクターが主人公になったり、刑事モノでは、合同捜査などでクロスオーバーしたりするのが楽しい。基本的に本家とスピンオフの関係は、同じ世界を共有しながら、別の場所で別の物語が進行していくというものだ。例えば『CSI』シリーズは、科学捜査という世界を共有しつつ、ラスベガス、ニューヨーク、マイアミとそれぞれの都市の個性を活かした物語作りで成功した。
そんなスピンオフの世界で、米TV Guideが「スピンオフと銘打っているが、はたしてこれはスピンオフなのか？」と首をかしげるのが、この秋からアメリカでスタートした『Once Upon a Time in Wonderland 』だ。
同作は、現代とおとぎの国を舞台にした人気ファンタジー・アドベンチャー『ワンス・アポン・ア・タイム』のスピンオフとして登場。『不思議の国のアリス』をモチーフにした作品で、アリスが主人公になる。今までのアリスのイメージとは、ちょっと違い、かなりアクティブな闘うアリスが話題を呼んでいる。アリスは愛する恋人を探すため、現代の世界から再び不思議の国へ、ウサギとともに冒険に繰り出すというストーリーだ。
本家は、基本的に現代を舞台にしているのに対して、『～in Wonderland』は"不思議の国"で展開。それも、本家の"おとぎの国"とはちょっと世界が違ううえに、本家と同じキャラクターもほぼ登場せず、キャラクターの絡みもない。共通するのは『ワンス・アポン・ア・タイム』というタイトルだけで、物語としてはほとんどつながりがないというのだ。というわけで、もはやスピンオフではなく、ファンタジーというジャンルの別物ドラマと考えたほうがよさそうだ。
しかし、もし同作が本家同様に息長く続いたら、いつか2つの世界がつながるかもしれない。それもある意味、ファンの楽しみだったりする。スピンオフといえども、無理に設定をつなげたり、キャラクターを絡ませたりしても、"いかにも"すぎてファンを興ざめさせてしまう可能性がある。そういう意味では、同作はしっかり独自の世界を作りながらも、"いつか、もしかして本家とつながるかも"と期待させる、思わせぶりなスピンオフと言えるだろう。いかにもなスピンオフではなく、スピンオフぶっている同作。"ぶっている"だけなのか、それとも、いつか"スピンオフらしく"なるのか、この先の展開に期待がかかる。（海外ドラマNAVI）
Photo：『ワンス・アポン・ア・タイム』
（c）ABC Studios
