【英国発2013年ベストTVキャラクター】英国で人気のドラマの登場人物とは? その3: 人間の中のモンスターが目覚めた時―暗黒面を演じるキャラに惜しみない賛辞

演劇が盛んなお国柄や冗談好きな国民性によるのか、イギリスではアメリカとは一味違う重厚で見応えのあるドラマや、ブラックユーモア満載のコメディが好まれている印象がある。実際、イギリスではどんなドラマが人気なのだろうか!? このたび英Digital Spyが2013年のベストTVキャラクターを発表。今年イギリスで人気を博したTVドラマの登場人物、全8キャラクターをドラマの内容と共に、4回に分けてご紹介しよう。

本格派の大人ドラマは、お国は違えど、絶賛を浴びるのは英国でも同じようだ。今、アメリカで最も評価が高い歴代シリーズTOP10に入るであろう本格ドラマからのピックアップ。人間味がありながら、冷酷なモンスターでもあるキャラクターという悪役主人公というのは、俳優が一度は演じて見たい難役だ。その2面性をしっかり描き込んだ最高の脚本、そして圧倒的な説得力でその難役演じている二人の実力派俳優に惜しみない賛辞を贈っている。

■『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』 イーノック・"ナッキー"・トンプソン
こちらはすでに日本でも人気を獲得している巨匠マーティン・スコセッシが初プロデュースする大作ドラマ。禁酒法時代を描く本作で実在の政治家ナッキーを演じるスティーヴ・ブシェミは、初めて脚本を読んだ時、「この役につけなかったら、とても悲しくなるよ」とコメントしたのだとか。Digital Spyもブシェミ同様、アトランティック・シティを牛耳るナッキーは魅力的でスマートで冷酷なギャングだと賞賛している。そして、人間味あふれる面を持ちながら、裏社会のボスであり、凶悪な人殺しでもある、さまざまな顔を持つナッキーをブシェミは完璧に演じていると褒め称えた。スティーヴン・グレアム扮するアル・カポネもすばらしいが、やっぱりブシェミ演じるナッキーから目が離せない。エキサイティングな筋書きや、驚きの展開、時代考証が忠実に再現されている本作は、イギリスでも近年の最高傑作の1つと見られているようだ。ちなみに、日本では1月10日からWOWOWにて待望のシーズン3がスタートする。

■『ブレイキング・バッド』 ウォルター・ホワイト
言わずと知れた米AMCの大ヒットドラマ。今年9月にシーズン5で幕を下ろしたが、各方面からの賞賛が絶えない秀作だ。本作のベストキャラに選ばれたのは、もちろんブライアン・クランストン演じる主人公ウォルター。 ドラッグを精製する元化学教師のウォルターは何かと物議を醸したキャラである反面、映画を上回るほどキャラクター設定がずば抜けていて、並外れて秀逸だと褒めちぎっているDigital Spy。真面目で冴えない男が徐々に化けていく様は2時間程度の映画では到底描き切れない、TVドラマならではのキャラだと評価している。しかも、その勢いは最後まで止まらない。ファイナルシーズン後半で巻き起こる悲劇により、ウォルターの人間性がさらに掘り下げられているという。Digital Spyは、ブライアンの演技は今後何十年も賞賛を浴び続け、後進の俳優たちの手本となるだろうと大絶賛。シリーズ最終回で最高視聴率を更新するほど注目された本作で、イギリス人たちも最後の瞬間までウォルターに釘づけになったようだ。日本ではフジテレビNEXTでシーズン4まで放送されている本作。ファイナルシーズンの日本上陸がますます待ち遠しくなる。(海外ドラマNAVI)


Photo:(左)『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』
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(右)『ブレイキング・バッド』
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