お先見!『Hell on Wheels(原題)/ヘル・オン・ウィールズ』 ドラマの秘宝発見! 一度見始めたらヤミつきになる噂のウェスタン・ドラマ

2011年に放映が開始されていたにもかかわらず、先日偶然に予告を見るまではアメ・ドラおたくの私ですら耳にしたことがなかった『ヘル・オン・ウィールズ』。全米で静かにヒットし続け、この夏から遂に4シーズン目に突入した、このドラマの魅力をご紹介します!

みなさんはトム・クルーズとニコール・キッドマン主演映画『遥かなる大地へ』って覚えていますか? 西武開拓時代の歴史を背景に、過酷な大陸横断鉄道建設とその周囲を取り巻く人間たちのドラマである『ヘル・オン・ウィールズ』は、ザックリ言うと、『遥かなる大地へ』のロマンとスケールに、クリント・イーストウッド主演映画『許されざる者』の荒々しさをミックスしたドラマです。

私は、どちらかというと西部劇には興味ないほうなのですが、ある日『ウォーキング・デッド』を見ていたら、たまたま『ヘル・オン・ウィールズ』の予告編が流れたんですね。主人公らしき男がロン毛をなびかせ大地に立ちはだかる姿。そして目深にかぶったカウボーイハットの下から除く憂いをたたえつつも鋭いまなざし・・・。惚れたっ!(笑)

早速、オンエアの予定を調べてみるとラッキーにもその日は、3シーズン全話一挙放映スタートの日だったのです。それにしても、3シーズンも続いているのに私の知らないドラマがあった!いずれにせよ、なんとも軽い気持ちで見始めた初回エピソード。しかし、これが見始めたら食べ出すと止まらないポテトチップのようで(!?)、気がついたらブっ続けで1シーズン(10エピソード)一気見してたんです!

主演アンソン・マウントのカッコ良さもさておき、彼が演じるアウトロー且つ実直なコレン・ボハナンは、最近見たアメ・ドラのなかで最も魅力的なヒーロー!っと言ってもいいほど。南北戦争中に北軍の悪兵たちに愛する妻と幼い息子を殺害され復讐を誓った南部のコレンは、家族を奪った奴らを地の果てまで追いかけ次々に抹殺していきます。(西部の仕置き人!)そして、兵士のひとりが鉄道建設の現場監督であることを突き止め、コレンは日雇い人夫として鉄道に潜入。その数日内に問題の男を亡き者にする目的を果たします。

さて、『ヘル・オン・ウィールズ』が痛快なのはここから。コレンは、建設現場で殺人容疑者として追われている真っ最中に、わざわざ資産家で鉄道会社の責任者でもあるトーマス・デュラントのオフィスに忍び込みます。驚いて拳銃を抜いたデュラントを前にコレンは、「2分間だけ話しを聞いてくれ」と頼み、大陸横断鉄道の建設がこれからぶつかる試練に際して、自分がいかに重要なリーダーシップを提供できるか、他の労働者たちの先導者となれるかを語り、自分を現場監督として雇うようにデュラントに交渉を始めるのです。2分後、コレンの図太さを大いに気に入ったデュラントは、彼を新たな現場監督として雇い、その時点から様々なドラマが展開し始める、というのがこのドラマのあらすじです。

面白いヒーローものには、最高の悪役が必要であると言われます。鉄道責任者のデュラントは、コレンを無罪放免にして現場監督として雇ったり、最初は、コレンの味方かと思うのですが、これが大違い。この先、女性問題も絡み、とにかく万人から信頼されるコレンをうさん臭く思いはじめたデュラントは、持ち前のずる賢く性悪な性格でコレンをいたぶり始め、超イヤなヤツ(=最高の悪役)に変身します。

そして、デュラントに加え、シリーズを通して邪悪な存在となるのはデュラントの元で働くノルウェー移民のガンダーソンという男。見たくれからして死神のようなヤツなのですが、外ズラは礼儀正しく人当たりも良いほうなのですが実は、残酷きわまりないサディスティックなモンスター。自分が担当していた警備下で問題を起こしたコレンがデュラントから免罪され、何ごともなかったかのように建設工事の指揮をとっている姿に異常な憎悪を抱きはじめ、コレンにとって(また鉄道にとって)、非常に危険な存在となります。死人も出るほど過酷な鉄道建設の労働条件は、コレンにとってむしろ心の寄りどころになるのですが、この先、彼にはどんな運命が待ち受けているのか。

コレンは、カッコいいし最高に強くて頼りになるヒーローだけど、ひたすらクールで好んで危険に飛び込んで行くタイプ。そんな危ないところに惹かれる女性は多かれどハッキリ言って、絶対BFにはしないほうが良いタイプ。(苦笑) でも、そんなコレンが活躍するさまを見て声援を送り、我が家のダンナに白い目で見られつつも、番組の間だけコレンのヒロインになった気分で酔いしれる...。

いやぁ、海外ドラマってほんとうにいいもんですね!

Photo:Hell On Wheels - filmstill (c)amanaimages アンソン・マウント (c)Izumi Hasegawa/www.HollywoodNewsWire.net