スピルバーグ製作総指揮で贈る超大作ドラマ、SFミステリー巨編『エクスタント』の魅力に迫る!!!第1回「豪華キャスト陣&ストーリー設定」

スティーヴン・スピルバーグ率いるアンブリン・エンターテインメントのテレビ部門が製作し、米CBSネットワークで2014年夏に放送された破格のSFミステリー巨編がついに日本に上陸する。

オスカー女優ハリー・ベリーが主演、そして日本が誇る真田広之が共演する野心作であるこの作品は、放送スタートした第1話『再会(Re-Entry)』がリアルタイム&録画を併せた約1200万人の視聴者を魅了し、米国で最も著名な映画TV批評サイト「ROTTEN TOMATOES」の批評家たちの総合点83%(100%が満点基準)を記録した。

"EXTANT"とは、「現存する...、今もなお失われずに残っている...」という意味を持つタイトルだ。

エグゼクティヴ・プロデューサーであるスティーヴン・スピルバーグが、番組のトップ・クリエイターに起用したのは、テレビシリーズを手がけるのは本作がまったくの初となる新鋭の作家ミキー・フィッシャー。ミッキーは、テレビ用にあたためていた脚本『EXTANT』を「パイロット(試作の一話)の台本コンテスト」に応募し、その優れた内容と仕上がりに注目したエージェントの手によりアンブリン側に持ち込まれ、最終的にスピルバーグ氏の目に留まった。かつてないスケールの構想を、テレビという枠を超えるほどの映像美で披露した本作。その新作SFミステリーの第1シーズンが、4月4日からいよいよWOWOWで放送を迎える。

 

《物語》
今から約30年後の未来。宇宙ステーション"セラフィム"での13ヶ月の単独の滞在ミッションを終えた宇宙飛行士モリー・ウッズは、無事に地球に帰還。夫ジョンとひとり息子のイーサンとの再会を喜び、愛情を確認し合うが、自分の身に異変が起きていることに気づく。帰還した彼女が受けたメディカルチェックの結果で、その"異変"の原因が判明した。たった1人で宇宙にいたはずのモリーの体内には、何故か生命が宿っていたのだ。その事実を誰にも打ち明けることができないモリー...。夫のジョンは、「人間性」を有し、自ら考え、感情さえ抱く、精巧なアンドロイド"ヒューマニック"の試作品の開発に成功。このプロジェクトの事業化を目指し、研究開発資金の援助を巨大企業ヤスモト社に持ち掛ける。この企業の全事業を牛耳るヤスモト氏から、思いがけず個人的融資を受けることができたジョンだが、ヤスモト社の開発事業の背景には計り知れない執念が渦巻いていた。やがて、"異変"を抱えたモリー、ジョン、そしてイーサンたち一家は、人類の存亡に重大な影響を及ぼす陰謀に巻き込まれていく...。

 

《キャスト》
テレビの枠を超えたのは、"スピルバーグ関連作"に見られる近未来をリアルに描いた規模や、見とれてしまう映像美や、秀逸な視覚効果、だけではない。『エクスタント』は、その豪華なキャストの顔ぶれも、ドラマシリーズとして異彩を放つ。主人公の宇宙飛行士モリー・ウッズ役に『X-MEN:フューチャー&パスト』『チョコレート』のハリー・ベリー。その夫ジョン役に『ドラゴン・タトゥーの女』『ER緊急救命室』ゴラン・ヴィシュニック。その息子イーサン役に『LOOPER/ルーパー』で鮮烈な印象を残したピアース・ガニォン。そして、ウッズ家族の運命の行方のカギを握る富豪ヤスモト・ヒデキ役に『レイルウェイ 運命の旅路』『ウルヴァリン:SAMURAI』『47RONIN』『LOST』の真田広之がキャストされている。さらに『ダラス・バイヤーズクラブ』で好演したマイケル・オニール、『HOMELAND』のモーリー・スターリング、『ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル』のカムリン・マンハイムらが、シブい演技で脇を固めている。

 

宇宙ステーションでの通信障害事故を発端に、謎が謎を呼ぶミステリーだが、物語の軸は主人公モリーが任務から帰還した後の地球上での日常にあり、ハリー、ゴラン、ピアース3人による家族が核であることが本作の注目点の一つだ。

我々が生きる今から、そう遠くない時代。想像し得る「新たな世界」における人間模様を描いた部分に力点は置かれている。クリエイターのミッキーは、自身がスピルバーグ世代で、そのジャンルの映画の公開時には徹夜で劇場の列に並んだ一人だそうだ。しかし本シリーズではSF的な遠い何処かを描くのではなく、テレビシリーズの長さの「時間」を活かし、妻として母として複雑な感情や人間関係を抱える、ひとりの女性を中心に据えたのだという。宇宙もののフィクションや現実離れした設定の筋立てが苦手という視聴者の方々でも、登場人物たちの人を思いやる心の在り方は世界共通で、すんなりと感情移入し、物語に入っていける。"SF巨編"であると同時に、ひとつの"家族ドラマ"なのである。一方、長い孤独なミッションから、ようやく無事に戻ったはずのモリー・ウッズが巻き込まれるスリリングな展開と、ヤスモト氏が抱いている底の見えない極秘裏の計画がいったい何なのかという"スリラー"的なプロットは、視聴者にとってはまったく
想像ができないもので、シリーズ後半には予想をいい意味で裏切る、鼓動が高鳴り続けるような家族の闘いとクライシスの連続となる。

 

《珠玉の子役》
巨匠スピルバーグのファンなら、SFで、子役が登場し、次世代のアンドロイドと聞けば、かつてスタンリー・キューブリックの企画をスピルバーグが引き継ぐ形で監督し、名子役ハーレイ・ジョエル・オスメントを主役の少年ロボットとして起用したSF映画『A.I.』を思い出すのではないだろうか?つぶらな瞳で、せつないほどに母の愛情を求めるロボットを演じ切って多くの映画ファンに愛された、観賞後にあたたかな印象を残す秀作フィクションである。
当時、子役からあれだけの深みのある演技を引き出したスピルバーグの演出術には驚嘆したが、ハーレイくん自身も「天才」の称号でその仕事をもてはやされた。

だが本作『エクスタント』は、スピルバーグが直接メガホンをとる作品ではない。で、ありながら、ドラマファンの皆さんに最も注目して頂きたい見どころの一つは、イーサンという(母モリーに次ぐ)この物語の「中心重要人物」を、恐ろしいほどの冷静さと正確さで演じ切ったピアースくんの圧巻の演技力なのである。『LOOPER/ルーパー』という傑作SFサスペンスにハマった人なら、念動力を持つ少年シドを演じたピアースくんをきっと覚えているはずだ。周囲を脅かす、凄まじい超能力を発揮するこの難役をこなした彼は、本作『エクスタント』で、その溢れる才能を余すところなく見せてくれる、いや、才能で"魅せて"くれるのだ。

 

13話構成で、ストーリーの半ばから一気に運命の嵐に巻き込まれるようなスピード感、緊迫感のこのドラマに、渾身の覚悟で取り組むハリー・ベリーの熱演。見る者すべてを引き込むであろうピアースくんの驚異的な怪演(凄く、可愛らしい少年なのに!!!)。そして本作で総指揮のスピルバーグから直々に推薦され配役されたという真田広之演ずる、静かなる野望が見え隠れするヤスモト・ヒデキ役など、豪華キャスト陣の演技バトルは、海外ドラマファンなら「必見!」と言えるものであることは間違いない。(※敬称略)

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さて...
素晴らしい演技陣について語らせて頂いたあとに大変恐縮ですが、本シリーズの終盤の第11話のエピソード「A New World(邦題「新世界」)」では、ヤスモト氏に仕える人物として、シリーズ全キャストの末席ながら、このコラムを書く僕自身も登場の機会を頂きましたことをお伝えします。身の引き締まる、本当に光栄な現場でした。

トップ級スタッフの撮影の光景、本番の緊張感、見事に仕上げられた美術、真田さんのハリウッドの日本人像やイメージを牽引する凄み、共演時の興奮など、この『エクスタント』の魅力に迫るコラムは、数回のシリーズでお送りしていきたいと思います。

どうか、海外ドラマファンや映画ファンの皆さま、
このSFミステリー巨編のシリーズ放送にご期待下さい!!!

 

 

■『エクスタント』WOWOWプライムにて放送決定!
<レギュラー放送>
4月4日(土)二か国語版・毎週土曜よる11:00~/字幕版・毎週水曜よる10:00~
※第一話無料放送
http://www.wowow.co.jp/drama/extant/

Photo:
『エクスタント』 (C)2014 CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.
尾崎英二郎