『リベンジ』ファイナルシーズン 芦名星インタビュー「最高のラストをぜひ最終回で観てもらいたい!!」

2011年より全米ABCで放送され、高視聴率を獲得したサスペンスドラマ『リベンジ』。主人公エミリーの復讐と次々と起こる予想できない展開、そして多彩なイケメンキャラの登場もあって人気を獲得した本作もついにファイナルシーズンを迎える。亡き父に捧げる執念の復讐に3年の歳月を費やして、ついに宿敵ヴィクトリアを病院送りにし、憎きグレイソン一族を残らず葬り去ったエミリー。あのグレイソン・マナーをそっくりそのまま手に入れ、穏やかに新たな人生を歩むかに見えた。だが、父デヴィッドは生きていた。ハンプトンに舞い戻ったデヴィッド・クラークをめぐり、エミリーとヴィクトリアが激しく火花を散らすファイナルシーズン! そこで、アフレコ最終日に主人公のエミリー・ソーン/アマンダ・クラークの吹き替えを担当した芦名星が、声優初挑戦の思い出や、『リベンジ』の魅力を大いに語ってくれた。

 

【関連記事】泣く子も黙る、あのドロドロドラマの裏側で新たな事件が!? 『リベンジ』シーズン2のアフレコ現場に潜入!

――本日、最終話のアフレコ収録を終えたばかりだそうですが、ご感想は?

初めての感覚で、思っていたより悲しくなかったです。どうしてかと考えていたのですが、最終話の内容で涙を流してしまったシーンがあるんです。それは物凄く気持ちが入っていて、いろいろな意味でエミリーの結末でもありますし、私としては今日がアフレコの最終日でもあって、そこに思いがのっていて。その時は本当に悲しくて終わりを迎える感じがお芝居の中にあったのですが、終わった時は実感が無いというか、これがラストのセリフだったのだなと。それがなぜかと思ったら、今までずっと一人での収録だったからなんです。

――他の声優の方とは別に一人でのアフレコ収録だったのですか?

そうなんです。アフレコは一人での収録でした。ドラマの撮影だと、共演者とずっと一緒にいて皆で撮影を行って、ラストになったら皆でこれが最後だ!という共有する感覚しか私には経験がなくて。もちろんアフレコ収録も演出家はじめスタッフの皆さんはいるのですが、今までずっと演じてきたエミリー以外の声優の方たちと「終わったね~」ということが無かったんです。ただ一人で「これでラストなのか...」と、しみじみするという気持ちなので。また来週もアフレコに来るような気分で、終わった感というのが、まだ得られていないですね。

――収録は一人だったということですが、他のキャラクターを吹き替えている声優さんと話すことや、アドバイス等を受けるということもなかったのですか?

実はお会いした時に、私からいっぱい質問をさせて頂きました。最初は皆さんのアフレコを見学させてもらったりもしていたので、その時にどのように声を使っているのか、どのように台本をめくるのかとか、いろいろなことを見させて頂きました。大体、同じ日に時間をずらしてアフレコ収録されるので、お会いした時に「こういう時はどうしますか?」とか「自分の声ってどういう風に聞こえていますか?」とか質問していましたね。

――本作が声優の初経験ということでしたが、今後も声優として活動していきたいというお気持ちは?

もちろん、声優のお仕事をさせて頂きたいです。でもやっぱり、最後まで難しかったですね。なんだか、最後まで本当にこれで良かったのかなという反省点が多くて。ただ、もしまた吹き替えのお仕事をやらせて頂けることになったら、とても嬉しいです。

――ご自身でも放送は観られていたのでしょうか?

私はDVDで観ていました。視聴者にはなれないので、ずっと私の中では次がありますし。だから、『リベンジ』という作品については私自身が楽しんで観るというのはできなかったですね。自分が演じているということもありますので。

――今までいろいろなドラマに出演されていましたが、ドラマのお仕事と声優のお仕事は全然違うものでしたか?

全然違いますね。本当に違うと思います。私自身がエミリーという役作りをしたわけではなくて、役者のエミリー・ヴァンキャンプさんが演じているものに対して彼女の表情を理解して、そこから今度は自分の感情に落としていくという不思議な感覚でした。無感情だと言葉は出てこないのですが、でも自分の勝手な感情ではできないというのもあって。でも、あまり感情的になりすぎると言葉が聞き取れなかったりとか、やっているお芝居の感情の流れとか、本当に涙をするシーンは涙も流れますし、怒るシーンは怒らないとできないですけど。またそれも技術が必要なことだったりするんですよね。観ている人に伝えなければいけないので、そこで言葉が濁ってしまったらダメとか、いろいろなことが合わさって、エミリーに乗せていかないといけないので、喋り方からして全く違います。

 

――『リベンジ』はサスペンスのドラマシーンだけでなく、アクションシーンがあるなど吹き替えが難しい作品だったと思いますが、苦労された点はありましたか?

吹き替えでは、私は当然キャラクターと同じようには動けないので、アクションシーンはとても大変でした。ですけど、勢いや強さ、転んだ時とか、アクションには限らないですが立ち上がった時のセリフとか、振り向きつつのセリフとかいろいろな動きがありますが、それをマイクから動かない状態で吹き替えるのが非常に難しかったです。アクションシーンや細かい息づかいまで合わせていかないといけないので、全部アクションの型を覚えて、マイクの前では動かないのですが、一緒に演じてみるという方法で私はアクションに取り組みました。

――エミリーとアマンダという二つの顔を持つ非常に難しい役だと思うのですが、その点はどうでしたか?

エミリーとアマンダという二つの顔どころか、彼女はたくさんの顔を持っていますよね。その時に演じているエミリー・ヴァンキャンプさんは、お芝居で声とか容姿を大きく変えるわけではないんですよ。雰囲気とかは変わっているのですが、声が凄く高くなったり低くなったりもないんです。ただし、私が声を入れる上では少しそこに変化が欲しいという演出の指示がありました。そこの部分では低く、なるべく細くならないような声を意識していました。最初にエミリーの役が始まったので、そこのバランスを取ることが難しかったです。やりすぎてしまうと可愛い声になりすぎて、映像と合わないと演出でダメ出しをもらっていました。

――そんな複雑なキャラクターのエミリーですけど、彼女に共感できる部分はありましたか?

共感できる部分という点では、私は相当入り込んでいました。彼女の気持ちが私自身と一緒とは、あまり考えたことはないですけど。私がこうなってもらいたいと思うことがエミリーと同じようになって重なっていたので、途中で自分の思い通りにならないことが山ほど起こって、彼女はそれに対してお芝居の中で泣くんです。その時にふと見せる表情とか悲しみとかを隠さずに出してくれる作品だったので、そこで本人以上に私が感情的になって吹き替えてしまってはいけないので、抑えながら吹き替えるのが難しかったです。私自身は嫌だとか悔しいとかエミリーと一緒になって思っている時があったので、泣かないシーンでも泣きそうになったりとか、やっぱりいろいろありました。エミリーはとても人間らしいですよね。

――確かにエミリーは復讐者ですけど、感情の無い復讐マシーンとは違いますね。

そうなんですよね。そこのバランスがセクシーで可愛いし、でも強いけど儚くて、まっすぐな子どもみたいな心もあってみたいな。それがエミリーを通して全部見えているのは本当に凄いなと。もし、私がエミリーの役を本当に演じるとなったら、こんな演技が自分にできるのかなと思うぐらい、ヴァンキャンプさんはとても細かい所までお芝居されるので、そこは凄く刺激を貰いました。私は演じるとなったら一つの感情に囚われてしまって、笑わなくなったり、どうしても暗い部分の演技の方に逃げてしまうのですが、彼女は本当に柔らかい表情をするんですよ。その点は私自身に取り入れようと毎回思っていました。

 

――4年間と長くエミリーというキャラクターを担当されると、最後は自分の分身のように、すぐに入り込めるようになったのでは?

感情の上では特に考えることなく、すぐに入り込めました。ただ、吹き替えをするということは違って、声を入れるという作業には本当に最後まで慣れませんでした。「あ、今日は楽にできた」と思う日は一日もなかったです。毎回、「あそこは大丈夫だったかなぁ...」とか。他の声優の方にお話を聞いた時にも、よくあることだと聞いたのですけど「今日は声が何か変だ...」と思うことがありました。自分の中で上手くいかないんですよね。理由は分からないのですが、演出の方からは大丈夫と言われて、「大丈夫なのか...」というのを繰り返していました。吹き替えということには慣れることなく、本番となると、いつも緊張していました。

――どのようなことが最後まで慣れなかったのですか?

難しい言葉が連なっている説明セリフとなると、そこに意識を取られて凄く喋り言葉になってしまうことですね。でも、崩していこうとすると聞き取りづらくなってしまうので。自分の声の癖みたいなものを聞いていると分かるようになってきて、「ここの発音がいつも甘いな」とか思うので、そこを意識して台本に書き込みをしたりしていました。そういう事に関しては、さっきの最後の収録まで、ずっと考えながら吹き替えをやっていました。自分の声の入れ方で、『リベンジ』という素晴らしい作品を壊すわけにはいかないというプレッシャーみたいなものは常にありましたし。出来上がっている作品に私が声を入れていく作業なので、何かを落としてしまうのではないかという不安はこの4年間ずっとありました。吹き替えって本当に難しいというか、全身を使って行うお芝居とは違う、怖さというか不安が常にあるなと感じましたね。

――それでは最後に、ファンの方へファイナルシーズンの見所を教えてください。

『リベンジ』が始まってから作品内でいろいろなことが起きて、みんなが「本当に最後はどうなるの?」と思っていたかと。私もそう思っていました(笑)。でも、これは完全に皆さんがスッとするラストを迎えます。やっぱりファンの方も4年も続けて観てきてくれたので、ラストはスッとしたいと思いますよね。モヤっとはしたくないですよね(笑)。これはもう最後まで期待して、自分がラストに望むことを大いに期待してください。最後に全てが線で結ばれて、何一つ欠けることなく終わります。最高のラストをぜひ最終回で観てもらいたいと思います!!

■『リベンジ』ファイナルシーズン放送情報
Dlifeにて2015年4月12日(日)より放送中。

毎週日曜23:00~[二] 毎週土曜27:00~[字] <再放送>毎週日曜14:00~

Photo:芦名星、『リベンジ』ファイナルシーズン