『デビアスなメイドたち』  果たしてアメリカでは本当に「デビアスなメイドはいるのか」に迫る!

このドラマは、のっけからパワーズ家の金持ち夫人が若いラティーナ(中南米系)のメイドにむかって「この国にやってきて向上心を持つのはエラいことだけど、主人と寝るのをやめなければ強制送還してやるわ」と淡々と脅すところからスタートする。「あんたも何とかいいなさいよ!」と見やった先にはちょこんと座ったダンナが「もういたしません」という、なんともトホホなシーン。だがやがてそのメイド、フローラが豪邸内で何者かに殺されてしまうことからこのドラマが展開する。

デビアスなメイドたち

この番組の主人公となるのは、アメリカで縁の下の力持ち的存在であるラティーナのワーカーたち。往々にして出稼ぎ状態で貧しく、学もないゆえに差別を受けがちの彼女たちだが、そんな境遇の中でも生き生きと頑張っているメイドたちのペーソス(情緒・哀愁)溢れるダーク・コメディが本作である。

(ちょっとネタバレ警報!)
主人公のマリソル(アナ・オルティス)は学識もあり、とてもメイドを生業にしているとは思えないような女性。だが息子エディが無実の殺人容疑で刑務所に送られたことから、真相をあばき息子の容疑を晴らすために、メイドになりすまして金持ち夫婦のスタッポード家で働き始め、やがてフローラの居たパワーズ家にも乗り込むきっかけを作る。その過程で出会うのが、様々な過去を持ちつつも日々ハツラツと生きているほかの「デビアスなメイドたち」である。

デビアスなメイドたち

それにしてもこの番組に登場するお手伝いさんは美人ばかりだ。あんなにキレイな容姿だったらモデルにでもなればいいのに・・・などと余計なことを考えつつ、ド派手でセクシーなメイドたちの"活躍ぶり"を見るのが楽しい。メイドの雇い主たち(特に女主人)がことごとく意地悪で自分勝手な人間であるため、メイドたちがいわばシンデレラ的存在となり、見ている側としては応援したくなる。

ちなみにこのドラマを見ていて素朴な疑問を抱いた。金持ちの家に派遣されるメイドは、一般家庭に派遣されるメイドよりもルックスが良くないとダメなのだろうか!? 実はこの筆者も仕事が重なった時期などに、メイドさんを雇ったことがあった。でも我が家に来てくれた女性と「デビアスなメイド」との共通点といえばラティーナという点だけで、うちのメイドさんは平凡なおばさんだった。そんな経験もあって、「デビアスなメイドたち」を見始めた頃は作り話バリバリなのだろうと思っていたのだが、やがて......!

某スーパーマーケットの雑誌コーナーでゴシップ誌の見出しが目に飛び込んできた。「ベン・アフレック、ベビーシッターと浮気でジェニファーと決裂!」...出たーっ!本物のデビアスなメイドである!!当然ながらベビーシッターはメイドとは違うが、他人の家庭に雇われて家族の信頼の元雇用されるという点ではメイドと同じだ。だが雇用主との"禁じられた関係"については結構よく聞く話で、映画俳優の故ロビン・ウィリアムスやアーノルド・シュワッツネッガー宅にも「デビアスなメイド」がいたことは有名である。故ロビン・ウィリアムスがメイドと関係を持ち当時の奥さんと離婚、やがてその女性と正式に結婚したという話しは、凄いスキャンダルとなった。またシュワッツネッガー家では、長年のメイドで奥さんマリアさんとも個人的に仲が良かったとされる女性が、なんとシュワちゃんと隠し子を成していたという"デビアスな"ニュースは記憶に新しいところだ。

真面目にお家に仕えているメイドさん達にとっては迷惑至極なスキャンダルだが、普段は虐げられている人々がリッチ&パワフルな人間に雇われたときに抱くかもしれない夢と野望は、極めて自然なことだ。「デビアスなメイドたち」が人気を得ている理由は、普通の人なら隠しておく、ときにダークでコミカルな欲望をメイドたちを通して覗き見できるという部分かもしれない。

デビアスなメイドたち

それにしても、この筆者が金持ち家の女主人だったら「デビアスなメイドたち」のような美人メイドなど、危なくて絶対雇わないだろう。安全パイをとって若くて可愛いゲイの男子をお手伝いさんにする。でも待てよ...。うちのダンナは、なぜかゲイにモテる。っということは可愛いゲイ男子のお手伝いもNGである。やはり一番安全なのは、お掃除ロボットのルンバだ...、などとしょうもないことを考えながら、今日も「デビアスなメイドたち」を楽しむ筆者なのだった。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

Photo:『デビアスなメイドたち』
(C)2015 ABC Studios