ヘレン・ミレンさすがの貫禄! 『黄金のアデーレ 名画の帰還』舞台挨拶

アカデミー賞女優ヘレン・ミレン主演で贈る、クリムトの名画をめぐる感動の実話を描いた映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』。現在開催中の第28回東京国際映画祭の特別招待作品に選出された本作の上映に合わせ、10月24日(土)、ヘレンとサイモン・カーティス監督が舞台挨拶イベントに登壇した。

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ヘレンは、本作への出演を決めた理由を聞かれ、「この作品には非常に胸を打たれました。私自身は戦後すぐに生まれた(1945年7月生まれ)のですが、戦時中、両親はロンドンに住んでいました。上空を爆弾が飛び交う中、両親をはじめとした人々がどういう気持ちで暮らしていたのか、彼らの思いをこの映画を通して学び、家族を失うという悲しみ、また自分のアイデンティティーを失うことの辛さを伝える一人になりたかったのです」と説明。また、実在の人物であるマリア・アルトマンを演じるにあたっては、「髪形や目の色を合わせたり、動き方を研究することはもちろん、なによりもマリアの内面に近づくことを意識し、彼女の目を通して物事を考えるように意識しました」と、徹底的に役作りしたことを明かした。するとカーティス監督が「本作を観たマリアの親族は、本当にヘレンがマリアにそっくりだと言っていました」と続けている。

また、映画監督である夫(『愛と青春の旅だち』『Ray/レイ』のテイラー・ハックフォード)の影響で、小津安二郎や黒澤明の作品を何本も見ており、来日するのはプライベートも含めて今回が3度目だというヘレンは「日本には素晴らしい映画文化が根付いていると思います。ファンの方は本当に素敵です」と称賛。さらに、初来日となるカーティス監督を「これからパチンコに連れていきます。彼はそれが何なのか知らないそうなので」と、日本通ぶりを披露した。

途中には、特別ゲストとして石坂浩二が登場。映画のタイトルにかけて黄金に輝く花束をヘレンと監督に渡した。石坂はヘレンに会った感想を聞かれ、「何十年も前、エリザベス女王がNHKにいらした時にすごく近くに並ぶことができたんですが、今回も同じような思いです。ヘレンさんは気品があって本当に美しい方。そして威圧感が本当にすごい。もちろん良い意味でですが」と、映画『クイーン』でエリザベス女王を演じたヘレンのことを評している。

ヘレンは終始サービス精神満載で、自分の長いコメントを訳した通訳を「お疲れ様」とねぎらったり、石坂からもらった花束を一度係員に預けるように言われて「私のよ」と冗談で拒否する真似をしたり、石坂から「ライアン・レイノルズ演じるランディとマリアはいつの間にか自然に相棒になっていて、最後はまるで恋人のように見えました」と言われて「それなら良かったんだけど」とジョークを返したりもしていた。

『黄金のアデーレ 名画の帰還』は、11月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)

Photo:『黄金のアデーレ 名画の帰還』舞台挨拶