『SHERLOCK/シャーロック』特別版「忌まわしき花嫁」劇場公開記念 スティーヴン・モファット氏にインタビュー!

世界的な成功を収めている英BBCの『SHERLOCK/シャーロック』シリーズ。本国イギリスをはじめ、すでに各国で大ヒットしている特別エピソード『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』が日本でもいよいよ2月19日(金)より劇場公開となる。この作品をどんな視点で描いたのか、エグゼクティブプロデューサー・共同制作&脚本のスティーヴン・モファット氏のインタビューをご覧頂こう!

シャーロック 忌まわしき花嫁

――従来のシリーズでは、原作のシャーロック・ホームズをビクトリア時代から、現代に移して描いていますね。

そう。僕らのシャーロックは、ビクトリア時代から現代世界によみがえらせている。

――現代版にすることで、シャーロック・ホームズという古典キャラクターの可能性を広げたわけですが、なぜ、またビクトリア時代に戻して描こうと思ったのですか? 何か特別な理由はありますか?

現代版シャーロックを3シーズン描き、(現代に移した)試みに満足しています。そこで、次はシャーロックが活躍した本来の姿、本来の時代、つまりビクトリア時代でシャーロックの世界を描いてみたいと思ったんです。
それにスペシャル版を作ることが決まり、(従来のシリーズとは違う)特別な物語にしたいと思っていました。せっかくなので何か特別なものにしなければと考えていたんです。特別なホームズにしたいとね。ファンに捧げる特別な楽しみにしたいと。そのために従来のシリーズから離れた方が面白いと思ったわけです。そこで原作通りのビクトリア時代に戻って、特別な「SHERLOCK」にすることにしました。

――映画やドラマなど、これまでもビクトリア時代のシャーロック・ホームズは数多く製作されていますが、「SHERLOCK」のビクトリア版は何が違うのですか?その特徴は?

僕らのシャーロックは、原作のいろいろな要素を取り入れながらストーリーを作り、さらにベネディクトのシャーロックとマーティンのワトソンと共に作り上げている。シャーロックとワトソンの関係性には、僕らならではのユーモアが盛り込まれ、ひと味違った、他とは違うオリジナル世界となっている。原作の世界に戻り、原点的な時代設定に立つという意味では、従来のシリーズとは違うけれど、演出スタイルやトーンは引き続き独自の路線を貫いている。それと同時に、時代背景に即した説得力のある、質の高い、クラシカルなシャーロック・ホームズの世界を作り出そうとした。とにかく僕たちならば、絶対にうまくできるという確信があったからね!だからこそ、ビクトリア版を作ろうと思ったんだ。

――従来のシリーズとは別世界を描くわけですが、シャーロックとワトソンの関係についてはどうですか?従来のシリーズと違う点はありますか?

彼らの関係は従来のシリーズと変わらないよ。ふたりは無二の親友で、一方はたぐいまれなる天才で、もう一方は、誠実で情の深い医師。まったく正反対のふたりなのに、互いを思う大切なパートナーだ。
ビクトリア版でも二人の関係性は、従来の現代版シリーズの雰囲気を引き継ぐ。ただ、ビクトリア版は時代が違うからね。よりフォーマルで、今とは違う風習のある時代だ。接し方は時代によって違うけれども、根っこにある友情は現代版と変わらない。

――このビクトリア版で、現代版と比べて最も大変だったことは何ですか?

今回、最も大変だったのはプロダクションだね。現代版では、今、自分たちが生きている世界なわけだから、カメラを置けば撮影できる。だけど今回は、ビクトリア時代。当時のロンドンはもう存在していない。だから衣装から馬車から街並から、全部、作らないとならなかった。CGIで当時のロンドンの様子を再現するなど、手間がかかっている。これが今まで違って大変だったことだったね。実際、もうこの世にない世界を再構築するわけだから。

――ストーリーについてですが、今回は原作から引用したストーリーですか?

いや、完全なオリジナル・ストーリーだ。原作をもとにして作ったものではない。ただ、原作にあった事件にヒントをもらった。それは原作の中で(事件の名前だけは登場したが)決して詳細は語られなかった事件なんだ。その事件を手かがりに、その内容を膨らませて、ストーリーを作っていった。だから、今回のストーリーは、(原作にもない)まったく新しいものだ。

――時代設定が変わったということで、ベネディクトやマーティンと役について話し合いましたか?

もちろん、彼らとも話し合ったよ。ベネディクトとマーティンに、今回の企画を話した時、二人ともとても興奮していたよ。特にベネディクトは、例の帽子をかぶるのが楽しみだとね。

シャーロック 忌まわしき花嫁

――日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

日本で私たちの『SHERLOCK』を応援してくれることに驚いていると同時に、嬉しい驚きに興奮しています。私たちのドラマが日本でもヒットしてくれてありがたいです。私たちの予想以上でしたので、本当に思いがけない大きな喜びです。日本のファンの皆さんの期待に応えるような作品を作っていきたいですし、皆さんの応援に心から感激しています。

(取材 柏木しょうこ 記事提供:KADOKAWA)

『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』は2月19日(金)より全国ロードショー。


Photo:『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』
(C)2015 HartswoodFilms Ltd. A HartswoodFilms production for BBC Wales co-produced by Masterpiece. Distributed by BBC Worldwide Ltd.