『リミットレス』主人公ブライアン・フィンチ役の浪川大輔にインタビュー!

ごく一部しか使われていないという人間の脳を100%活性化する薬"NZT-48"(以下、NZT)をめぐるサスペンス・スリラーとしてヒットした映画『リミットレス』を、全米ネットワーク局CBSがTVシリーズ化。映画版に主演したブラッドリー・クーパーが映画と同じ役で出演し、製作総指揮も務めたことでも話題を集めた注目の最新海外ドラマ『リミットレス』が、スーパー!ドラマTVで10月29日(土)より第1話&第2話先行プレミア放送、11月23日(水・祝)よりレギュラー放送がスタートとなる。その放送に先駆け、主人公ブライアン・フィンチの声を担当する浪川大輔さんを直撃! 本作の見どころやキャラクターの魅力などを語ってもらった。

 

――新作になりますが、収録をされて、まずこの作品をどのように感じられましたか?

今風のドラマだなと。内容もそうなんですけど、会話のテンポや量も含めて、演出自体が非常にスピード感のある気持ちの良いドラマなんです。会話も細かいところから、まったりしないというか、その中にも、盛りだくさんな要素がいっぱいあるんです。ヒューマンドラマだったり、犯罪モノだったり、仲間との友情だったり、そういうのを含めて、本当に盛りだくさんのお話になっているなと感じました。FBIによる犯罪捜査が中心なんですけど、NZTを飲んで脳を活性化させるというのもテーマですし、親子関係だったりとか、いろいろなものを一気に取り入れているんです。だけど、ゴチャゴチャさせずにスッと入ってくるようにしている点からも、よくできたドラマだなと思いました。

――映画のリメイクとしてドラマ版が作られることはありますが、ドラマで映画版の続編になるというのは珍しいですね。

ドラマの人気が出て、そのストーリーの続きが映画版で語られるという逆のパターンはありますけど、確かに映画からドラマにという流れは珍しいですね。映画からドラマになる時って、同じテイストだけど、あるキャラクターが設定が変更されていたりといったアレンジがされていたりしますよね。でも、この作品はすごく続いている感じがするんです。そこが斬新な感じはします。作られている時代が違うとどうしても見せ方も違ってきて全く一緒にはならないものなんですけど、ドラマの良さ、映画の良さはそれぞれにありますね。

――そういう点で、映画版『リミットレス』のファンにもおススメできるドラマですね。ドラマならではの良さはありますか?

ドラマの良さは、やっぱり続けて見られることだと思います。映画はシリーズの作品もありますけど、基本は一本で完結するものじゃないですか。その一つの大きな映画からドラマになるということは、もっと細かく見られるイメージなのかなと。ただ、映画を細かく切っただけじゃなくて、膨らませながら多くを見せるという点で、本作はすごく丁寧な流れのドラマになっています。

――1時間のドラマシリーズということで、映画版と比べても、よりテンポが良くなっている気がします。

そう感じます。セリフの量をとっても、逆に演じられている役者さんが、よくこのセリフ量を覚えていられるなと思います。僕なんか台本を読みながらでも必死ですから(笑)。本当にこだわりを感じるんですよ。例えば、頭が良いと言っても、天才ではないというところですね。何でも記憶できるとか、自分が持っている脳力を最大限に使うことができるというだけであって、もともと持って生まれた特別な才能があるわけではないんです。そこを演じるのに、何千枚という書類を記憶するシーンとか、ちょっとしか映らないシーンだけど、撮影に時間がかかっただろうなと思いますね。そういうこだわりが随所に見られる作品というのは、吹替えをしていても非常に大変だなと感じています。でも、そういう意味では見応えがあるんですよ。演じる分には大変ですけど、見る分にはすごく面白い作品です。

――主人公のブライアンはスーパーヒーローというよりも、等身大の人間で、非常に好感の持てる人物ですね。

すごく納得できるなと思うのは、記憶に関しても、1週間前に言われたことなんて、普通、全部は覚えてないじゃないですか。数十年前のインパクトがあるようなこと全部を覚えてはいないものなんだけど、「もし全部を覚えていることができたら?」みたいな感じなんです。一回聴いた音楽を忘れていないとかが脳力であって、意外と、みんながやっていることを脳力として最大限に発揮するだけなんですよね。空を飛べるわけでもなく、力が強いというわけでもなく、そういう意味では好感の持てるキャラクターです。

――映画版の主人公は薬を私利私欲のために利用したりと、ちょっとダークな感じがしますけど、ブライアンは少し違いますね。

そうですね。育ちの良さなのか、自然とそうなっていますね。だけど、何と言ってもFBIの監視下に置かれているというのが大きいんじゃないでしょうか。NZTを飲んでいる時に、どうにかしようとするエピソードもあるんです。ただ一錠ずつしか薬をもらえないという、そういう限定された条件があるので、うまく作られているなと感じました。そういう意味ではリアリティーがあるなと。脳を100%覚醒させるなんて、一見リアリティーがない話みたいですが、覚醒しても、脳力としてはさっき言ったようなことがあるので、リアルだなと思います。それに、薬の効果にタイムリミットがあることがリアルな感じを増していて、ハラハラする作品になっています。

――ブライアンは第1話からモノローグも多くて、すごいセリフ量ですね。

そうなんですよ。エピソードが進むごとにセリフ量はドンドン増えています(笑)。今までもセリフの多い作品はありましたけど、この作品が一番多いんじゃないかな。シリーズの中である回だけ特にセリフが多いというのはあっても、全話を通してこんなに多いというのはなかったんです。薬を使うと、脳内のイメージで自分が分身して、自分同士で会話をするシーンが出てくるんです。そうなると一人で二人以上の会話をしなくちゃいけないんですけど、そういうことが普通にあるんですよね。

――その会話シーンを吹替えるのは大変そうですけど、作品の見どころではありますね。

それと、事件を解決するのが大体ブライアンなんですよね。大抵の犯罪捜査モノでは登場する刑事たちそれぞれに爆発物とか何らかの得意分野があって、刑事に当番回があるじゃないですか。だけど、この作品は毎回、ブライアンが事件を解決するんです(笑)。この後にどうなっていくかなんですけど、ブライアンはすごく自覚も責任感も出てくるので、ちょっとした変化を見られます。そういう意味では一話完結で見やすいこともあるんですけど、見続けると、その変化にも気づけると思います。

――突然ブライアンが視聴者に語り掛けてくるシーンなど、演出的にも面白いですね。

突然のカメラ目線とかありますね(笑)。ちょいちょい出してくるんです。「誰に話してるの?」みたいな(笑)。しゃべり方も、ブライアンの色でニュアンスを入れてみたり、自分で挑戦してみたりしているので、話数を追うごとに慣れていくところも注目していただければと思いますね。ブライアンとともに、僕もNZTに慣れてきたって感じです(笑)。

 

――ブライアンは浪川さんの年代に近いキャラクターかと思いますが、何か感じたことはありますか?

実はブライアンの年齢は28歳で、僕よりかなり年下なんです。僕も最初は35歳ぐらいかと思っていたんですけど、こう見えて、ブライアンは意外と若いんですよね(笑)。でも35歳で売れないミュージシャンだと、ちょっとキケンで、いやなニオイがしちゃいますね(笑)。まだ28歳で、ちょっと少年のようなところも残っているので、その点を意識して吹替えてますし、そういうシーンも出てきます。28歳はまだ若いというイメージが一般的だと思うので、見たまんま面白いということもあります。若さというのは大事な要素ですね(笑)。

――本作の吹替を担当される前、同じスーパー!ドラマTVで放送された『ブラックリスト』のシーズン3ではソロモンという悪役の声を担当されていましたが、今回は正義側ということで、何か意識されたことなどは?

ソロモンは暗躍するキャラクターでしたが、『リミットレス』のブライアンはそうではないので、ストレートに台本通りに読めるというのは、とても助かっています。それと、ブライアンの性格もストレートなんで、何か裏で活動しようとすることも全部モノローグでしゃべっちゃうんですよね。台本に書いてある通りなので、見てる人も分かりやすいというのはあるんじゃないかと思います。

――なるほど。ソロモンはペラペラしゃべったりしないので、謎なキャラクターでしたね。

特に犯罪捜査モノは全部が謎になっていると、分かりづらい面もあると思うんです。この作品は、全部ブライアンが説明してくれるので、分かりやすいんですよね。ただ、その使い方がオシャレなんです。脳力の使い方だけでなく、しゃべる内容について焦点を当てているところが上手いんです。その説明が与えられるだけじゃなくて、「そのことを考えてみれば?」という感じのニュアンスもありますし、そのバランスがすごく良いですね。

――ブライアン以外に、本作の印象的なシーンや、オススメな点は?

まずは事件の内容ですね。これまであった犯罪捜査モノも面白かったんですけど、この作品ではありそうでないような事件が多いんです。今も実在するそうですけど、例えば頭で考えるとその通りに動く義手を使った犯罪とか、そういう素材をものすごく使っているんです。NZTに絡んだ事件を常に捜査するわけではなく、NZTを使って事件を解決することの方が多いんですよね。

――毎回、NZTに絡む事件を解決するわけではないんですね。

そうです。NZTに関する事件は最初の方で、その後はもっと世界的な感じになっていくんです。NZTに関する謎が少しずつ明かされていくというのが根底にあるんですけど、そこに毎回、バリエーション豊かな事件が絡んでくるんですよね。だから、毎回どんな犯罪になるのか楽しみなんです。犯罪を楽しんじゃいけないんですけどね(笑)。それと、相棒となるFBI捜査官レベッカや、ブライアンのお父さんであるデニスとのハートフルな関係はぜひ見ていただきたいですね。その二人だけでなく、FBIの仲間や上司との関係などだんだんと世界観が膨らんでいく点もお楽しみの一つです。ただ、ブライアン自身は全く変わらずに、「よう! 俺、ブライアン!!」という感じでFBIのオフィスに入ってきますけど(笑)。

――最後に、見てくださるファンの皆さんへ、メッセージをお願いいたします。

本当に盛りだくさんで、まさに『リミットレス』というタイトル通りの作品になっています。僕自身もかなり挑戦的な役をやらせていただいてまして、吹替えしていて、すごく面白いという実感が沸いています。見ている人にもこの面白さが伝わるよう、スタジオのみんなとスタッフとで一丸となって作っていますので、1回見ていただければ分かると思います。結構、身近な感覚で見られる作品になっていて入りやすいドラマだと思いますので、ぜひ見てください。

 

■『リミットレス』放送情報
スーパー!ドラマTVにて第1話&第2話先行プレミア放送
【二カ国語版】10月29日(土)23:00~
【字幕版】10月30日(日)17:00~

11月23日(水・祝)22:00より独占日本初放送スタート。二カ国語版は毎週水曜22:00より、字幕版は毎週水曜24:00より放送。
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Photo:
浪川大輔
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