『美女と野獣』エマ・ワトソン&ダン・スティーヴンス直撃インタビュー

あのディズニー・アニメーションの名作を、ディズニーが完全実写化した最新作『美女と野獣』が、いよいよ4月21日(金)より公開となる。

そんな話題作でヒロイン、ベルを演じるエマ・ワトソン(『ハリー・ポッター』シリーズ)と野獣役のダン・スティーヴンス(『ダウントン・アビー』)に直撃インタビュー! 撮影秘話やあの"ドレス"にまつわる話など、たっぷりお届けしよう。

――ディズニー・アニメーション『美女と野獣』はまさに"完璧"とも言えるほど素晴らしい映画ですが、今回そんな作品の実写版でアイコニックなキャラクターを演じるにあたりプレッシャーは感じましたか?

ダン:そうだね。もちろんプレッシャーは感じたよ。だけど、同時にものすごくエキサイトしたんだ。こういう映画は僕が子どもの頃にはなかったわけだからね。だから、子どもに返ったように思えてワクワクしたよ。まあ、僕の場合は、いつだって自分の中に子どもっぽいところがあるんだけどね(笑) 今回はとりわけ、テクノロジーのおかげで自分がこんな方法で野獣を演じられるということに、僕の中にある子ども心がものすごく興奮したんだ。ここで使っているテクノロジーは21世紀ならではなわけだからね。ただ、この映画の素晴らしいところは、その最新のテクノロジーを使って、300年も前からある普遍的なおとぎ話を映画化しようとしたところだと思う。それが最高だと思った。だから色々な意味ですごくうれしかったんだよね。

エマ:私も彼の発言に賛成よ。確かに、オリジナルのアニメーションは、本当に"完璧"だったと思う。だから、もちろんそれでものすごくナーバスにはなったわ。でも、ここではそれを実写の映画にしようとしているわけで、アニメーションと、3Dの実写の映画化の間には、ものすごく大きな差があると思うの。つまり、私たちはそういう新しい方法で撮影するから、違った形の映画として完成すると最初から分かっていたの。だから、それによってオリジナルにはなかった新たな面を追加できることもあるし、これまでに観たことのないものを観てもらえる。絶対に違う映画になるから、きっと大丈夫だと思えたわ。

――野獣の体や衣装はCGIで作られたものだと伺っています。エマがきれいなドレスを着て演技をする中、ダン、あなたは人工筋肉スーツを装着し、スティルツを履いて撮影に挑んだわけですが、そこで印象的だったエピソードがあればお聞かせください。

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ダン:そうだね。スティルツを履いていたし、人工筋肉スーツを背負っていた。それから、ボディキャプチャー(体の動き全体の撮影)と、フェイシャル・キャプチャー(顔だけの撮影)は別に撮影したから、同じシーンを全部2回ずつ撮影しなくてはいけなかった。この技術は、これまでロマンチックな物語における主役クラスの役が使ったことがないもので、つまり、この映画で初めてのことだったんだ。だから、この役を演じている時に、ここまで技術が発達したことにまず感謝したよ。おかげで僕が演じる時に、人間の顔の繊細な表情までこの技術が捉えてくれたわけだからね。そのおかげで野獣の顔をしていても、表情がそこから見えてくる。だから映画の歴史の中でも、自分がものすごくエキサイティングな瞬間に立ち会っていると思えたんだ。そんなことが今できるようになったわけだからね。おかげで、本来は、かなり不気味な顔をした生き物から、柔らかさとか、愛すべきキャラクターが表情を通して見えてくる。それがものすごくエキサイティングだと思った。ただ、実際に撮影をするとなったら、普通ではなかったことは確かだった。だからこそ、エマが僕の相手役だったことにすごく感謝しているんだ。というのも、こういうテクノロジーを使ってこれまで演じたことのある役者って、現時点では地球上に数えるほどしかいない。それなのに、エマはまったくそれに怖じ気づいたりしていなかったんだ。それが最高だった。なぜなら、エマが僕の顔を、変なものを見る様に見つめていたら、絶対に上手く演技できなかったと思うからね。

ただ、どんな映画作りのどんな側面にも、想像力というのは必要だ。そしてこの映画の場合、普通よりさらに莫大な量の想像力が必要だったね。それから、僕の顔は、世界中にいる何百人ものデジタル・アニメーターが、何カ月にもわたり、少しずつ作業をしてくれて、それが合わさってできているわけだよね。つまり、自分の演技の一部をその人たちに託したということ。それにも、ものすごく想像力が必要だったよ。

――ベルは父親をかばって城に残ることを決めたり、野獣とのディナーを断ったりと、あのような状況でも強い意志を持って行動していましたが、その強さの理由は何であると考えますか?

エマ:うーんと、そうね。理由の一つは、それが彼女の性格でもあるから、というのはあると思う。それ以外は、きっと母親から受け継いだのね。それから、うーーんと、それ以外は......うーんと分からないわ。時に人って生まれた時からその強さを持っているものでしょ。

ダン:つまり、だからこそ彼女は素晴らしいヒロインなんだ。それがヒロインに必要な特徴の一つだよね。

エマ:そうね......。なぜだか分からないけど、でも、彼女はとにかく強い女性なんだと思うわ。

――今回、オリジナル版にはなかった野獣の歌う曲が劇中に出てきます。ダンの歌声の素晴らしさには感動したのですが、ジャズシンガーである奥様からアドバイスをもらったのでしょうか?

ダン:そうだね。彼女がオーディションの前に僕のコーチになってくれたんだ。それでロンドンにあるロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックの歌の先生を紹介してくれた。その先生は素晴らしい女性で、特定の方法でボーカルのコーチしてくれる先生だったんだ。おかげで僕は夢中になれたし、野獣の話し声を作ることや、歌声を作るにあたり、すごく楽しめた。この役では、歌声とダンスを通して、いかにして物語を語ればいいのか、ということに挑戦した。それはこれまでやったことがなかったから、どれくらい大変でかつ素晴らしいものなのかよく分かっていなかったんだ。だから、この映画の中で歌ったことは、ミュージカル・シアターの、言ってみれば哲学を知るような瞬間だったよ。つまり、歌を歌い出すというのは、キャラクターが、フラストレーションや怒り、喜び、悲しみ、憧れなど、何かしらの強い感情を表現しなくてはいけない時なんだ、というのがよく分かったんだ。つまり、その感情を強調する非常にドラマチックな瞬間に歌うんだというのがよく理解できた。だから今回歌を歌えてものすごく多くのことを学べたと思う。それが素晴らしかったよ。それに、野獣のために書かれた新しい曲は本当に美しい曲だったからね。

――ベルは"自分はプリンセスではない"と劇中で言っていますが、あの黄色のドレスを着てダンスをする姿というのはやはり一番輝いていました。エマは撮影で初めてドレスを着た時、どのような気持ちになりましたか?

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エマ:あまりに夢のようだったわ。本当に。だって本当にアイコニックなドレスで、あのシーン全体があまりにロマンチックな瞬間でもあったでしょ。ただ、あのドレスが着られると思っただけでものすごく楽しみになった瞬間もあったし、また逆にめちゃくちゃ怖くなったこともあったの。なぜなら、"ヤバい! 私が、あのアイコニックで、これだけロマンチックな黄色のドレスを、着こなせるわけがない!"と思ったから。だから、この黄色いドレスを着たことは私の中でも、最高の瞬間だったわ。本当に感動したの。

――ダンはThe TelegraphやThe Times、The Junketなどで執筆活動もされていますよね。もしも第3者のライターとして『美女と野獣』の批評を書くとしたら、そのヘッドラインは何でしょうか?

ダン:(笑)そうだね。昔は書いていたね。"エマ・ワトソンが最高!"それがヘッドラインだよ(笑)

エマ:(笑)優しいわね。

ダン:それから、"ダン・スティーヴンスも、まあ悪くない"かな(笑)

エマ&ダン:(笑)

エマ:それ、絶対書いてほしいわ。私が読みたいもの。

ダン:あとでツイートしておくよ(笑)

――日本では残念ながら、人と違うことは良くないという価値観が少なからず残っています。

ダン:そうなの?

――そうですね。ベルのように他人から何と言われようと前へ突き進んでいくことができればいいのですが、学校や社会の中で孤独を感じている人たちへのアドバイスを頂けないでしょうか?

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ダン:ディズニーのこういうおとぎ話には、虹のすべての色を祝福するようなメッセージがあると思う。それで、例え孤独を感じていたとしても、自分の家族や、住んでいるところ、社会をしっかり見てみると、実はそれぞれの人たちがみんな違うことに気付くはずだ。そして、人間は、人と違っていても、いつだってそれを受け入れるべきだと思うんだよね。だから、自分が人と違っていても怖がらないで、と言ってあげたい。そして、自分が他の人と違って孤独を感じることがあったら、世の中には、きっと君と同じように感じている人が絶対どこかにいるはずだから、それを忘れないでほしい、とも伝えてあげたい。つまり、そう考えると、人はみんな同じなんだよ(笑)

エマ:そうね。とりわけ子どもの頃や、若い時はなかなかそうは思えないかもしれない。でも、成長して大人になり、環境が変わり世界が広がっていく中で、絶対に物事は良くなっていくから。絶対に自分の気持ちを分かってくれる人が見つかるから、と言ってあげたい。世界は広いのよ。世界中には、すごくたくさんの人たちがいるから、心配しないで、ってね。きっとあなたの気持ちを分かってくれる人がいる。だから、あなたのことを理解してくれる人を自分で捜しに行くのよ。正しい考え方を持っている人たちが絶対にどこかにいるはずだから、と言ってあげたいわ。

――子どもから大人まで性別問わず楽しめる作品ですが、"自由であること"、"外見で判断されてしまうこと"といった現代の社会問題にも共通するテーマが含まれています。映画を観終わった後、観客にはどのような思いを抱いて帰路についてほしいですか?

ダン:そうだね。この映画は、家族で観て楽しめて何かを得ることができる作品だと思う。それがすごく大事なところだと思うよ。子ども向け、大人向けのメッセージがあり、子ども向け、大人向けの笑えるシーンもしっかりとある。それから、音楽も最高だから、それをみんなで楽しんでもらいたい。

『美女と野獣』 は4月21日(金)より全国公開。

Photo:『美女と野獣』よりエマ・ワトソン&ダン・スティーヴンス
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