印象的なシーンは、ギルバートの頭を殴った後!『赤毛のアン』エラ・バレンタイン直撃インタビュー

カナダの女性作家L・M・モンゴメリによるベストセラーを、孫娘ケイト・マクドナルド・バトラーの製作総指揮として新たに映像化した『赤毛のアン』。5月6日(土)の日本公開に先駆けて、初来日を果たした主人公アン・シャーリー役のエラ・バレンタイン(『殺人の啓示 ~死を誘う男~』『REIGN/クイーン・メアリー』)を直撃! まるでアン本人のように、目を輝かせながら楽しそうに語る注目の若手女優に、作品の魅力やアンに対する思いを語ってもらった。

――日本にいらしたのは初めてとのことですが、印象はいかがですか? 桜を楽しまれたそうですが、他にどんなことを体験されましたか?

これまでに私が目にしたどんな場所とも違っていて、すごく気に入ったわ。家族で原宿に行ったんだけど、とてもクールだった。クレープも食べたのよ。

――この役のオーディションについてお聞きしたいのですが、赤毛のおさげ髪や当時の服装といったアンらしい姿で臨んだのですか?

いいえ、普段の恰好で臨んだわ。実際にどんな格好だったのかは正確には覚えていないんだけど(笑) あの時のオーディションは大変だったの。ひとたび撮影開始となれば、髪形も衣裳もちゃんと役に合わせているし、セットにいるから、すんなりと役に入り込めるんだけど、オーディションでは私自身の恰好だし、監督(ジョン・ケント・ハリソン)はその場にいなくてスカイプを通しての参加だったから。だから、相手がどんなものを望んでいるのかを感じ取るのがすごく難しかった。そんなわけでこのオーディションが終わった時は、普段のオーディションとは違って、良かったのかどうかの手ごたえがいま一つつかめなくてモヤモヤしちゃった。

――もともと「赤毛のアン」のファンだったそうですが、世界中で愛される作品の主人公に選ばれたことのプレッシャーはありましたか? また、どんな役作りをされたのでしょう?

選ばれたと聞いた時はすごく嬉しかったけど、同時にとてもナーバスにもなったわ。だってアンはすごく知られたキャラクターで、カナダではもちろん、日本でもこんなに人気だから。みんなが、アンといえばこんな女の子だというイメージをすでに持っていると思うの。そこはどうしてもプレッシャーに感じるところね。原作者L・M・モンゴメリの孫娘であるケイト・マクドナルド・バトラーが製作総指揮として参加していることからも、期待を裏切るわけにはいかないという思いがいっそう強くなった。原作やミュージカル、アニメなどを通して、それぞれが抱いているアンのイメージがあるだろうけど、私が演じているアンも好きになってもらえたら嬉しいわ。

――アンとして、家畜の世話や家の手伝い、当時の遊びなど普段とは違う体験をいろいろされたと思いますが、特に苦労したことはありましたか?

すごく面白い体験だった。アンは毎朝、鶏が生んだ卵を回収するんだけど、鶏が嫌いなの(笑) やり方は専門家に教わったけど、卵を取ろうとすると鶏がくちばしで手をつつこうとするから怖かったわ。特にそのうち一羽がすごく攻撃的で、なんでなのかと思ったら、その子はお母さんで、小さい子どもを守るためだったのよね。あとで子どもを抱き上げたんだけど、そのシーンが作品の中にも使われているの。すごく可愛かったのよ。

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――マシュウ役のマーティン・シーン、マリラ役のサラ・ポッツフォードというベテラン俳優のお二人と共演したご感想は?

とっても素敵な経験ができたわ。マーティン・シーンはすごく面白くていつも冗談を言っているの。撮影現場で疲れている時でも、彼が部屋に入ってくると、まるでエスプレッソを飲んだ時みたいに元気が出るの。演技という自分が愛するものに対して情熱を注ぐことも彼から教わったわ。サラ・ポッツフォードも、プロフェッショナルであることの大事さや、周りに質問することの重要性など、いろんなことを教えてくれた。サラに言われた通り監督に質問してみたことで、今まで知らなかったストーリーやキャラクターの片鱗が見えてきて、すごく助かったの。

――監督からもらったアドバイスで特に印象的だったのは?

アンの他のバージョンを見ないように、というアドバイスね。今の時代だとそういう資料は簡単に探せるけど、そのアドバイスに従ったおかげで、監督とケイトと私が望む、独自のアンを演じることができたと思うわ。

――独自のアンを演じたというお話ですが、エラさんがこれまでに抱いていたアンのイメージとは? また、実際に演じたことで新たな発見はありましたか?

最初は陽気で楽観的な子だと思っていたの。でも実はとっても知的なのよね。好奇心が豊かで世界中のあらゆることを知りたいと思っている。そして、家族や友達に対してすごく愛情深いの。発見だったのは、暗い過去ね。マシュウとマリラに引き取られる前、孤児院などでアンが経験した虐待は、原作には描かれているけど、ミュージカルにはなかったから。かつて辛い経験をしたけど、今はマシュウとマリラのもとで幸せに過ごしているというアンの姿を知ることができたのは良かったと思う。

――別のインタビューで、おしゃべりだったり頑固だったり、家族や友人を大事にするという点がアンと自分は一緒だとおっしゃっていましたが、アンが取った行動で自分ならやらないだろうなというものは?

うーん...難しい質問ね。アンのかんしゃく持ちなところは似ていないかな。考え方は似ているけど、当時のアンは今の私よりももっと年下だから、私だったら男の子に髪を引っ張られても石板で頭を殴ったりはしないと思う(笑)

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――ギルバートの頭を石板で殴ったり、ダイアナに出すいちご水とお酒を取り違えたりといった、おなじみのエピソードの数々が本作でも描かれますが、演じる際に特に楽しかったシーンは?

どのシーンもすごく楽しかったわ。特に印象的だったのでいうと...ギルバートの頭を殴った後のシーンね。逃げ出したアンをダイアナが追いかけてなだめるんだけど、アンはギルバートのことなんか全然気にしていないフリをするの。アンの男の子への接し方はすごく興味深かったわね。

――今後、絶対に忘れないであろうというシーンは?

そうね...正直に言って、全部かな(笑) それぞれに思い出があるからどれか一つを選ぶことはできないの。

――当時の可愛らしい衣装に袖を通してみた気分はいかがでした?

楽しかったわ。この作品で私が着るために作られたものだから。マシュウとマリラのところへやってきた当初のアンは、人のおさがりを着ていたからサイズが合っていなかったり汚れていたり破れているの。でも、マリラが彼女のために用意してくれた服はどれも新品で、花柄が描かれていたりすごくガーリーで美しいドレスだったから喜んじゃった。

――今後もアンとして演じ続けることが決まっていますが、アンが主役の原作7冊分すべて演じられる予定なのですか?

2作目と3作目はもう撮影しているんだけど、全部が映像化されるのかどうかは分からないわ。2作目はすでにカナダではお披露目されていて、3作目は建国記念日の7月1日に封切られる予定なの。アンはどんどん成長して、新しい経験をしていくのよ。私はアンと同世代だから、演じていてすごく楽しかったわ。3作目では大学の話も出てくるし、コルセットを着けるほど成長したアンとギルバートのロマンスも花開いていくの。

――アンを演じたことの反響は?

TwitterやInstagramを通していろんな人が感想をくれたの。ほとんどがポジティブなコメントだったからすごく嬉しかった。家族で一緒に楽しんでほしいと思っているから、まさにそういうメッセージを目にした時は感激しちゃった。

――本作は原作の舞台であるプリンスエドワード島で撮影されたそうですが、普段は大都市のトロントに住んでいるあなたにとってどんな印象でしたか?

プリンスエドワード島は本当に美しいところよ。アンが土の赤さや湖水の輝きなどを口にしているけど、彼女が描写する通りの美しさなの。

――エラさんのことをまだ日本のファンはよく知らないと思いますので、女優になろうと思ったきっかけなどを教えていただけますか?

もともと最初にやっていたのはダンスだったの。何かを表現するということでは一緒よね。その後、ある舞台に出たらすごく楽しくて、演技を続けたいって両親に言ったの。最初は趣味だったけど、今ではこれが人生の一部であり、私という人間のアイデンティティーの一部にもなっているわ。自分とは違う人間を演じることで様々な経験ができるのがすごく楽しいの。これからも演じ続けたい。

――ダンスはどんな種類ですか?

最初はバレエね。もう長いこと続けているのよ。あとは、ジャズ、タップ、ヒップホップ、アクロ...って感じでほとんど全部のジャンルかな(笑)

――『レ・ミゼラブル』の舞台でコゼットを演じられたそうですが、今後アンとして歌う場面はありますか?

残念ながら、アンとしては今のところ歌う機会がほとんどないの。クリスマスに聖歌隊として「きよしこの夜」をみんなで歌っているけど、もっと歌えたらいいわね。

――憧れの女優はいらっしゃいますか?

すごくたくさんね(笑) みんなそうだと思うけど、メリル・ストリープには憧れるわ。あと、ミンディ・カリングも大好き。彼女の本も番組もすごく楽しいの。ミンディは「赤毛のアン」が好きだって言っていたから、この作品をぜひ観てほしいわ!

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――先程マーティン・シーンとサラ・ポッツフォードについて話されていましたが、ほかにも同じくカナダ出身のドナルド・サザーランド、スーザン・サランドン、ローレンス・フィッシュバーン、ライアン・レイノルズなどと共演されていますね。

ドナルド・サザーランドの映画に2本出たんだけど、残念ながら本人と会ったことはないの。共演するシーンがなかったから(笑) スーザン・サランドンはすごく面白い人で、カットの声がかかるとすぐにジョークを言ったりするのよ。マーティンとサラもそうだけど、役者としてのプロフェッショナルさゆえなのか、サービス精神の旺盛な人が多いと思ったわ。

――「赤毛のアン」は1800年代後半のカナダが舞台ですが、当時にエラさんが一つだけ現代のものを持っていけるとしたら何ですか?

こういう質問はよくされるんだけど、電気か現代の薬かな。例えばマリラが頭痛の時に一日中ベッドで休んでいるけど、頭痛薬があればすぐに良くなると思うから。

――それでは最後に、日本の皆さんへのメッセージをお願いします。

『赤毛のアン』は家族の愛の重要性、自分に正直に生きることの大事さという普遍的で素晴らしいメッセージが込められている作品なので、ぜひ観てください。気に入ってもらえたらすごく嬉しいわ。

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『赤毛のアン』は5月6日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー。
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Photo:
エラ・バレンタイン
『赤毛のアン』
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