役作りに活用したのはYouTube?!『スプリット』ジェームズ・マカヴォイ直撃インタビュー!

スプリット『シックス・センス』、『ハプニング』、『ウェイワード・パインズ 出口のない街』などで知られる鬼才M・ナイト・シャマランが手掛けるスリラー『スプリット』。本日5月12日(金)から公開となる今作で『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターや『ダークナイト』のジョーカーにも匹敵する新たな"スーパー・ヴィランを演じるジェームズ・マカヴォイに直撃インタビュー! 役を引き受けるまでの秘話や、難しい役どころに対する想いを語ってもらった。

――今作の役を引き受けるまでの過程、また引き受けようと思った理由を教えてもらえますか?

『X-MEN』や『ゲーム・オブ・スローンズ』のメンバーもいるような大きなパーティーがコミコンであって、そこでシャマラン監督とちょっと話す機会があったんだ。お酒も飲んでいたし、クレイジーな状況だったね。大声で叫んでいたし、汗もすごくて...。そのやり取りで、僕がこの役に向いているって監督は思ったのかな? よくわからないけど(笑)

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それで後日、脚本が送られてきて読む前に話がしたいと言われたんだ。そこで監督から「非常にクレイジーな体験になるだろうし、場合によっては怖いと思うかもしれない」と告げられた。自分としてはいい脚本の中で役者として恐怖を感じるというのは、とても良いことだと思っていたんだよね。実際、脚本のクオリティは監督の野望とマッチしていたし、役者だけでなく観客にとっても非常に大胆で挑戦的である作品だと感じたんだ。内容的にも探求している作品であったし、珍しくて変わってはいるけど、芸術的でもあるから、すぐに契約をしたいと思ったよ。

――以前、『フィルス』でも2面性のある役を演じていたと思いますが、今作での役作りのためにどのようなことをされましたか?

『フィルス』のブルースの場合、躁うつ病や麻薬中毒、妄想癖があったりというキャラクターたったけど、『スプリット』のケヴィンの場合、感情的なものや、トラウマになるような出来事、または環境的なものが原因で人格がたくさんあるんだ。

何かの出来事に対し、普通の人は自身の性格の部分が反応し、そして対応をするけど、ケヴィンは性格の一つの性質部分が顕著化し、それが一つの人格となってしまう。そこをまず見出し、カギとしてどういった性質が顕著になり、人格化していったところに注目したんだよ。

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そして、主要な性質の部分をまず築き上げていって、キャラクターを作っていった。通常だと、このキャラクターにはこういう生い立ちがあって、過去があって歴史があってと考えながらプロフィールを作っていくけれど、今回は集団して存在する人格がある中で、どのような性質が人格化していったのか、というところを考えていったんだ。

――では、解離性同一性障害についてかなり調べられたのですか?

うん。リサーチもしたし、医学的な専門家の人にも会って話を伺ったけど、残念ながら実際の患者さんと会うことはできなかった。撮影に入る5週間前に役が決まったから、急いで準備を進める必要があったしね。

また、この分野に関して医学的な情報も色々とあるんだけど、"解離性同一性障害は存在するのかしないのか"といった議論や"妄想癖の一部ではないのか"と言われていたりして、この病症自体が物議を醸しているという状態なんだ。

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でも、僕はこの病気は存在していると信じているから、患者の皆さんは日々どのように過ごしているのかというところにすごく関心があった。例えば、「牛乳を買いに行くときは? 卵を買いに行くときはどうなんだろう」という風に。そこで役に立ったのがYouTubeだね。実際に解離性同一性障害の人たちが日記という形で動画を載せているんだ。また、ドキュメンタリーもたくさん見て、彼らが日々どう過ごしているのかということを垣間見ることができたしね。"電気代を払わなきゃいけないのに、他の人格がお金を全部レゴに使ってしまった"といったようなものとか。医学的な情報よりも、こういった実際の患者さんの体験談が自分にはとても役に立ったよ。

――今作は多重人格者に誘拐された女子高生たちの恐怖を描くスリラーではありますが、見方を変えると多重人格に悩む人を描いた作品でもあります。『X-MEN』シリーズ、『ペネロペ』、『ヴィクター・フランケンシュタイン』など今までの作品でも「他人に受け入れられなくて苦悩する」という人物を演じられることが多いですが、このような役柄に対する想いはありますか?

自分が演じてみたい思う内容として、常に挑戦できるものであったり、新しいことをできるような役だったりするんだけど、ここ数年は確かに精神的にも感情的にも苦しんでいるという役柄を多く演じてきたね。場合によっては薬やアルコール依存症だったりもしたしね。自分としても内面の葛藤とか、悩みを抱えている人に関心があるんだと思う。『ペネロペ』もそうだったけど、その人自身の内面にとても興味があるし、惹かれるんだと思うよ。

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『スプリット』は5月12日(金)より全国ロードショー。

『スプリット』ジェームズ・マカヴォイ
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