「正直なところ、ボイトはとても誠実」『シカゴ P.D.』ジェイソン・ベギー(ハンク・ボイト役)インタビュー

シカゴ消防署を舞台にした人気シリーズ『シカゴ・ファイア』のスピンオフ、シカゴ警察の特捜班の活躍を描く『シカゴ P.D.』。『シカゴ・ファイア』の主人公ケイシーを脅迫し、命まで狙った刑事ハンク・ボイトを主人公に据えた同作より、ボイトを演じるジェイソン・ベギーのインタビューが届いた。事件解決のためなら違法捜査もいとわない、破天荒でワイルドなボイト。一部で"悪徳警官"と見なされながら、本物の警官からは「いつでもボイトの下で働ける」と言われるほど評価が分かれるキャラクターについて、ジェイソンが「誠実」と描写する理由とは――。

――あなたが演じるハンク・ボイトはあまり誠実な男と言えませんが、演じるのは楽しかったですか?

正直なところ、ボイトはとても誠実だと僕は思っているんだ。遠慮なんて全くせず、率直な言動があって、独自の考え方を持っている。でも、うぬぼれていたり、自己中心的な態度を取ったりする男じゃないと思う。疑わしい行動を取っているのは、私利私欲のためじゃなくて、自分の仕事に対する責任感からなんだ。ボイトは正しいのか間違っているのか、いい奴なのか悪い奴なのか、それを決めるのは視聴者だよ。ボイトがバイタリティに溢れている理由の一つは、他人の考えを気にしてないことなんだ。彼は自分が正しいと思っていることをしているだけさ。

 

――『シカゴ・ファイア』が始まった時、自分が主演のスピンオフができると思いましたか?

『シカゴ・ファイア』に出演していた時にスピンオフのことは噂になっていた。当然のことだけど、自分の役が人気だと分かってとても嬉しかったよ。視聴者の誰もがボイトを好いてくれているわけじゃないだろうけど、それでもなおボイトをもっと見たいと思ってくれるなんて、役者冥利につきるね。

――ボイトを演じる上で、役者としてのやり甲斐は?

やり甲斐はどんな時も同じなんだ。演じる人物がどんな人物なのかを突き詰めて、物事の流れを探り出す。ストーリーや状況は束の間のことでしかない。演じる役として、僕がその瞬間にどう反応していくかが大切なんだ。人生でも同じことが言える。世の中へ出て行って、そこに身を置き、成り行きに任せることが必要なんだ。物事の意味を考えてばかりでは、生きているということを活かすチャンスを逃してしまう。大切なのは行動することではなくて、存在することなんだ。

 

――ボイトについてリサーチする中で、巡査部長の仕事を知って驚いたことは?

これまで警官を何度も演じてきたけど、巡査部長は特殊な職業だよね。僕は警官や弁護士、政治家を見分けることができる。それぞれの職業には何かしら共通するものがあるからね。でも、同じ職業の中でもそれぞれ違いがある。だから僕の仕事は、警官でもあるボイトの胸の内を探ることなんだ。そうすることで各キャラクターに特徴を持たせられるんだよ。

――本物のシカゴ警察からはどういった意見がありましたか?

技術アドバイザーの人がいるんだけど、撮影準備を手伝うだけでなく、セットにも常に立ち会ってくれた。彼らなしでは撮影はできなかったよ。一番嬉しかったことは、ネットワークテレビの縛りがあっても、僕らの番組がとてもリアルだと警官の人たちが思っているって耳にしたことだね。それに、ボイトは素晴らしい警官だって本物の警官から何度もはっきりと言われたことには、嬉しさよりも驚きの方が強かった。ボイトは昔かたぎの警官らしくて、彼らは「いつでもボイトの下で働ける」って言っているよ。

 

――『シカゴ P.D.』と『シカゴ・ファイア』の共通点、違いは何でしょう?

二つは全く異なる番組だね。『シカゴ・ファイア』にはソープオペラ的な雰囲気を少しばかり強く感じる。軽蔑の意味で言っているんじゃない。登場人物の私生活が若干多く描かれているってことなんだ。それでも、共通点を挙げるとすると、ボイトが家に帰ったり、女性にキスなどをしたりするシーンはないけれど、彼の人物像から行動の全てが分かるってことだね。僕がいつも考えていることなんだけど、テレビ番組の一話は放送時間にして45分で、登場人物の過ごしている生活の大半はその時間枠の外で起きている。その時間枠外で起きていることをいろいろと想像するのは楽しいよね。それはオレンジに例えられる。オレンジの果肉や皮や種を丸ごと口に入れて吐き出したら、オレンジジュースになっている、なんて想像することで、僕は物事にワクワクするし、興味を保ち、楽しみ続けられるんだ。

 

――冬の間、寒さが厳しいシカゴでの撮影にどう取り組んでいるんですか?

実はね、僕は観測史上最悪のシカゴの冬を体験したんだ。その時は身を切るような寒さで、体感温度で氷点下59度になった日があった。「肺が凍って死ぬ可能性もあるから、10分以上は外に出ないように」と言われていた。その状況で働くのは楽しくなくて当然だけど、『シカゴ P.D.』も『シカゴ・ファイア』も主役はシカゴという街なんだって僕はずっと言っているんだ。とてつもなく寒くなる時もあるけれど、それがシカゴ。それに、その寒さの中にいるかのように演じる演技力は自分にはないと思っているから、実際に寒いおかげで、ある意味、仕事がやりやすくなるよ(笑)

 

――DVDでこういったドラマをイッキ見することをどう思われますか?

自分でやったことはないけど、そういうことをしている人がいるのを嬉しく思うよ。僕らの番組を選んでイッキ見してもらっていることは純粋に嬉しいね。それから、この番組は僕のものだって自分で思うのは本当に簡単なんだ。大きなポスターとかに僕の顔が出ているからね。だから、俳優仲間には常にこう言い聞かせているんだ。「『この番組は彼らのもの』というのは、俳優のものという意味じゃなくて、視聴者のものという意味だ」ってね。これは叔母さんにセーターを編んであげるのと同じことだと思う。セーターを編んで、キレイにラッピングをし、素敵な手紙も添えて、叔母さんに贈るんだ。そうすれば叔母さんはそのセーターを着てくれるし、うまくいけば気に入って、愛用のセーターになるかもしれない。僕らの番組も視聴者がいてこそ存在するんだ。だから、視聴者が僕らの作っているものを気に入ってくれるといいね。番組を続けていく中で毎年、僕らは"新しい服"を視聴者に提供していけるようにするよ。

 

■『シカゴ P.D.』商品情報
6月7日(水)リリース
DVD-BOX(4枚組)...8,000円+税
レンタルDVD Vol.1~8
発売・販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

Photo:『シカゴP.D.』
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