『スター・トレック』脚本家たちを困らせたルール、新TVシリーズでは採用せず

『スター・トレック』の新たなTVシリーズとして、ファンの期待を集める『スター・トレック:ディスカバリー』。本作では、長年にわたり脚本家たちの足かせとなっていたシリーズの制約が取り払われることを、米Entertainment Weeklyが伝えた。

そのルールとは、「宇宙艦隊のクルーの間では大きな対立は生じさせないこと(クルーがエイリアンに意識をのっとられるような事態は例外とする)、また、クルーに強い悪印象を与える描写はしないこと」というもの。過去の全てのエピソードで徹底されていたわけではなく、例えばオリジナル・シリーズでは、スポックとマッコイの口喧嘩が有名だが、シリーズの生みの親ジーン・ロッデンベリーは、理想的な未来像を描くために同ルールを定めたと言われており、ロッデンベリーが亡くなった1991年以降も用いられていた。対立により生まれるドラマや、人間的な欠点を封じるルールは、ストーリーを作る上で大きな制約となっていたと、脚本家たちは指摘している。

しかし、『スター・トレック:ディスカバリー』ではこのルールは採用されないという。ショーランナーのアーロン・ハーバーツは、「私たちは、強い視点と情熱を持つキャラクターを用いて、複雑なストーリーを描こうとしています。未来でも人は誤りを犯します。言い争いは起きるのです」と説明している。また、同じくショーランナーのグレッチェン・J・バーグも、「宇宙艦隊のルールは変わりません。ですが、人間であろうとエイリアンであろうと、完璧な者はいません」と言い添えている。

そうしてキャラクター同士の対立を描きつつも、問題解決の糸口を探る描写に重きを置くことで、ロッデンベリーの理想を引き継いでいくということだ。

1話完結のエピソードが多かった過去シリーズとは対照的に、『スター・トレック:ディスカバリー』は本格的に、ドラマチックなストーリーを連続して描くことが報じられている。ハーバーツらの発言から推し量れるように、今日のTVドラマの趨勢を反映し、幅広い表現でリアルな人間ドラマを作る自由を、製作陣は手にしているようだ。

『スター・トレック:ディスカバリー』は、日本ではNetflixにおいて、9月25日(月)より独占配信スタート。(海外ドラマNAVI)

Photo:『スター・トレック:ディスカバリー』
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