『Marvel ザ・ディフェンダーズ』チャーリー・コックス&フィン・ジョーンズ直撃インタビュー!

マット・マードック/デアデビル、ジェシカ・ジョーンズ、ルーク・ケイジ、ダニー・ランド/アイアン・フィストという4人のヒーローが競演する『Marvel ザ・ディフェンダーズ』(以下、『ザ・ディフェンダーズ』)が、いよいよ8月18日(金)から全世界同時オンラインストリーミングとなる。そのプロモーションでマット・マードック役のチャーリー・コックスとダニー・ランド役のフィン・ジョーンズが来日、揃ってインタビューに応じてくれた。昨年チャーリーは単独で来日したが、今回はフィンも一緒とあってよりリラックス・ムード。登場が遅れるフィンを待つ間、取材前日に行った鎌倉の話を向けると意外な事実が判明。インタビューでは終始兄弟のように仲が良い彼らの絶妙なコンビネーションが随所に見受けられた。

――昨日は鎌倉とかへ行ったんですよね。

チャーリー:え、なんで知ってるの?

――フィンが昨日インスタにアップしてましたから。

チャーリー:そうだったんだ。知らなかった...。すごく楽しかったよ。大仏を見たり、ビーチにも行ったんだ。

――ですよね。それもアップされてました(笑)

チャーリー:なんでも知ってるんだね(笑)

――スパイじゃないですよ。リークしてるのはフィンですから(笑)

(と言っていたところでフィンが登場)

チャーリー:(フィンに)昨日のこと、インスタにアップしてたんだって?

フィン:そうだよ。あ、言ってなかったね。隠し事なんてないんだよ。全部インスタで出しちゃうから(笑)

 

――では本題ですが(笑) 今回の『ザ・ディフェンダーズ』ではヒーローが4人集結するわけですが、チームに対する姿勢や役割がそれぞれ違うと思うんですが、その辺りはどう捉えて演じていたんですか?

フィン:ダニーはマットに比べると向こう見ずなところがあって、マットはもう少しいろいろと考えてから動くタイプなんだ。そういう意味ではマットは4人の中でもお兄さん格で、ダニーに対してもそういう面があるんじゃないかな。そんなに向こう見ずなばかりじゃダメだよ、と諭してくれるんだ。

――ちょっと子ども扱いされているとも言えますね。

フィン:そうだね。ダニーとしては多分嫌なんだろうけど。彼にとっては他人に弱さを見せるのはフラストレーションになっているし、『ザ・ディフェンダーズ』でも何度も壁にぶつかる。でもそれだからこそ、ダニーは成長していけるんだ。自分よりもしっかりとした経験を持った聡明な仲間に囲まれているから、進化していけるんじゃないかな。

チャーリー:マットの場合、これまでの彼を見ての通り、他人と一緒に仕事をしようと思ったことがない人だから、彼らと共闘することにもちょっと躊躇があるんだ。でも『Marvel デアデビル』シーズン2の最後を見ると分かるように、最終的に一匹狼的なメンタリティで彼は大失敗してしまう。そこから彼は少し気づいていたんだと思う。他人に対してもう少しオープンになって、共闘することも必要なんだって。

 

――ダニーもマットも、単独主演作品の中で自分の中のダークサイドを深めてしまってから『ザ・ディフェンダーズ』に至っているような気がするんですが、その辺りについて『ザ・ディフェンダーズ』でどのような変化が見られるのでしょう?

フィン:ダニーの場合、これまでずっと探してきた友人や仲間を『ザ・ディフェンダーズ』でやっと見つけることができたんだ。彼が抱えるトラウマの大きな部分は、人に理解されない、そして自分のアイデンティティというものを見極められずにいる点にあるんだよね。周りにそういう力を持った人がいなかったから。でも『ザ・ディフェンダーズ』で自分と同じような能力を持つ仲間と出会ったことで、その力を責任を持って使うこと、目的を持って使うことに気づいていくんだ。ダニーはそれまではそんなこと、考えたことがなかったからね。だから『Marvel アイアン・フィスト』で闇を抱えていたダニーは、『ザ・ディフェンダーズ』でその闇を少し軽減することができるんじゃないかな。少なくとも、数エピソードは他のヒーローたちより軽妙なシーンが多く見られるよ。だけどやっぱり彼はちょっと無謀なところがあるからね。うっかりするとスグ...(と手で落ちていくジェスチャー)

チャーリー:フィンの言ったこととちょっと似てるんだけど、マットは多分心の中で、自分のやっていることは正しい、良いことなんだと信じてはいるんだ。だけどその自分こそが問題の一部であり、解決するのではなく問題を作ってしまっているんじゃないかと自問することが多いんだよね。トラブルを生み出すとまではいかなくても、少なくとも悪化させているんじゃないかって。そんな時に同じような能力を持った人たちと出会ったことで多分彼が最初に感じたのは、安堵だったと思う。彼らと出会って、自分がやってきたことは決して無益ではなかった、ちゃんと価値があり、何かのために僕らは戦うんだと思えるんだ。そのことが自分のダークサイドを軽くしてくれるんだと思う。きっと他のヒーローも同様で、だから作品としても、これまでのシリーズより軽めのタッチというか、シニカルなユーモアが織り込まれているよ。

 

――このマーベルシリーズの世界観というのはニューヨーク決戦の後が舞台で、スーパーヒーローが存在することが当たり前の世界ですよね。それなのにダニーがクン・ルンの話をしても、特殊能力を持ったヒーローたちが誰も信じようとしないところにはドラマを見ながら思わずツッコミを入れてしまったのですが(笑)

フィン:いいとこ突いてるね。まさにそれこそダニーがフラストレーションを感じているところで、実際「みんな能力を持ってるのになんで分からないんだ!」って言ってるよね。

チャーリー:僕が思うに、まだお互いに出会ったばかりで、ダニーのことを疑っているというか、ちょっとシニカルに見ているんじゃないかな。ドラマの脚本は素晴らしいものだけど、確かにそこはツッコミたいところではあるよね(笑) ルークなんて弾丸すら通さない強靭な肉体の持ち主なのにダニーに殴られてダウンしたにもかかわらず、信じようとしないし。

フィン:もしかしたらシニカルなのはニューヨーカーだからなのかも(笑)

チャーリー:イギリス人なのにそんなこと言って大丈夫なの?(笑) でも確かにみんな、自分が人とは違う特別な能力を持っていることは理解してるんだけど、他の人のことになるとあまり信じようとしないで、ちょっとシニカルに見てしまうところはニューヨーカーだからなのかも。

――ニューヨーカーはとばっちりですね(笑) ダニーもマットも等身大のヒーローだと思うのですが、演じていてヒーローとは何なのか、自分なりの考察はありますか? あなたの中のヒーローは誰ですか?

チャーリー:それは大きな問いかけだね。『デアデビル』をやっている時からずっと考えていることでもあるんだけど、でもマットのヒーローとしての側面は当然みんなが分かっている部分だから、やっぱり彼がどういう行動を取るかがポイントなんじゃないかと考えている。役者として僕らの仕事は脚本で描かれている人物の行動を人間的な感情や、そこからくる行動にきっちりと落とし込むことだと思う。脆くて欠陥のある人間がヒーローと言われている人のような行動をする時、そこに見られるのは大いなる勇気であり、それこそがヒーローとそうではない人を分ける差なんじゃないかな。
僕はデアデビルを演じるようになって、大きなヒロイックな行動ではなく、日常的に少しずつ英雄的な行為をしている人たちこそがヒーローなんじゃないかと思うようになったんだ。他人に敬意を持って優しい気持ちで毎日接することができる人もヒーローだし、そういう意味では僕の父もヒーローだと思っている。それとデニス・ベルカンプ(1990年代から2000年代にかけて、イングランドの強豪クラブ、アーセナルなどで活躍した元オランダ代表のサッカー選手)みたいな数人のサッカー選手もね(笑)

フィン:ヒーローについてはチャーリーの言う通りだと思うけど、僕にとってのヒーローか...。正直、誰かの肩書にするにはヒーローというのは大きすぎる気がするんだ。尊敬する人やインスピレーションを与えてくれる人はもちろんいるんだけど、ヒーローという呼び方を押しつけるのはちょっと重すぎると感じてしまうかな。

――お二人とも本当に親しいのが見て取れますが、人として、役者として、お互いの素晴らしさを感じた部分はどんなところですか?

チャーリー:面白いよね。これがヨーロッパだったら逆に嫌な部分を聞かれてるよ(笑)

フィン:確かに!(笑) チャーリーは現場で一番、何事も考えてから動くタイプなんだ。現場で何かトラブルが起こるとみんなでわーっと解決しようとするんだけど、チャーリーだけは慌てず落ち着いて考えて対処するんだ。俳優としても本当に素晴らしいし、思慮深い俳優だと思う。

チャーリー:(恥ずかしそうに)英国人的にはこんな風に褒められるのは耐えられないよ!(苦笑)

フィン:僕は全っ然平気だよ(笑)

チャーリー:(苦笑) これはダニーというキャラクターの好きな部分でもあるし、それはフィンの性格から来ているものでもあるんだけど、僕が好きなのは彼の熱意なんだ。それって時にあまり恰好の良いものではないかもしれないんだけど、僕も熱意がある方だと思うし、だから熱意のある人が好きなんだ。キャラクターのそういう面を引き出すことができるのは素晴らしいと思うし、カリスマ性に繋がっていくんだと思う。もうみんなが知っている通り、昨日は二人で鎌倉とかに行って楽しんだんだけど、それもフィンが「せっかくだから楽しもうよ!」っていう熱さを持っていたからだったし、彼は何にでも積極的にトライする姿勢を持っているんだ。例えば今日の朝食も、洋食と和食が用意されていたから僕が洋食にしようと思っていたら、フィンは洋食も和食も取ってきて、ものすごい量の朝食を持って目の前に座るんだよ(笑)

フィン:あはは。全部持ってきちゃったよね(笑)

チャーリー:それ何?って思うものもあったけど(笑)、彼を見て僕も追加で和食にもトライしてみた。そういう、何事にもオープンで楽しもうという気持ちを持っているところが本当に好きなんだ。

フィン:ありがと!(笑) でも本当にこれがヨーロッパだったら、お互い一番辛かったのはどういうところ?って聞かれてるね(笑)

――嫌なところを聞かれて答えたんですか?

フィン:具体的に嫌いなところを聞かれたわけではないんだけど、どうしてもネガティブ寄りというか、軋轢に繋げようという聞き方をするんだ。難しかったのはどんなところ?みたいなね。

チャーリー:そうそう!(笑)

フィン:そんな質問が続いて正直ちょっと辟易してたんだ。だから良い方向で話を聞いてくれて嬉しいよ。

 

――『ザ・ディフェンダーズ』ではそれぞれに強い個性を持ったヒーローが揃った一方、それゆえにチームとしてはその個性がぶつかり合ったりもしますよね。多分ヨーロッパでの質問もその辺りから来ていたんだろうと思うんですが、実際の4人のチームワークはいかがでした?

フィン:『ザ・ディフェンダーズ』のヒーローたちは、それぞれの作品で自分から望んで戦いに身を投じていたわけじゃなくて、強いられて何者かと敵対してきたんだよね。『ザ・ディフェンダーズ』にしても、大きな脅威がすぐそこにあるから、「今何かをしなければいけない」という状態なんだ。もし余裕があればチームを組んだりはしなかったかもしれないけど、状況的に迫られてるからやっぱりチームを"組まされる"っていう感があるよね。だからそれぞれの違いをなんとか乗り越えて戦う方法を見つけていかなくてはならない。一方で演じる僕らの方は最初からものすごくウマが合ったんだ。既にみんなそれぞれの作品を撮っていたから、その経験を持ってみんながイコールの関係から始められたんだよ。

チャーリー:まったく右に同じだよ(笑)

――撮影のない時はみんなでどう過ごしていたんですか? 昨日鎌倉に行ったみたいに、どこかへ一緒に出掛けたり?

チャーリー:みんなでよくどこかに行ったよ。主演格の俳優が4人も揃って、ここまで仲良くなるのは本当に稀有なことだと思う、っていうくらい仲良かったんだ。仕事仲間を越えて友情を育んだし、みんなで遊びに行ったことも多かったよ。

フィン:サンディエゴ・コミコンも一緒に行ったしね。

チャーリー:撮影からプロモーションまで、彼らとともに過ごすことは喜びでしかないよ。それに一緒にいるとめちゃくちゃ笑うんだ。

Photo:
チャーリー・コックス、フィン・ジョーンズ
『Marvel ザ・ディフェンダーズ』
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