ブライアン・クランストン、『ブレイキング・バッド』の演技はストーカーになった元恋人のおかげ

大ヒット犯罪ドラマ『ブレイキング・バッド』で主人公ウォルター・ホワイトを演じたブライアン・クランストン。同作の演技で2008年から4度もエミー賞主演男優賞を受賞している彼が、冴えない高校教師ウォルターが次第に悪に染まっていく演技は、なんと、かつて交際した女性のおかげだと発言した。米Highsnobietyが報じている。

ブライアンは、自叙伝である「A Life In Part(原題)」についてのインタビューで、その元恋人との関係を詳細に語った。

「オーディションで出会った女性と交際することになったんだ。でも、様子がいつもおかしくてね。急に元気になったり落ち込んだり。それで薬物中毒だってわかったんだ。私はもともとは警察官を目指していたから、薬には興味もなかったし、今でも彼女が何のドラッグをやっていたのかすらわからない。そんな人だったから、ある時、別れを切り出したんだ。そしたら、こうきたよ。"嫌よ。別れない"ってね。その返答は頭になかったから、どうしていいかわからなくなったんだ」

その後、彼女はブライアンに付きまとうようになったそうで、「私が俳優として活躍するようになったら、ロケ現場にまで来るようになったんだ。留守電にすごい数のメッセージを残すし、ストーカーになってしまった。ある時、彼女の電話につい出てしまってね。そしたら、"殺すわ! 誰か雇って殺させる!"とまで言い出したんだよ。どんどんエスカレートして脅迫される日々を送っていたんだ。結局、彼女は私のアパートまで来て、ドアを叩き始めた。私はベッドで布団をかぶって小さくなって震えていた。でもその時、急に冷静になった。小柄な女性なのに、ものすごいパワーで28歳の男性をここまで怯えさせていると。ベッドから立ち上がり、ドアを開けて髪の毛をつかんでレンガの壁に彼女の頭を何度も叩きつけた。血が出るまでね。何度も。そして気がついたんだ。我に返ったよ。それは現実ではなかったと。誰もいないし、壁に血はなかったんだ。でも、この時の自分の意識をはっきりと覚えている。その時の経験を、『ブレイキング・バッド』の演技に生かしたんだ。この経験があったから、ウォルターは冷静にマイクを殺せた。誰でも殺せたんだ。人間は、追い詰められた環境に置かれると、すごいパワーが出て、どんなことでもできるものなんだと悟ったんだ」

結局その彼女とはきっぱり別れることができたようだが、どこにでもいる中年男性だったはずのウォルターが、恐ろしいまでに平然と人を殺めていき、誰からも恐れられるようになる姿は、そんな大変な経験をもとに演じられていたようだ。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ブレイキング・バッド』
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