世界に今必要なのはこの愛!日本初ソフト化『紅い旋風ワンダーウーマン』由美かおる直撃インタビュー

女性スーパーヒーロー映画『ワンダーウーマン』が日本を含む全世界で大ヒットを飛ばしたことは記憶に新しいが、その元祖と言える1970年代製作のTVシリーズの日本初ソフト化が実現した。今冬発売予定の『紅い旋風ワンダーウーマン』で主人公ワンダーウーマン(リンダ・カーター)の声を担当した由美かおるさんを直撃! 懐かしい思い出やワンダーウーマンの魅力を語ってもらった。

――ついに『紅い旋風ワンダーウーマン』の日本初ソフト化が決まりました。

本当に嬉しいです。37年前の青春というものが再びよみがえってきて、なんだか本当に若い時に戻れるような気がします。いろいろな思い出も一度に思い出すことができるので、二重の喜びみたいな感じもあります。

――由美さんのキャリアの中でも海外ドラマの吹替は珍しかったと思うのですが、この作品に関わることになったきっかけは何だったのですか?

37年前なんですけど、その頃はTVドラマ『ミラクルガール』などの主演作品を掛け持ち、歌手として「誘惑」を歌っていたりとか、舞台だと『マジックと私 マジック狂時代』という作品で女性マジシャンとして、大劇場で実際にマジックをしていました。そんないろいろなことをやっていた中でこのお話を頂いて、「わあ、嬉しい! やってみたい!」と思大喜びしました。小さい時にテレビというと、両親がいつもアメリカの作品ばかり見ていたんです。(TVシリーズの)『アンタッチャブル』とか『ララミー牧場』とか、『ハワイアン・アイ』とか。それで親近感があったので、この話を頂いた時も自然とやってみたいという気持ちになって、昔の思い出なんかもよみがえってきたんです。子ども時代に楽しんでいたものに大人になって出会えて、その吹替ができるなんて本当にラッキーだなと思いました。

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――実際に吹替をされてみて、どのような反響がありましたか?

ワンダーウーマンが素敵だってことと、「なんか由美さんとダブっちゃうね」とか言われたこともありました(笑) 声も素敵でピッタリだということも聞きました。その当時は吹替というものを自然体でやっていました。好きだからということはありましたけど、一生懸命に熱中できて、リンダ・カーターさんのように本物として演じてみたいと思っていました。彼女は声も表情も素敵なので、ずいぶん勉強になりました。

――おっしゃる通り、リンダ・カーターさんがすごくチャーミングですよね。それにファッションも注目で、最初は地味だったのに回を増すごとにオシャレになっていきますが、どのような印象でしたか?

だんだん洗練されていって女心も芽生えてきたのかなという感じで。どんどん綺麗に、おしゃれもファッションもセンスが良くなっていって、女心ってすごいですね(笑) リンダ・カーターさんも歌手として歌っていた歌があって、それを自分のステージでオープニングに入れたりしていたんです。衣装も真似して作ったりしました(笑) それくらい好きでした。

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――当時の吹替収録で印象的だった思い出は?

英語より、日本語では言葉をより多くしゃべらないと意味があわないので、ちょっと早口にしゃべらないと合わないという難しさがありました。だから、それをうまく合わせようとペラペラしゃべっていただけで、ちゃんとハートが込められていたかなと、その後に思ったりしたこともありました。セリフの尺に合わせていかなければいけないスピード感も大事ですけど、それだけにとらわれず、きちんと心からの気持ちでしゃべるようにすることが大切でした。そういう気持ちが出せるようにリラックスを心がけていました。緊張しすぎるとあまりうまくいかなくて舌も回らなくなっちゃうので、リラックスしながらやっていました。

――普段の演技と、声優としての演技で特に違うと思われたことは何ですか?

リンダ・カーターさんの吹替なので、私がそのまま彼女に乗り移ったというような、そういう感じでなりきって吹替をしていました。だから、格好なんかも意識して真似したりはありました。口の開け方なんかもとっても勉強になって、女優としての経験にもつながりました。表情が豊かです。英語と日本語は言葉として響きが違うだけではなく、それを話す人の顔の表情まで全く違うんだなと思ったんです。それなら日本語を英語的にしゃべっても魅力的なんじゃないかなと、そういう捉え方もしていました。

――日本版オリジナルの主題歌「愛の冒険者」も歌われていましたね。

作詞も作曲も有名で素晴らしい先生だったので、現代的であり、都会的であるリズミカルな歌でした。カラオケも素晴らしいんですよ。それに歌をそえたわけなんですけど、もう一度録音をしてみたいなと思っているんです(笑) あの頃の若い40年前に比べて、今なら、もうちょっと魅力的に歌えるかなと(笑)

――当時のTV放映や再放送を見ていた方にとっては久々に由美さんの声との再会となりますね。

"青春よ、再び"ではないですけど、みなさんの青春も思い出しながら、その時代に戻った気持ちになって楽しんで頂けたらと思います。私も青春時代のいろいろな出来事や、その当時のことを思い出します。それによって頭が働くので、それも良いかなと思います(笑) リンダ・カーターさんをもう一度ご覧になって、良きアメリカの時代だけでなく、良き日本の時代も感じて頂けるといいですね。

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――若い世代にも見てほしいですね。

そうですね。こういう時代もあったんだよということで、またそれが若い方たちには新しく感じられると思います。

――TVシリーズを初めて見る方のために、見どころを教えていただけますか?

やはりリンダ・カーターさんのキュートでエレガントなアクションと、普段の立ち振る舞いです。とても安心してゆったりと見られるワンダーウーマンで、小さいお子さんからご年配の方まで一緒に楽しんでいただけると思います。

――本作は初めてに近い女性ヒーローのドラマだと思いますが、吹替をされていた時に新時代の女性のドラマだと感じた点はありましたか?

すごく不思議なパワーを持った強い女性で、しかも美人で自立していて、ぐんぐんみんなを引っ張っていくんです。これは現代にも通用すると思います。良いものってどんな時代でもすごく話題になるんです。正義の味方で悪と戦うというところも、みんなが好きだと思います。めちゃくちゃ綺麗だし。そういうのがミックスされて、全ての要素を持っているということから女性が主役になるというのは分かります。

――現代に映画化されるぐらい続いているワンダーウーマンの魅力とは何だと思われますか?

女性が主役であり、その主人公のワンダーウーマンが成長しつついろんなことを学んで、精神的にも自立した女性であるということです。それと、正義の味方で悪と戦うという勧善懲悪なところでしょう。あとは、やはりワンダーウーマンが女性として持つ愛ですね。(映画版『ワンダーウーマン』では)パイロットが彼女の住む島にやってきたことで男性というものを生まれて初めて見て、感情が芽生えたと思うんです。彼とはいろいろありながら一緒に悪と戦っていくわけですけども、その時にワンダーウーマンは彼の人間としての愛を感じたと思うんです。世の中に今必要なのはこの愛だという風に。ですから、その愛が危機感いっぱいの現代に一番大切なことで、これはもう今の世の中に対するメッセージだと思います。

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――現代では女性が主人公の作品が増えてきていますが、長年エンターテイメント界に関わってきた由美さんは、女性に求められるものへの変化をどう感じていらっしゃいますか?

今の世の中のニーズに合ったものなんでしょう。自分で決断して、自立して、どんどん自分で進んで自分の考えを通していくというのが、今の時代なんでしょう。男性の方もそうですけど、時代の流れがそういう風になってきているのかもしれません。そうしていかないと、この世の中をうまく進んでいけないみたいな。それぐらい、ある意味かなり厳しい時代になってきているんだなと思います。
時代によってヒーローの形も変わって、映画版は昔のリンダ・カーターさんの頃とはまったく違います。あの頃は良きアメリカの時代が残っていた時代だから、エレガントで立ち振る舞いも優雅というか、美しい動きでしたけど、今はトレーニングをして本当にワンダーウーマンになりきって悪と戦うという強さがすごいですよね。そして、どこまでも悪と戦うという姿勢が、映画版でワンダーウーマンを演じるガル・ガドットさんの体中にパーフェクトに出ています。でも映画版でも、やっぱり愛が大事だと彼女自身が悟るところがあってホッとしました。破壊していくだけではなく、戦うだけではなく、最後に愛が大事なんだという描写がきちんとあるんですよ。映画版もぜひ見て頂きたいです。今の時代にとても必要なメッセージを送ってくれている素晴らしい作品だと思います。

――映画版のワンダーウーマンはすでに続編の製作が決定しましたが、今後の作品に吹替として参加されたい思いはおありですか?

また参加したいなと、ずっと思っていました(笑) 合うキャラクターがあればぜひやりたいです。

――もし吹替で担当されるとしたら、正義の味方と悪役のどちらがやりたいですか?

『水戸黄門』を25年間やっていたので、正義の味方がいいかな(笑) 今のところは。でも、悪役がいいと思うかもしれないです。それはそれでまた面白いでしょう。

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■商品情報
・『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』
DVD-BOX(20,000円+税)/デジタル セル・レンタル 発売&配信中

・『紅い旋風ワンダーウーマン』
DVD-BOX前編(DVD5枚組)(25,000円+税) 2017年11月22日(水)発売
DVD-BOX後編(DVD6枚組)(25,000円+税)2018年発売予定
※変更の可能性がございます。
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

Photo:
由美かおる
『紅い旋風ワンダーウーマン』
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