大人気ドラマ『ブラックリスト』から待望のスピンオフとして誕生し、12月11日(月)22:00より海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTVで独占日本初放送される『ブラックリスト リデンプション』(以下『リデンプション』)。主人公は、『ブラックリスト』のヒロイン、エリザベスの優しい夫として登場するも、実は国際的に暗躍する工作員と判明したトム・キーン。『ブラックリスト シーズン3』の終盤で、生き別れた母親が実はレイモンド・レディントンのブラックリストに載っているスーザン・"スコティー"・ハーグレイヴかもしれないと明かされる。そんな謎の多いトムが、本作ではスコティーの指揮の下、自分とエリザベスの命を狙った冷酷でサディスティックな暗殺者ソロモンらとともに、スコティーの経営する会社ハルシオン・イージスで"裏の仕事"に挑むという最強のスパイアクション・ドラマだ。
今回は、スコティーの声を担当する日野由利加さん、トムの声を担当する荻野晴朗さん、ソロモンの声を担当する浪川大輔さんを直撃! 本作の見どころや、演じるキャラクターの魅力について語ってもらった。
――本作は映像や音楽の演出の点から、スタイリッシュなスパイドラマであるように感じましたが、皆さんはどんな点に魅力を感じられましたか?
荻野:『ブラックリスト シーズン3』の第21話と第22話にスコティーが登場して、それがバックドア・パイロットエピソードとして、このスピンオフにつながるんですよね。その回の演出がまさにスタイリッシュなんです。今回の『リデンプション』もスタイリッシュでカッコイイ感じに描かれていて、『ブラックリスト』との色の違いが鮮明なので、そこは本作の見どころとして大きいですね。例えば、作戦の説明を会議している中で、その作戦がすでに始まっている映像が画面を分割してインサートされるんです。つまり、作戦を説明しながら、すでに作戦が進行している映像も流れるという演出が取られていて、そのスピード感は『ブラックリスト』とはかなり違っていて、セリフ量も多い気がしますね。
日野:そうだよね。セリフ量もかなり多いよね。
荻野:『ブラックリスト』でもFBIの中で作戦会議はありますけど、それに比べてテンポが速くてよりキレがあって、トーンが違いますね。
浪川:テンポ感は本家を追い抜いたということですか?(笑)
荻野:抜いたと言いたいですけど、『ブラックリスト』でもレギュラーなので、それは言えないです(笑)
日野:言ってるじゃん(笑)
荻野:(笑) 日野さんはどう思いますか?
日野:そうですね。今おっしゃったことにプラスアルファで、スタイリッシュにつながるという意味で言えば、スコティーを演じているファムケ・ヤンセンという女優の存在感ですね。その存在感によって、男性向けと女性向けの目線にちゃんとサービスがあるという部分は『ブラックリスト』より華やかなところでもありますね。それが彼女のクールビューティーというポジションを際立たせていると思います。
浪川:僕の演じるソロモンは、『ブラックリスト シーズン3』の途中から、思いっきり悪い"THE 敵"という感じで登場させてもらってから『リデンプション』に来たんですけど、双方の作品の演出はかなり違うなと感じました。『リデンプション』はドラマなんですけど映画みたいな部分があったりとか、お二人がおっしゃっているように、見せ方にこだわりを持っているなと思いました。それと『ブラックリスト』では、すごく派手な爆発とかが起きる事件が発生したり、事件の解決の仕方も銃撃戦や爆破シーンで豪快に吹き飛ばしていく印象があるんです。
ですが、本作は撮影一つとってもそうなんですが、人間関係を丁寧に描いているなと思います。『ブラックリスト』のあの激しさから、スピンオフがどういうテイストでどういう風に差をつけるのかなと思っていたら、全く違っていたので驚きました。トムは『ブラックリスト』にも出てますけど、全く違う人のように見える部分もあります。ドラマ好きな方には、このスピンオフはすごく刺さるんじゃないかな。『ブラックリスト』をご覧になっている人も新鮮な気持ちで見ることができると思います。
日野:浪川さんがおっしゃったように、派手なアクションの部分よりも、セリフの中の言葉で中身をえぐっていく感じですよね。一人ひとりの人物像の浮き彫らせ方が、バーンと見せるんじゃなくて、それぞれの過去や秘密といった色々な部分をえぐっていくんです。
浪川:『ブラックリスト』もみんなでチームを組んでやっているところがありますけど、『リデンプション』は映画『ミッション:インポッシブル』みたいに各自に得意分野があって、それで戦っていくところが僕は好きです。同じ意見の人は多いと思いますよ。
――皆さんが演じるキャラクターの魅力や関係性について教えてください。
日野:トムとスコティーは、『ブラックリスト シーズン3』のパイロット・エピソードでは「親子かもしれない」というところで終わっているんですよね。
荻野:トムとしては、100%じゃないにしても(親子であることに対して)かなり確信を持っている感じはしますね。『ブラックリスト』でのトムは、教師でありヒロイン・エリザベスの夫として過ごしていたけれども実は正体が怪しいということでエリザベスと敵対することになって...。でも今は味方に転じるという大きな流れがあったんですよね。彼の内面というのが、さほど出ないんです。そもそも演技してエリザベスに近づいているので、嘘の顔が多かったんですよね。そこから正体がばれてしまうけど、エリザベスのことを結局は愛していることに気づいて、だんだんと人間っぽい顔が出てくるんですけど、何かそれがまだ不器用な感じというように受け取っていたんです。
一方、『リデンプション』では自分の母親と思われる人に会いに行くというところで、ものすごく感情の発露というのがあるんですよ。親子の絆を感じて、すごく優しい笑顔を見せたり、逆に怒ってみたり、怒鳴ってみたりと色々な面が出てくるんです。それがこのスピンオフにおけるトムの新しい面ですかね。『ブラックリスト』では見られなかった部分だと思います。
日野:スコティーについては、ハルシオン・イージスの経営者としての使命感というよりも、母としてどうかという母性の部分が強いように感じました。脚本も、母性の出るシーンが、割合として多かったと思いますね。組織の司令塔ではあるんですけど、司令塔としてではなく、母親として行動しているシーンが多かった気がします。だから、『ブラックリスト』に登場した時よりも、女としてとか、夫に対する妻としてとか、息子に対する母親としてとかいった面がより表現されていて、そこが彼女なりの正義なのかと思いますね。パッと行けない、揺らぐ部分とか弱い部分を見せていました。
荻野:そうですよね。揺らぐ部分とか見えますよね。
日野:それとスコティーの女性的な面としては、トレヴァーという登場人物に1週間でいくらみたいな契約をして、救いを求めているんですよ。彼との関係の中で、息子の姿を追いかけていたり、いろんなものを投影しているんだと思うんですけどね。
浪川:ソロモンはもともと他の登場人物と関係性のあるキャラクターではなかったので、純粋にビジネスとしてトムたちと一緒に行動したり、生きていく上で必要だから一緒にいる感じでした。今回の経験を一言でまとめるならば、本当にトムとスコティーに振り回されました(笑)
荻野・日野:(笑)
浪川:どこのポジションにいるのかというのが難しかったです。それがソロモンらしいといえばソロモンらしいんですけど。『リデンプション』の中で、ソロモンのちょっとした過去とか、どうやってこういう性格になったのかというのがなんとなく見えてくるんです。一匹狼じゃないですけど、『ブラックリスト』でも損得勘定で動いたり危険な香りがすると基本的にさっさと逃げるタイプなんです。みんなに死んだと思われていたら、「生きてんのかい!」と言われるぐらいの役なんですけど(笑) 今回も、これはマズいなと思ったらスッと離れて、いろんなところにちょっと顔を出して去っていく感じのキャラクターなんです。本作は感情の絡みが多い作品なので、他のキャラクターも含めて、絡み方が難しい時もありました。
日野:でも、きっと彼は彼なりに何を信じて生きていったらいいのかという迷いがあったと思うよ。その答えが、スコティーとソロモンの関係にあるんじゃないかな。
浪川:ソロモンは『ブラックリスト』ではちょっとチャラチャラしているイメージがあったんです。だけど、今回は銃を持って歩いているシーンとか、敵と戦うシーンが堂々としていて、カッコイイなと思いました。本当はこういうのが得意なのかなと。『ブラックリスト』では人を使って殺しをするような暗躍する感じでしたけど、今回は自ら動くタイプになっているんです。それからトムとの関係性では、『ブラックリスト』でエリザベスの復讐のためにトムはソロモンを撃ったんですけど、それでもソロモンはトムのそばにいるんですよね。
――正直、ソロモンとトムがチームを組むとは意外でした。
荻野:あれも不思議な関係ですよね。『ブラックリスト』でトムに撃たれてソロモンは死んだのかなという感じだったのに、実は生きていて、二人がチームを組むなんてね。
浪川:普通は喧嘩しますよ。『リデンプション』のエピソードでも、ソロモンがトムに向かって、「お前、また撃つのか」とか言っています(笑) まさにスピンオフっぽい。
荻野:「本当にお前、死なねえな」とかも言うよね(笑)
浪川:そうそう(笑) そういうちょっとクスッと笑えるところもあります。
――そのキャラクターを演じる上で、こだわりはありますか?
荻野:『ブラックリスト』と『リデンプション』では、僕の中で変わっている部分が実はあるんです。『ブラックリスト』では大塚芳忠さんが声を担当するレディントンという大きな柱があって、トムはその中心からちょっと外れたエリザベスの夫というポジションでしたよね。そもそもトムを演じているライアン・エッゴールドの話し方からフワッとしゃべるマイルドな印象を受けていたので、芳忠さんや、エリザベスの声を担当する甲斐田裕子さんがテキパキしゃべる中で、輪郭をハッキリさせないようにしゃべらなければという役作りを基本としていたんです。
だから、トムは若い時から工作員としての訓練を受けてきた生い立ちもあって、どんな状況でも動じないような精神力を持っているんだろうと思い、嬉しい時も、冗談を言う時も、苦しい時も、あまり息が上がったりしないように、あまりぶれないという形を基本線として持っていたんです。だけど本作では、自分の出生に関わるところに触れるので、ぶれや揺れたりするところを意識して、感情を出す時は出そうと考えました。それで、スコティーやエリザベスと話す時には家族が感じる愛情を前面に出して、より優しくしゃべることを意識していましたね。
日野:私は、スコティーには喜怒哀楽の「喜」と「楽」がないと思っているんです。それと、スコティーは背が高くて存在感がすごくあるんですよね。
浪川:スタイルが由利加さんとすごく似ていますよね。画面を見て、吹き替えている姿を見ると、立ち方とか似ているなと思いました。
日野:私、そんな偉そうに立ってる?(笑)
浪川:いや、そうではないです(笑)
荻野:(笑)
日野:彼女って存在感が大きいんですけど、しゃべる時に口をあんまり動かさないでしゃべるんですよ。それって喜と楽がないからだと思うんだけど、そういうしゃべり方に合わせると、ハッキリと、スッキリとはしゃべれないんですよね。それに、スコティーにあるのは怒と哀のみだから、感情をえぐった部分が多くて、収録が終わった後は悶々として帰るくらいなんです。
荻野:役に合わせて口を動かしていくと単純にしゃべりづらいけど、そこをあえてやるということはありますよね。
日野:映画『X-MEN』シリーズでもファムケ・ヤンセンの声をやらせて頂いているんですけど、その時はバーンといけるんです。だけど『リデンプション』に限っては、ずっと怒と哀なんですよ。視線もあまり動かさず、まばたきもほとんどしないですし。すごくしゃべりにくいから、発散できないものがドンドンと自分の中に溜まっていくみたいな感じはありますね。
浪川:ソロモンみたいなタイプの役を、性格や身なりも含めて、あまり演じたことがなくて、最初はどうしようかと思ったんです。『ブラックリスト』の時はちょっとエキセントリックなシーンが多かったので、はじけた表現の仕方が大きかったんです。ですが、今回はソロモン役の役者(エディ・ガテギ)さんもずいぶんとお芝居の仕方を変えてきたなというのが感じられました。がらりと変えたわけではないんですけど、声の出し方も違ったので、ソロモンを演じるエディ・ガテギの声の出し方をちょっと似せて演じてみました。
もちろん声は違いますが、ささやくような演技が多いんです。ねっとりしていて、クセがすごくあるしゃべり方をするんです。日本語と英語の違いがあるので同じにはできないんですけど、似たような雰囲気を出すようにしました。『ブラックリスト』の時と全然違うと思っても、あえてそこは今回のシリーズとしてソロモンを演じてみようという気持ちもあって、そういう風に演じてみたら改めてソロモンが面白い役で、ガテギは面白い役者さんだと感じました。それがすごい発見でしたし、見てくれる人にそれが伝わればいいなと思って、今回はそこにも徹しました。
日野:でも、ソロモンは何を求めているんだろうね。心底やっぱり不安なものがあって、それをスコティーの中にどう見ているのか、トムの中にどう見ているのかが気になるよね。絶対にそういう立ち位置を作っていると思う。
浪川:そうなんですよ。だからソロモンは寂しい部分を見せなくて、おそらく哀愁とかを出さないんです。
日野:出さないんだけど、そこに救いを求めているというか、何かそういう感じはするよね。
浪川:『リデンプション』では、ソロモンは言うこととか意外と優しいですしね。そういうところも見ていただけると嬉しいです。由利加さんにそう言ってもらえて、ありがたいです。
日野:だって、せっかくそういう風に演じ分けているんだから。
浪川:こんなに優しい先輩に出会ったことがないです(笑)
――本作で特に注目してほしいシーンは?
荻野:今回、トムは自分のルーツとして、母を求めてスコティーのところに来るんです。そしてスコティーがどんな人なのかと探っている中で、彼女に愛情を感じて近寄ろうとするんだけど、彼女との関係に迷いもあるんです。トムは幼少の頃から不遇で、すごく荒れていろんな悪事を働いて、それで悪い奴に拾われて、立派な悪い奴になるんです(笑) その後、家族の愛というものはエリザベスと出会うことで感じたんですけど、実際に血が繋がっているかもしれない人との交流というのは初めてなんですよね。それで、すごく嬉しくて、だから子どもの心になっているのに、裏切られたと思うシーンがあって、そこを見ていただきたいです。可愛い感じになってきたのに、切ないという感じがあります。
日野:私が注目してほしいのは、トムとスコティーの関係の真相に迫る一連のシーンですね。スコティーはもともと息子の手がかりを探していて、ある人物が息子かもしれないというエピソードもあるんですよ。そういうことがあった上でのそのシーンは衝撃的でありつつも、そのやり取りはドラマティックじゃなくて、喜怒哀楽の喜と楽がないんです。ドラマティックにした方が簡単だと思うんですけど、そういかない部分があるんですよね。
浪川:スコティーの夫でハワードという謎のおじさんが出てくるんですけど、そのハワードと、スコティー、トムという3人の関係です。どっちの言い分が正しいのか、嘘なのかという関係が繰り広げられるんですけど、そのやり方がすごくて、遠慮がないんです。強者同士のやり取りがこんなにも激しいものなんだという。これはもう一般の感覚では味わえない、まさにドラマでしか味わえないものだと思います。全くありえないわけではないけど、そういう手で来るか!みたいなやり取りがあって、そこにトムがどう入ってくるかとか、見ていて面白いなと思いました。
――スピンオフならではとして、『ブラックリスト』のファンが楽しめる本作のポイントは?
荻野:例えば、『ブラックリスト』ではソロモンが敵として登場していたんですけど、『リデンプション』では彼の内面がちょっと見えたり、子どもの頃の話が語られたりするんですよ。さらに、『ブラックリスト』では、レッドが口上を述べたり世間話をして、「それで、どうなんだい?」みたいな話をするんですけど、似たような感じのことを今回はソロモンがやるんです。そんな、『ブラックリスト』では見られなかったキャラクターたちの一面どころじゃない、何面もの姿を見せてくれるというのがありますね。本作のパイロット・エピソードから登場しているのは、ソロモン、ネズ・ローワン、デュモント・デ・ソートとかですよね。ローワンも、『ブラックリスト』では敵の一人として活躍するぐらいの出番でしたけど、今回はより焦点が当てられてもっと多くの魅力が見られるんです。あの時に出ていたあの人が実はこんな人だったのか!というのが分かるのは、スピンオフの魅力ですね。
日野:驚きがあるよね。良い意味で期待を裏切っていく面白さがこのスピンオフにはあります。
浪川:よくあるスピンオフシリーズだと合同捜査みたいなのがあるじゃないですか。でも、本作はそういう感じではないんです。スピンオフと本家が同じ時間軸で進んでいる感じで、軸が2本あるような作りだと思います。
荻野:そうですね。だから、エリザベスはトムと連絡を取り合うという形で出てきて、何かの流れでFBIに力を借りたいということで『ブラックリスト』のキャラクターがさらに登場したりするんですよね。そういう意味では『ブラックリスト』ワールドのエッセンスを持ちながらも、オリジナル作品的な感じもあります。
■放送情報
<『ブラックリスト リデンプション』>
スーパー!ドラマTVにて12月11日(月)より独占日本初放送!
[二]毎週月曜 22:00~ ほか
[字]毎週月曜 24:00~ ほか
<『ブラックリスト リデンプション』バックドア・パイロット2エピソード>
スーパー!ドラマTVにて11月27日(月)より放送スタート
・『ブラックリスト シーズン3』第21話「スーザン・ハーグレイヴ」...11月27日(月)
・『ブラックリスト シーズン3』第22話「アレグザンダー・カーク(前編)」...12月4日(月)
[二]月曜 22:00~ ほか
[字]月曜 24:00~ ほか
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荻野晴朗、日野由利加、浪川大輔
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