20世紀を代表する芸術家であり、死後約半世紀を過ぎても老若男女、多くの人を惹きつけてやまないアルベルト・ジャコメッティが最後の肖像画の創作過程を描いた『ジャコメッティ 最後の肖像』が2018年1月5日(金)より全国ロードショーとなる。アルベルトを支える弟、ディエゴ役で出演しているトニー・シャルーブ(『名探偵モンク』)が本作の魅力を語った。
1964年、パリ。「絵のモデルになって欲しい」世界中で名をはせる芸術家のアルベルト・ジャコメッティ(ジェフリー・ラッシュ『ジーニアス:世紀の天才 アインシュタイン』)に、個展会場で声をかけられたアメリカ人作家で美術評論家のジェイムズ・ロード(アーミー・ハマー『ソーシャル・ネットワーク』)は、光栄なことであり好奇心もそそられ、よろこんで引き受けた。ほんの数日で終わるはずだったその肖像画の制作は、アルベルト自身の迷い、悩み、葛藤により、一日一日と延びていく。そしてその間、ロードはジャコメッティの意外な素顔を次々と目撃することになる。果たして肖像画は完成するのか...。
本作でディエゴは、兄であるアルベルトの作品モデルを務めたり、兄の代わりに彫刻の土台作りや画商との取引を引き受けるなど、数々の作品に関わる影の立役者であったことが明かされている。トニーは、「ディエゴもアーティストで優秀な彫刻家だった。でも、彼は自分の人生と時間を兄に捧げた。僕が思うにアルベルトがどれほど特別な才能を持っているのかに気づいたディエゴは、彼がその可能性を極めるところを見たかったんじゃないかな。アルベルトの成功には欠かせない存在だったんだ。ユーモアたっぷりのストーリーでもあるから、楽しさや不条理さにも気づいてもらえたら嬉しいな」と兄を支え続けたディエゴと本作の魅力について語っている。
本作の監督であるスタンリー・トゥッチ(『フュード/確執 ベティ vs ジョーン』)とは舞台や映画、テレビでも共演しているが、トゥッチは彼について「トニー・シャルーブは史上最高の俳優の一人だよ。僕の場合、トニーなしに作品を作るなんて、想像できないくらいだ」と語っており、トニーも「スタンリーとはもう何度も一緒に仕事しているよ。彼との友情も仕事上の関係も、もうずいぶん長いこと続いているんだ。彼は僕のことを理解してくれていると思うし、お互いにだといいけど、リスペクトしている。スタンリーに呼ばれたら僕は いつだって駆けつけるよ」と、二人の間にはかなりの信頼があることが伺える。トゥッチ監督には必要不可欠な存在であり、作品に深みを与えるトニーの演技は見逃せない。東京都港区にある松岡美術館ではディエゴの作品「猫の給仕長」を見ることができるので、この機会に足を運んでみてはいかがだろうか。
『ジャコメッティ 最後の肖像』は2018 年1月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)
Photo:『ジャコメッティ 最後の肖像』