本編も曲も要素満載でお気に入り!『リーサル・ウェポン』春畑道哉さんインタビュー

痛快バディものとしておなじみのヒット映画シリーズを、その魅力を生かしつつ現代版にアップデートした人気ドラマ『リーサル・ウェポン』。海外ドラマ専門チャンネルAXNにて2018年1月21日(日)より日本初放送となる最新シリーズでは、TUBEのギタリストとして知られる春畑道哉さんが二ヶ国語版のエンディングテーマを書き下ろしている。ドラマ本編をご覧になってからこの曲「【Re:birth】」を制作された春畑さんを直撃! 作品のイメージにピッタリの疾走感たっぷりでドラマチックな楽曲や、ドラマ本編の魅力について語ってもらった。

――本作をご覧になってのご感想は? 映画シリーズと比べていかがですか?

ドラマのイメージは一言で言うと、「痛快」とか「爽快」とか、スッキリするなという感じですね。毎回一話完結で、その中に友情とか家族愛とかいろんなものが詰め込まれていて。そのエンディングテーマを担当させていただけることになったので、一曲の中に欲張っていろんなものを詰め込もうと考えながら作らせていただきました。

作品は、映画版よりも現代的ですよね。流れる音楽もそうですし、CGもすごく綺麗で、スタイリッシュに感じました。あと、ジーンとくる人間ドラマの部分が好きですね。リッグスとマータフの友情だったり、家族の話だったり。相手のためにすごく危険なところに飛び込んでいっちゃうところが心にジーンときます。ただ暴れているだけだとここまで惹かれていないでしょうから。しかも、その人情的なパートを引っ張りすぎないのがいいですよね。泣くシーンがずっと続くわけじゃなくて、サッと笑いに切り替わるというバランスがいいです。

 

――お気に入りのエピソードは?

シーズン1の最終回ですね。ものすごく凶悪で強大な敵を倒すためにリッグスがメキシコへ向かうんですが、マータフは退職が近づいていて家族のそばにいたいのに、それでも相棒を助けに行くんです。あそこはすごくグッときました。

――リッグスはドラマ版と映画版ではかなりキャラクターが違いますが、違和感はなかったですか?

久々に映画版を見て、「あれ、こんなにも女性に声かけるキャラだったかな?」とは思いました(笑) ドラマ版のリッグスを初めて見た時、ちょっと闇を抱えている悪そうな奴という印象を受けましたが、違和感はなかったですね。メル・ギブソン風のリッグスを今見たら、ちょっと古く感じてしまうかもしれません。ドラマ版の方が時代に合っていると思いますね。

 

――このエンディングテーマ「【Re:birth】」はギターがメインになっていて"攻めた"印象を受けたのですが、これはドラマに影響されてのことなのでしょうか?

このドラマでは、しょっちゅう冒頭で大犯罪が起きるじゃないですか(笑) 銃撃戦や爆発が起きる危険でスリリングでスピーディーな出だしから、イントロのギターリフはすぐ思い浮かびました。実は今回、銃撃戦やパトカーのサイレンの音も曲の中に入れているんです。ギターの音色なのかサイレンの音なのか分からないかもしれないんですけど。ほかにも、歌もので使うと歌に集中できなくなるくらい激しいから普段は使わないようなドラム音源とか、本作のアクションシーンに合うような珍しい音源をいろいろ用いましたね。

――過去のインタビューで、ギターイントロでは「ギターを歌わせたいと思って作っている」と話されていましたが、この曲でもそういう印象を受けました。

そうですね。サビでは爽快感というか痛快感と言いますか、朗々と歌わせたいとは思いました。

――この曲で特に気に入っている部分は?

感動的な部分が長時間続くと、言葉は悪いですが、感傷的になってしまう気がして、泣きの部分のバランスは抑えめにして、サビは感動的でドラマチックというより前向きなイメージのメロディにして、ポジティブな曲に仕上げることができたと思います。

――最後、余韻を残すことなくサッと終わりますが、その意図は?

リフは悪そうな感じで(笑)ビクッとする形で終わった方がいいと思ったので切りました。

――その終わり方が、次の展開を予見させるように受け取れました。

「【Re:birth】2」も作れますね(笑)

 

――制作にはどのくらいの時間をかけたのですか?

お話をいただいてからだと2ヵ月くらいですかね。僕としては長い方です。かなり時間をかけて、何回もやり直しましたね。最初にスタジオに入った時点でほぼほぼこの方向ではあったのですが、多分自分にしかわからないような細かい点にこだわっています。

――曲作りはどのように進められたのでしょう?

ドラマ本編を見ながら、どんなシーンを曲にしていこうかと思っていたんですけど、単に楽しんで観ただけで何も考えつかないまま、そのエピソードを観終わってしまうということが何度もあったんです(笑) 面白くてどんどん見進めていて、気づけば「あれ、曲作ってない...」っていう。シーズン1の(全18話のうち)半分くらいを見た頃からようやく考え始めて。冒頭が銃撃シーンというのが多いから、やっぱりこのリフだな、と。

ドラマではいろんなテーマを取り扱っているんですが、それがスピーディーに入れ替わっているので、僕も同じように一曲の中にいろんな要素を盛り込んでみました。なかなか面白い仕上がりになったと思います。だいぶ気に入っていますよ。

 

――こういう楽曲の方が作りやすいですか?

歌だとどうしても(歌い手の)音域としゃべれる速度の制限がありますが、インストだと音域も速度も思いのままなので、やりやすいです。

――今回のお話を受けて、プレッシャーなどはなかったのですか?

とにかくひたすらワクワクしていたので、プレッシャーは感じなかったですね。楽しませていただきました。

――このテーマのタイトル「【Re:birth】」にはどういう思いを込められたのでしょう?

僕も含めて、誰もがより良くなりたい、前進したいという気持ちがあると思うんですよね。それとやっぱり、リッグスに過去の悲しみから脱却して前向きに生まれ変わってほしい、うまく再生してほしいという思いも込めて、このタイトルにしました。

 

――普段の制作方法は?

作曲パターンはいくつかあるんです。結構多いのは、五線譜にいきなり音符を書くやり方ですね。今回のようにギターリフ主体のものだと、ギターで試行錯誤することもあります。あとはピアノでメロディを考えるとか。曲によって様々ですね。頭の中に突然浮かぶこともあります。

――今後チャレンジしてみたいことはありますか?

今回のお仕事がすごく楽しかったので、引き続きこういうことはチャレンジできたらと思っています。今度はもっと踏み込んで、映画やドラマが作られる時から、「こういう音楽があったらいいよね」という風に最初から音楽制作に関わらせていただけたら楽しいだろうなと思います。

――これから本作を見て、エンディングテーマを聞く方に向けてメッセージをお願いいたします。

こんなにも引き込まれて楽しい作品なんだなと、大ファンになってしまったので、皆さんも何話か見たらもうやめられなくなると思います。エンディングテーマに関しては、自分の活動や作品を通してみても今回は新たなものが作れたと思っています。こういう世界観をもっと広げてアルバム作りに繋げていきたいですね。自分にとって新たな転機になったと言えるかもしれない曲で、すごく愛着も持っているので、楽しんで聞いていただければと思います。

■放送情報
海外ドラマ『リーサル・ウェポン』シーズン2 海外ドラマ専門チャンネルAXNで、どこよりも早く日本初放送!
【HD字幕版】2018年1月21日(日)22:00スタート
【HD二ヶ国語版】2018年1月22日(月)22:00スタート
※エンディングテーマは二ヶ国語版の放送後に流れます
公式サイトはこちら

■楽曲情報
春畑道哉【Re:birth】 2018年1月22日配信リリース
※タイトルには 【  】 も含む
※【Re:birth】の「:」は長(発音記号)が正式表記
春畑道哉公式サイト

Photo:
春畑道哉さん

『リーサル・ウェポン』シーズン2
© Warner Bros. Entertainment Inc.