アカデミー賞大本命『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ監督、「今こそ愛の素晴らしさを」

種族を超えたラブストーリーを描き、本年度のアカデミー賞で作品賞・監督賞を含む最多13部門にノミネートされている『シェイプ・オブ・ウォーター』。日本で3月1日(木)より公開となる本作で監督・脚本・製作を担当するギレルモ・デル・トロが来日、今月30日(火)に都内で記者会見が行われた。

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1月上旬に行われた第75回ゴールデン・グローブ賞の監督賞と作曲賞、ベネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞した本作は、アメリカとソビエトが冷戦時代の1962年を舞台に、幼い頃のトラウマで声が出せない女性イライザと、アマゾンで神のように崇められていた"彼"のラブストーリーを描いている。キャストには、アカデミー賞ノミネート経験のある3人、サリー・ホーキンス(『ブルージャスミン』『パディントン』)、マイケル・シャノン(『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』、リチャード・ジェンキンス(『シックス・フィート・アンダー』)のほか、同賞をすでに受賞しているオクタヴィア・スペンサー(『ドリーム』)も名を連ねる。

デル・トロ監督は、本作を今作った理由について、「人への思いやりが希薄になり、異種に対する恐れが高まっている今の時代にこそ、人が興味を抱きやすいおとぎ話の形を通して愛の素晴らしさを説きたいと思った」と説明。1962年という時代を選んだ理由は、テクノロジーが急成長し、強国同士による開発競争が行われていたりと、「現在と非常に似通った状況」だったためだという。

2006年の『パンズ・ラビリンス』で脚本賞候補となって以来、アカデミー賞に再びノミネートされたことについては、「『パンズ・ラビリンス』でも本作でも自分らしさを表現したので、そういう作品でノミネートされたことがとても嬉しい」と顔をほころばせたデル・トロ監督。さらには、あて書きしたというキャストたちの魅力や、キャスティングする時には「目をポイントにする」という秘訣、劇中で何度も出てくる水中シーンの撮影方法、セットや衣装の色調や模様をテーマに合わせたこだわりなどを語ってくれた。

その後、デル・トロ監督作『パシフィック・リム』に出演した菊地凛子がスペシャルゲストとして登場し、監督に花束を贈呈。久々の再会を喜ぶ二人によって、出演の経緯や撮影中のエピソードも明かされた。

また、人に愛を伝える一番の方法として歌を挙げていた彼は、会見の合間に歌を披露したり、言葉の端々にジョークを交えたり、「チョットマッテ!」といった様々な日本語を披露したり、写真撮影でいろいろな表情やポーズをしたりと、サービス精神旺盛な応対で会場を何度も沸かせていた。

「メキシコの兄弟を助けるために、ぜひ劇場に観に来てね! どうもありがとう」とデル・トロ監督が最後にメッセージを送っていた『シェイプ・オブ・ウォーター』は、3月1日(木)より全国ロードショー。(海外ドラマNAVI)

Photo:ギレルモ・デル・トロ監督と菊地凛子