『トロイ伝説: ある都市の陥落』第1話レビュー リアリティある主人公に注目!

イギリスのBBCとNetflixが共同制作する歴史スペクタクル『トロイ伝説: ある都市の陥落』が現地時間2月17日(土)、第1話の放映を迎えた。イギリス各紙は、5点満点で3~4点の評価を与えており、第1話としてはまずまずのスタートを切っている。キャラクターにフォーカスするという脚本家の宣言通り、ルイス・ハンター演じる主人公パリスが好評だ。

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◆豪華なセット 素晴らしいキャラクター
1600万ポンド(約24億円)という桁違いの予算が投じられる本作では、豪華なセットに目を奪われる。Independent紙(2月18日)は「贅沢なセットデザイン、制作費、SF風のサントラ」を昔のテレビドラマでは考えられなかった要素だとし、「現代のテレビが提供すべきものの象徴」だと述べている。

重厚なシーンにはThe Times紙もご満悦だ。映画のように馬を駆るシーンや、ディテールに満ちた本格的な出産シーンなど、1話の見所を並べる。また、同紙はパリス役のルイスの好演を高く評価している。身勝手で本能のままに動くパリスは、劇中の大きな求心力だ。

Telegraph紙も同じく、人物像の厚みがポイントだと紹介する。2004年版の『トロイ』(ブラッド・ピット主演)では、物語にやや奥行きが足りなかったと惜しむ。一方で本作の1話では、パリスに十分なスポットライトが当てられ、狼に連れ去られ羊飼いに育てられるという苦難の幼少期がしっかりと描かれる。単なる王宮の甘えん坊として批判されることの多かった人物像にしっかりとした肉付けが加わっていると絶賛する。後の重要なシーンのセリフにも説得力をもたらしていると評価しており、ストーリー全体にリアリティーを持たせる効果が出ているようだ。

◆セリフは今一つ?
人物にフォーカスするという手法は、脚本を担当するデヴィッド・ファー氏の思惑通り成功を収めた。しかし、1話を視聴した人々からは不満も聞かれる。脚本の面でThe Times紙が指摘するのは、説明ゼリフの多さだ。第1話としてはまずまず許容範囲だが、それでもあか抜けないセリフまわしは気になったという。

Telegraph紙も、不自然なセリフに引っかかりを感じたと述べる。主役二人の馴れ初めを聞くシーンは、まるで島での生活を通じてカップルを誕生させるTV番組『Love Island(原題)』のようだと感じたようだ。重厚なシリーズの中、軽い言い回しが浮いてしまったのだろうか。一部俳優の北部なまりも設定にそぐわないという。

Independent紙は、暴力とセックスシーンの物足りなさを指摘する。『Taboo』『ガンパウダー』などバイオレンスを売りにしたシリーズのスタイルを継承する形で戦闘シーンが取り入れられているが、それらほど唐突にシーンが始まることがない点を本作の美点に挙げている。しかしそのせいか、観終わった感想としてはやや退屈な印象に終始してしまうと記事では述べている。

◆2話目で伸びること請け合い
公開前から『ゲーム・オブ・スローンズ』の対抗馬として注目を浴びてきた本作だが、1話終了時点でのレビューはどうだろうか? Independent紙(2月16日)は「退屈な幕開け」であったとしており、手厳しい。流血シーンがなかったことから、『ゲーム・オブ・スローンズ』の競合としては取るに足りないという所感を綴っている。

比較的温かい見方をしているのはThe Times紙(2月19日)だ。「『ゲーム・オブ・スローンズ』に比べると入門レベル」だという戦闘シーンには不満を募らせるが、全体としては星4つの高評価を与えている。第2話を観たという記者は、流血シーンも含めて「相当良くなっている」とコメント。8話のシリーズを通して徐々によくなる感触はあったという。作品のクオリティ向上も含めて、本作の盛り上がりを楽しめそうだ。(海外ドラマNAVI)

Photo:『トロイ伝説: ある都市の陥落』
(C) BBC