通勤電車を舞台に、始発から終点までリアルタイムで進行される緊迫怒涛のノンストップ・サスペンス『トレイン・ミッション』。3月30日(金)より公開となる本作のプロモーションのため、13年ぶりの来日を果たしたリーアム・ニーソンを直撃インタビュー!
本作でリーアムが演じるのは、刑事を退職し長年勤めてきた保険会社を60歳で突如リストラされた不運な男・マイケル。途方に暮れながら帰路に向かう電車内、見知らぬ女から「乗客の中から"ある人"を探し出せば、10万ドル支払う」と持ちかけられる。ヒントはわずか3つ。疾走する電車を駆け回り、わずかなヒントを元に容疑者を絞り出していくが、妻と息子が人質に取られていることが発覚。駅の数だけ仕掛けられた罠に翻弄されながら、次第にマイケルは壮大な陰謀へと巻き込まれていく。
――13年ぶりの来日ですが、久々の日本はいかがでしょうか?
性格的に仕事と観光をごっちゃにすることが出来ないんだ。残念ながら今回は、映画のプロモーションのために訪れているから観光気分にはなれないんだよ。でも、昨晩は「すきやばし次郎」の次郎さんにお会いしてね。1981年にボクサーのモハメド・アリにもお会いしたことがあるんだけど、その時の感動を思い出したよ。
――本作への出演のきっかけを教えてください。
出演を決めた理由は脚本が素晴らしかったことと本作で4度目のタッグを組んだジャウマ・コレット=セラ監督の作品であるからということだよ。新作を撮るたびに腕を上げているなと思っているんだけど、特に限定された空間でのストーリー作りが本当に上手いんだ。前回の飛行機(『フライト・ゲーム』)もそうだしね。映画作りの技術的な部分も彼から学ぶことがたくさんあるしね。役者としてすごくインスピレーションを与えてくれる人なんだ。実は来年には、車を舞台にした作品を撮ることも決まっているよ。
――本作で演じる真面目でタフなマイケルとの共通点は?
マイケルとは真逆なんだ。
――それは信じられないですよ(笑)
演技が良かったってことだね(笑)僕はつけ鼻をして全く違う英語のアクセントで話すようなタイプの役者ではないんだ。今回だけでなく、演じる全てのキャラクターに自分自身を取り入れながら、観客がリアルに感じてくれる役にしたいと思っている。セリフは脚本家が書いたものだけど、その言葉がまるで自分から出てきているかのように真実味のある演技をするのみなんだ。
――本作では、若い俳優たちとのアクションシーンを披露されていますよね。しかし、ハリウッドでは年齢を重ねた役者たちが軽視される傾向にあると言われていますが、そのような状況についてどう思いますか?
少なくとも役者の世界というのは死ぬまで仕事ができる業界だと思う。女性にとってはそうでないかもしれないけど、変わっていって欲しいと思っているし、そういう時期にあるよね。ただ、ほかの業界はそういう側面を持っていて、それだけ世界は厳しいとも言える。若さを求めると、せっかく築いてきた経験や聡明さが窓から捨てられてしまうということもあるんだ。でも、僕は人間の可能性を信じたいと思っているよ。
――経験と共に年齢も重ねてきたリーアムさんですが、本作のような映画に出演することで周りに与える意味とは何ですか?
自分の経験を現場で生かすことができるんじゃないかな。例えば、どう演じていいか悩む若い役者に対し、監督もどう説明して良いかわからないという状況がたまにあるんだ。もちろん、監督の立場を揺るがすようなことはしたくないから、陰でそっとアドバイスの方法を提案してみたりすることはあるよ。
――近年はアクション映画に出ることが多いですが、アクションを演じるのがお好きなんでしょうか?
アクションが好きで楽しんで演じているよ。映画の中で銃産業を肯定してしまうような作品には出たくないとは思っているけどね。出演する作品に関しては様々なジャンルをミックスするようにしているよ。既に撮影の終わっているスティーヴ・マックィーン監督の新作『Widows(原題)』では、ヴィオラ・デイヴィス(『殺人を無罪にする方法』)の夫を演じたし、今撮影中の『The Ballad of Buster Scruggs(原題)』は、西部劇だからね。髭を生やしているのもこの作品のためなんだよ。
――多くのファンはリーアムさんが再び『スター・ウォーズ』でライトセーバーを振りかざして欲しいと思っていますが、どうでしょう?
ギャラ次第かな(笑)まだ誰からも連絡はきていないんだ。クワイ=ガンはダース・モールに殺されちゃったし。ゴーストとしての登場も出来るとは思うけどね。
――最近は、多くの映画スターがTVシリーズへ出演しています。リーアムさんも80年代にはミニシリーズに出演されていましたが、今後TVへ戻ることは考えていますか?
今のところTVに出る予定はないし、出演は考えていないよ。ただ、今一番脚本力があるのはNetflixやAmazonといったSVODサービスだよね。なぜ才能ある人たちが惹かれるかは理解できるよ。彼らは製作費を惜しまないし、一風変わった作品のほうが好まれやすい傾向があるからね。自分たちが好きなように制作できる場を求めるのは当たり前なんだ。物語の展開だって2時間の映画と違って、10時間といった長い時間を掛けて掘り下げていくことが出来るからね。映画作りそのものが変わってきている時期だと思うよ。
緊迫怒涛のノンストップ・サスペンス『トレイン・ミッション』は3月30日(金)公開。
Photo:『トレイン・ミッション』© STUDIOCANAL S.A.S..