英国演劇界で最も権威があるとされるローレンス・オリヴィエ賞の授賞式が4月8日(日)に行われ、『ブレイキング・バッド』などで知られるアメリカ人俳優のブライアン・クランストンが演劇部門主演男優賞を受賞した。英Thestageらが報じている。
ブライアンが昨年11月から出演したのは、1976年にアメリカで製作された映画『ネットワーク』の舞台版。映画版はアカデミー賞やゴールデングローブ賞など多数の部門で賞を獲得している作品。報道番組で長年ニュースキャスターを務めているハワード・ビールが、生放送中にも関わらず公開自殺を予告してしまい、即刻解雇となる。しかし、このことがきっかけで、彼はエンターテイメント番組に異動になり...というストーリー。
今回の受賞を受けて、ブライアンは、自国アメリカとイギリスの芸術に対するそれぞれの政府の対応の違いについて、以下のように辛口でコメントを発した。
「政府が芸術への助成をしてくれる国の舞台に立てて、大変光栄に思っています。芸術は、選択肢の一つではなく、国民の健康と幸福のためにはなくてはならない不可欠な要素なのです。この事実が、海を越えてアメリカにまで伝わることを願っています」アメリカではドナルド・トランプ政権のもと、芸術に対する助成金の打ち切りや減額が進められており、それに対する不満を込めた発言だった。
また舞台裏では、「(アメリカ政府の方針は)目先のことしか考えていない愚かなものだ。子供の想像力や社会性を育む力、感性を磨く力を伸ばすことに支援することの方が、歴史の年表を暗記するよりもはるかに大事なことだと思う。イギリス政府はアメリカ政府とは違うようだね。困難なことはどこにでもある。だけど、今回英国ナショナル・シアターに登壇し、ここの関係者たちの1番の使命は、観客の心に響く素晴らしい物語を届けるということだとわかった。もしそれで利益が出るようならそれは素晴らしいことだが、彼らにとってはそれは最優先される事項ではないんだよ」と言及した。
ブライアンは、2014年にトニー賞演劇部門主演男優賞を受賞した『All The Way(原題)』でブロードウェイデビューを果たしている。今回、イギリスでも栄誉ある賞を受賞したことで、英米両国で、生の舞台でもスクリーン上と変わりない実力派俳優であることを見せつける結果となった。(海外ドラマNAVI)
Photo:ブライアン・クランストン
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