『ダウントン・アビー』越えた? 涙と笑いと感動の『コール・ザ・ミッドワイフ』が面白い!

イギリスの歴史ドラマと言えば、『ダウントン・アビー』や『ザ・クラウン』などが浮かぶが、日本ではあまり知られていない超人気作品がある。1950年から1960年代のロンドンの下町を舞台に、若い助産婦たちの生き方を涙と笑いを交えて描いた『コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語』だ。2012年から現在まで放送は続いており、本国イギリスやアメリカで高い人気を博している。比較的新しい時代を舞台にした歴史ドラマにもかかわらず、壮大な古典的作品に混ざって、USAトゥデイ紙の「今見るべきイギリス歴史ドラマ」のベスト10にも選出されており、海外ドラマファンなら必見の作品だ。

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◆貧しい下町でのウーマンパワー。助産婦の大活躍
英BBC製作の本作は、1950年代にロンドンの貧しいイーストエンド地区で、助産婦として働いていた看護婦ジェニファー・ワースの回想録をもとにした作品だ。当時のイギリスでは国民皆保険制度がスタートしたばかり。不衛生なイーストエンドには産科はおろかヘルスケアの概念も乏しい時代で、妊婦たちが頼りにしていたのは、助産婦や修道女たちだった。

そんなイーストエンドの修道院で、郊外育ちで教育のある主人公のジェニー(ジェシカ・レイン)が新米助産婦として働き始める。仕事を通し、これまで知らなかった様々な生き方に遭遇する若い彼女と仲間たちの奮闘ぶりが、涙、笑い、恋を交えて描かれた心温まる作品となっている。

◆アメリカでも好調。重いテーマに涙と笑い
米メディアは『コール・ザ・ミッドワイフ』をポスト『ダウントン・アビー』としばしば呼んでおり、評価はかなり高い。ハフポストのテレビ評論家、モーリーン・ライアン氏は、シーズン1のレビューの中で、ドラマのお産は難しい状況で赤ちゃんを危険にさらし、視聴者をやきもきさせるという安っぽい話に走りがちだと指摘。しかし、労働者階級の妊婦たちの生き方や出産の苦しみと喜びを敬意を持って繊細に描くこの作品は、称賛に値すると述べている。

USA Today紙は、作品は感動や涙を誘うだけでなく、イーストエンドで赤ちゃん誕生を待つ家族の人生を通じ、多くの難問に取り組んでいると指摘する。時代モノではあるが、人種、宗教、中絶、貧困など、現代にも通じる社会問題を取り上げており、シーズンが進むにつれ、同性愛やアルコール依存症などもストーリーに盛り込まれてくるということだ。

もっとも、重いテーマがすべてではなく、笑いを誘うコメディ的な要素もたっぷりだと同紙は述べる。そして助産婦たちが赤ちゃんを無事取り上げるたびに、視聴者がついにっこりとさせられてしまうのがこの作品の良さでもあるとしている。

◆個性豊かな俳優陣、ナレーションにも注目
脇を固める俳優陣の好演も、このドラマの魅力と言える。初期の主人公ジェニーは世間知らずで、世の中の現実に反応するだけで退屈だとNew York Times紙は評しているが、もう一人の経験の浅い助産婦、チャミー(ミランダ・ハート)の登場で救われると述べる。心も体格もおおらか、不器用で自転車に乗るのもぎこちない彼女が、取り乱した妊婦に冷静に対応するシーンは、視聴者に番組をまた見たいと思わせるほど素晴らしいと述べている。

USA Today紙もチャミーを絶賛するが、医師と恋に落ちて修道院を去る修道女のシーラ(ローラ・メイン)、どうにも思うように人生が進まないうわついた看護婦トリクシー(ヘレン・ジョージ)など、印象的なキャラクターが作品を盛り上げていると述べている。また、アカデミー女優、ヴァネッサ・レッドグローブ(『ハワーズ・エンド』)のナレーションも、ドラマに花を添えている。

イギリスではシーズン7までで放送が終了しており(アメリカは放映中)、シーズン8の製作が進行中だ。日本では、Huluなどの動画配信サービスで視聴可能。(海外ドラマNAVI)

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Photo:『コール・ザ・ミッドワイフ』
BBC