あの『ブロードチャーチ』の崖に観光客が殺到!地元自治体は危険な事態に頭を抱える

イギリスの架空の海沿いの町で起こった殺人事件を描いたドラマ『ブロードチャーチ ~殺意の町~』は、遺体発見現場となった砂浜にそびえる崖が印象的なドラマだ。しかし今この崖を目指し、観光客が押し寄せているという。もともと崩れやすい崖で、地元の関係者はいつか事故が起きるのではないかと頭を悩ませている。

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■崖はドラマのシンボル 一目見ようと観光客殺到
『ブロードチャーチ』は、刑事のアレック・ハーディ(デヴィッド・テナント)とエリー・ミラー(オリヴィア・コールマン)が、殺人事件を解明していくドラマだ。シーズン1では、英ITV史上最高と言われる高視聴率を獲得。その後もシーズン2で法廷闘争、シーズン3でレイプ事件を扱い安定した人気を獲得し、惜しまれつつシリーズが完結した。

事件の発端となったダニー少年の遺体が発見された砂浜の背後にそびえる崖は、このドラマの象徴とも言える。撮影場所となったのはイギリス、ドーセットのウェスト・ベイだが、ドラマのおかげで毎年何万人もが訪れる観光名所となってしまった。さらに今の時期は気候が良いこともあり、壮大なパノラマを見ようと観光客が押し寄せていると、現地メディアが伝えている。

■観光シーズン到来で、危険も何のその
英SUNによれば、崖の高さは約150フィート(約45メートル)。砂岩でできているためもろく壊れやすいと言う。これまでに何度も大規模な地滑りが起きており、地元自治体と沿岸警備隊は、「落石危険」「立ち入り禁止」などの立て看板で、崖に近づかないようにと警告している。

ところが観光客のほうは警告にも全く動じず、崖の下にレジャーシートを広げて日光浴を満喫。本格的にテントやビーチパラソルまで設置する人々もおり、ビーチは大盛況だ。英Daily Mailはこの状況に、「太陽がバカ者を連れ出した!」と見出しを付けている。

さらに壮大なパノラマの景色を堪能しようと、崖のてっぺんまで上り、先端ギリギリまで身を乗り出す人々も後を絶たないという。本人の転落の可能性はもちろん、落石や地滑りを誘発し、下にいる人々に被害が及ぶ危険もあるため、地元関係者は頭を悩ませている。

■写真か命?やっかいな自撮り文化
ウェスト・ベイの沿岸警備隊員はDaily Mailに対し、人々はパノラマの景色や完璧なセルフィーを求めるがゆえに、危険の警告を無視してしまっていると述べる。特に、「セルフィー文化」に対処するのは最大の問題だとし、ドラマチックな写真のために、自分の命を危険にさらすことに大きな懸念を示している。

ウェスト・ベイに限らず、イギリスの海岸沿いの崖は浸食が進んでおり、常に崩落の危険性があるということだ。イギリス旅行で海岸部への観光を考えている人は、ぜひ頭に入れておかれることをお勧めしたい。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ブロードチャーチ』
(c) Kudos Film and Television Limited 2017