(※この記事は、『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』のネタバレを含みますのでご注意ください)
居場所のない負け犬たちが、安モーテルの一角で新参レスリング団体を設立。ついに毎週テレビ放送されるまでの人気者になった彼女たちは、その放送枠を維持できるのだろうか? 『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』シーズン2は、昨年大好評を博したシリーズの続編。刑務所内のヒューマン・ドラマを描いた『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の製作チームが贈る、アクションと人間ドラマが楽しい作品だ。
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◆無名のレスリング団体、オンエア枠を獲得
物語のスタートは、前シーズンから数週間後、1985年の夏。番組収録のため、女子レスリング団体GLOWのメンバー14名以上が再集結する。前作では苦心の末にテレビ放送枠を勝ち取ったが、視聴率が振るわず今や存続の危機に。メンバー同士の関係にも暗雲が立ち込める。
友情の力で弱小団体を成功に導いた前作から一転、今回は主人公ルース(アリソン・ブリー)と元親友デビー(ベティ・ギルピン)との緊張がピークに達する。視聴率ばかり気にかける冷血プロデューサー、サム(マーク・マロン)の存在も、GLOWにとって厄介だ。順風満帆と思われた彼女たちだが、勝ち目のない弱者の集団に戻ってしまうのだろうか?
◆ルースとデビー 元親友同士が散らす火花
ストーリーの中核を担うのは、GLOWを家族のように愛する主人公ルースと、自身の新たな契約先を求め利己的な構えに出るデビー。シーズン1でルースはデビーの夫を寝取っており、その確執は根深そうだ。
米Varietyはルース役アリソンとデビー役ベティの演技を絶賛。「負け犬が勝つ」というありがちな型にはまっていたシーズン1に対し、今シーズンではストーリーに深みが出ていると賞賛する。アリソンはチームの一員として居場所を見つけ、徐々に自信をつけるルースを好演。生き生きとしながらもどこか脆い、絶妙なニュアンスを醸し出す。一方のベティも、私生活で困難に直面し、ボロボロになるデビーを巧みに表現している。
ルースは今シーズン、ホテルの一室でテレビ局の重役からセクハラを受ける。傷心の彼女に対してデビーは、体を許してGLOWのテレビ放送継続の取引材料にすべきだったと激怒。因縁の対決はリングの外で続くことになる――。物語の主要メンバーは14人を超えるが、二人にフォーカスをあててストーリーを進行させることで、脱線した感がなく安心して視聴できると米Slantは評価する。
◆冷血漢ルースの裏に、演者自らの過去
登場人物の大半を女性が占める中、男性陣で注目したいのは番組ディレクターのサム。シーズン1当初のサムは冷淡な上司だったが、ルースが中絶する際に付き添うなど、ストーリーが進むにつれ思いやりのある仲間としての姿を見せ始めた彼の人間的成長をSlantは振り返る。ただし今シーズンでは、視聴率が振るわないと知るや否や、放送枠の短縮を即断するなど冷血さを再び見せている。シーズン2を通じたサムの心情の変化も楽しみだ。
サムを演じるマークは、実はコメディアン。ドラマで大きな役を得たのは『GLOW』が初めてだと米Newsweekのインタビューで語る。恥知らずな男を演じきれる秘密は、実体験にあるそうだ。コメディアンとして大成する以前の鬱々とした日々を思い出して役作りを行ったと語るマーク。当時は周囲が自分の実力を理解していないと思い込み、自らのエゴの操り人形になっていたと回顧する。"イヤなやつ"と言う意味において、サムは半分自分自身だ、と打ち明けている。今年に入ってから全米映画俳優組合賞(SAG賞)をはじめとする3つの賞にノミネートされており、そのパフォーマンスレベルの高さを評価。本作の見どころの一つと言えるだろう。
人間ドラマの見逃せない『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』シーズン2は、6月29日からNetflixで公開中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『GLOW: ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』
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