「過去25年で最も人気」英で大好評の『Keeping Faith』 失踪した夫の二重生活に気づいた妻......

イギリスのウェールズで製作されたスリラー『Keeping Faith(原題)』が大変な評判を呼んでいる。英BBCウェールズの25年の歴史の中で最も人気の作品となった上、ストリーミングでも記録を樹立。出産直後の妻が夫の失踪を機に、これまで知らされていなかった秘密に気づき始めるという、シンプルながら興味をそそられるストーリーだ。

夫が失踪、二重生活が明るみに

第3子を出産し、幸せの絶頂にある妻フェイス(イヴ・マイルズ)。小さな弁護士事務所を夫エヴァン(ブラッドリー・フリーガード)とともに営んでいるが、産後の休暇を取り現在は家事に専念している。面倒見の良いエヴァンとの仲は良好。泥酔して女子会から帰った晩も、すでに子供たちを寝かしつけたエヴァンに迎えられ、寝室まで運ばれるほど愛情を注がれている。

しかし翌朝、夫エヴァンの失踪で家庭生活は一変する。依頼人の保釈請求のため仕事に向かったはずのエヴァンだが、一向に職場に現れない。連絡を受けたフェイスは産休を返上、準備もままならないまま法廷へ駆けつける。口頭弁論をこなしながらも、突如仕事を放り出した夫に腸が煮えくり返る。怒りのメールを携帯に送るが、全く返信がない。

ほどなくしてエヴァンは失踪したのだと発覚。何か理由があるはずだと諭す彼の兄弟の説得も虚しく、妻フェイスの不安と疑念は膨れ上がるばかり。家に残された品をあたると、エヴァンのクローゼットから変装用のウィッグと眼鏡に加え、別人名義の身分証が...。フェイスは夫を信じ続け、再会することができるのだろうか? タイトルは妻側から見ると「信念を保つ」、夫側から見ると「(二重生活の相手として)妻をキープする」という二つの意味を持つ。

ウェールズ発、全英で人気のスリラー

イギリスの中でもウェールズは独特なケルト文化と独自のウェールズ語を持つことで知られているが、本作は当初からウェールズ語と英語の両方で撮影が行われた。昨年11月に英地方局S4Cがウェールズ語版を放送、追って今年2月にはBBCウェールズが英語版を放送した。後者は各話平均して30万人に視聴されており、英Evening Standardは、過去25年間で最も人気を集めたドラマの栄誉を手にしたと伝えている。ストリーミング・サービス「iPlayer」では900万再生を突破し、全英ネット以外の番組としての最高記録を打ち立てた。

英Timesも同じく、iPlayerでの好評ぶりを強調。1話目こそありきたりな表現が気になるものの、全8話の本シリーズは、話数を追うごとに面白味が増すと紹介している。

人気の秘訣はそのシンプルなプロットにある、と英Telegraphは分析する。わかりやすさゆえに口コミで話題となり、iPlayerでの配信期間も大幅に延長されることになった。同メディアが指摘するように、軽妙なウィットと不安げな空気がほどよく混ざり合った脚本も、『Keeping Faith』が成功を収めた要因の一つだろう。

妻役のイヴ、めぐまれた資質の上に努力を重ねる

不安の渦中に取り残された妻フェイスをウェールズの名優、イヴ・マイルズが演じる。近年はあまり良い役に恵まれなかったイヴだが、このドラマのためにウェールズ語を学んだという努力家としての一面を紹介し、本作で見事に返り咲いたと英Telegraphは伝える。その笑顔や目の動きなど、生まれ持った魅力を余すところなく生かしているだけでなく、夫役のブラッドリーとは実生活でも夫婦という間柄。こうしたことが熱のこもった演技に貢献しているのでは、と分析している。また、イヴの表情は豊かで、画面の虜になってしまうほどだとTimesも賞賛し、家事を忙しくこなすと同時に、失踪した夫の仕事の穴まで埋めてしまう妻フェイスは、非常にセクシーに見えると表現している。

失踪した夫をめぐるスリラー『Keeping Faith』は、英国向けにiPlayerで配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:イヴ・マイルズ
(C)Kathy Hutchins / Shutterstock.com

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