『iゾンビ』インタビュー【5】デイヴィッド・アンダース(ブレイン・デビアス役)「あなたは大嫌いだけど死んでほしくない、とよく言われる」

蒸し暑い日々が続いていますね。そんな時にはやっぱりホラーでスカッとするのが一番。そのラインナップとして、ちょっと毛色の違う『iゾンビ』はいかがでしょう? タイトルの通りゾンビ作品ですが、ゾンビの主人公が死体安置所に運ばれてきた死体の脳を食べて、それによって得られた情報をヒントに事件の謎を解いていくという斬新な犯罪捜査ドラマです。

今月初めにセカンド・シーズンのDVDがリリースされた『iゾンビ』より、キャストたちのインタビューを5回に分けてお届け! 第5回は、主人公リヴがゾンビになった事件の鍵を握る人物で、ゾンビたちに違法に手に入れた脳を提供することで権力を得ているブレイン・デビアスを演じるデイヴィッド・アンダース

(本記事は、第1シーズンのネタばれを含みますのでご注意ください)

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――ブレインは第1シーズンのラストでリヴにワクチンを打たれたので、第2シーズンではゾンビから再び人間になるんですよね? それがどんな影響を与えるのでしょう?

すごく大きな影響を与えていると思うよ。ゾンビだった頃の彼はもっと自信過剰だったから。ああいうパワーを持っていたから、自分として最悪なバージョンながらも、どこかでは最高のバージョンだったようなところがあったんだ。でも人間に戻ることによって、ブレインは再び脆弱になってしまう。思い通りにいかなくて、節約したりして必死で頂点にのぼり詰めようとする。でも、そういうところを演じるのは楽しいよ。文字通り人間らしくなって、ヒゲをひねり回すみたいな典型的な悪役ではなく均整の取れたキャラクターになったと思うからね。

――ブレインに関して最も好きなところと、最も嫌いなところは?

彼の持つ鋭い機知は気に入っている。僕は、人間はその発言によって評価されると考えているから。(企画・製作総指揮の)ロブ・トーマスとダイアン・ルッジェロ=ライトはブレインに素晴らしいセリフを書いてくれるんだ。仕事をしに行って、ああいうことを言えるのは本当に楽しい。服装も好きだね。彼はなかなか素敵なスタイルで決めてるからね。嫌いなところはないな。嫌いなところがあったりしたら、自分のキャラクターを非難してしまうことになるからね。演じているキャラクターを非難することなんかできないよ。

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――先程、典型的な悪役の話が出ましたが、あなた自身は悪役にキャストされることが多いですよね? ああいう役にキャストされた際、その人となりはすでに脚本に書き込まれているのですか?

どうだろうね。そういう質問はよくされるけど、答えるのは難しい。僕は、幸運にも愛すべき嫌われ者を演じてきた。殴りたいのか、一緒にビールでも飲みたいのか、迷うような人間だ。僕の言わんとしてること、わかるかな? 僕はお母さん子なんだけど、母は世界で一番優しいような人なので、僕はその優しさの一部を受け継いだのだと思う。だから、僕が酷いことをしていても、そこには少しだけ優しさが見えたりするんじゃないかな。これまでに演じたシーンの中には「母がすごく嫌がるだろうな。こんなの見たくもないだろうな」と考えたものもあったよ。

――お母様はご覧になるんですか?

とても見せられないような一部のシーンは早送りしたり、時には目をつぶったりしているよ。『iゾンビ』を僕らは一緒に見るんだけど、「就寝時間直前に見るものだから、悪夢を見ちゃうのよ。ドラマの一部を頭の中まで引きずっちゃうのよね」って言われるんだ。

――あなた自身が役のせいで悪夢を見たりしたことはありますか?

いいや、『iゾンビ』はゾンビ・コメディ・ロマンチック・ドラマという楽しい番組だからね。過去にも悪夢を見たことはないな。いや、実を言うと...本作に出ている友達のことで最近、ある夢を見た。名前は言わないけど、彼が次のエピソードで殺されると告げられたという鮮明な夢だったよ。その日は丸一日仕事があるのに、彼はそれを知ったばかりで、僕は「クソッ」って気分になるという内容の夢だった。幸いにも正夢ではなかったけど、そんな夢を見たなんてことが信じられなかったよ。

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――あなたのキャラクターを、恐ろしくもありながら同時にチャーミングであるように演じるのは難しいですか?

こうなると、もう僕は恐ろしいことにフォーカスを当てているみたいな感じだね(笑) そういうのはすべて脚本に書き込まれているんだ。チャーミングなところも、身の毛がよだつようなところも、恐ろしいところもね。それを演じるのは難しいことではないよ。

――あなたはオレゴン生まれなので、バンクーバーの生活に難なくなじめたのでは?

うん。太平洋岸北西部の気候で育ったから、天気の面ではとても簡単に順応できた。でもオレゴンに18年間住んだ後、ロサンゼルスで16年間暮らしたから、身体はロサンゼルスの熱気に順応してしまったんだ。また母親の例を持ち出すけど、僕は母の血行を受け継いだので、すぐ寒くなってしまう。手で温かいカップを持つだけのために、温かい飲み物をオーダーすることもあるんだ。

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――ブレインに関するファンからの反応で、最も予期しなかったものは?

何だろうなあ。twitterとかでみんなの反応は読んでいて、「あなたのことは大嫌いだけど死んでほしくない」みたいなことはよく言われるね。

そうそう、ローズ・マクアイヴァーが演じるリヴのボーイフレンドだったローウェルをブレインが殺したエピソードが放映された直後、僕がヒューストンのコンベンションに参加したら、「ブラッドリー・ジェームズってなんてハンサムなのかしら。そんなブラッドリー演じるローウェルを殺したあなたなんて大嫌い。彼は素晴らしい頬骨を持っていてすごく美しいのに」なんて言われちゃってさ。僕は"じゃあ、どうするって言うんだよ? 僕を殺すとか?"って思ったね。その後、僕はブラッドリーの広報係みたいになっちゃって、「彼は順調にやっているよ。『オーメン』っていう新番組の主役だから。彼は大丈夫だから。もっと見られるから」なんて言ったりしてたよ。

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――ゾンビに惹かれる人が多いのはなぜだと思われますか?

本当のことはわからないけど、モンスタージャンルみたいな映画は周期的に作られているよね。僕の子ども時代には、大好きなヴァンパイア映画の一つである『ロストボーイ』や、ゲイリー・オールドマンの『ドラキュラ』があったけど、その後はヴァンパイア作品をあまり見なくなった。ヴァンパイアには常に惹きつけられるものがある。

ゾンビについてはわからないけど...僕は『28日後...』がゾンビジャンルを復活させたと考えているんだ。実は、僕も『ゾンビ処刑人』(原題:『The Revenant』)というゾンビ映画に出たことがあるんだ。たぶん3人ぐらいしか観ていない作品だと思うけど、同名の別の作品(『レヴェナント:蘇りし者』。原題が同じ『The Revenant』)よりずっと良い映画だよ。...あとは言うまでもなく、『ウォーキング・デッド』がゾンビものの大量出現の理由だろうね。やれやれ、僕はなんでさっきみたいなことを言ったんだろうね。『ウォーキング・デッド』がその理由だよ。

――その『ウォーキング・デッド』と同じく本作もコミックが原作ですが、大まかな設定を参考にしているだけなので、「スーパーマン」や「バットマン」のように長い歴史を持ち、誰もが知るキャラクターよりも製作上で自由があるのでは?

そうだね、僕らの場合、すでに有名な作品に束縛されているようなことはない。原作のコンセプトだけをテンプレートのように使い、その後は僕ら独自のものを作り上げたんだ。確実にそこには自由があるけど、原作の熱烈なファンを無視してはいないから、脚本執筆の部屋では「それは間違ってる」とか「それはデタラメだ」といった指摘が飛び交ってるよ。

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――ロブ・トーマスとの仕事はいかがですか?

彼のことなんてどうでもいいから話したくないな。というのは冗談で、ロブは素晴らしいね。僕はずっと『ヴェロニカ・マーズ』『Party Down(原題)』といった彼の作品のファンだったから、一緒に仕事ができて大喜びしてるよ。ダイアンも素晴らしい。彼ら二人は、いい意味で双頭の怪物のような存在なんだ。

――本作の脚本を読んで最も驚いたこと、あるいは最もショッキングだったことは?

第2シーズン終盤のエピソード、詳細を話すことはできないけど、あれは見る人に衝撃を与えるだろうね。撮影していてもすごく不愉快だったから。

ほかには、「よくネットワークの審査を通ったな」と思うような言葉を見つけて驚くこともある。かなり先鋭的な会話があったりするんだ。本作は米CWの番組の中では先鋭的な作品だと思う。どの回の脚本にも4つか5つは「え、そんなこと、言っちゃってもいいんだ?」と思うセリフがあるから。あと、流血度もね。僕らに許されている流血の量って結構すごいんだ。例えば、ブレインが誘拐したホームレスの子の頭を肉挽き器の中に入れていくシーン。エピソードのエンディングに、フェイスシールドを装着した僕が彼の頭を肉挽き器に押し入れて、血が飛び散ったところで画面が暗転して、「Created by Rob Thomas」というクレジットが出る。あれはかなり陰惨だったね。

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――ラヴィ役のラフル・コーリは「バンクーバーが大好きなのでカナダ人になる」とジョークを言ってました。あなたもここバンクーバーに落ち着いてもいいという気持ちにさせられましたか?

彼はカナダが大好きだからね。でも彼だけでなく僕らみんな、カナダが大好きなんだ。僕もカナダのどこにでも住めるとしたら、バンクーバーを選ぶな。西海岸育ちの僕としては、オレゴン、ロサンゼルス、バンクーバーと、しっかり筋が通っているしね。ロッキー山脈から東側のものは、何も信用しないんだ(笑)

――ファンとの遭遇で思い出深いものはありますか?

僕はコンベンションに行くから、ファンと遭遇したことは何度となくあるよ。コンベンションで世界中を回ったから素敵な交流もあった。自分が仕事としてやっていること、自分が好きでやっていることが、いかにほかの人の心を動かしているか、彼らが自分に会えていかにワクワクしているかを目にするのは、とにかく素晴らしい。

ファンからは、パンティなんかももらったことがある。ちょっとショックだったけどね。彼女自身のパンティをくれたのか、僕が身に着けるためのプレゼントだったのかわからなくて、いまだに謎を解こうとしているんだ(笑)

<『iゾンビ』インタビューリレー>
【1】ローズ・マクアイヴァー(オリヴィア・"リヴ"・ムーア役)「毎週毎週食べる脳みそについて考えてるの」
【2】ロバート・バックリー(メイジャー・リリーホワイト役)「ゾンビ対策? 電池とガムテープをたくさん用意してメイン州に行くことだ」
【3】ラフル・コーリ(ラヴィ・チャクラバーティ役)「ラヴィにはダースベイダーのようにはなってほしくない」
【4】マルコム・グッドウィン(クライヴ・バビノー役)「ジョークを言わないのは実はすごく難しいんだ」

『iゾンビ<セカンド・シーズン>』は、ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントからDVDリリース中。
公式サイトはこちら

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Photo:『iゾンビ<セカンド・シーズン>』
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