『ポルダーク』の人気脚本家が贈るホームドラマ『Age Before Beauty』 中年の危機を迎えた女性たちの行方は...?

『Age Before Beauty(原題)』は、7月から英BBCで放送中の全6話のミニシリーズ。マンチェスターの美容サロンで働く四姉妹が、中年ならではの問題と向き合いながら生きる姿がテンポ良く綴られる作品だ。

■美容サロンに集う四姉妹とその家族の"中年の危機"

18年間、家事や子育てに汗を流してきたベル(ポリー・ウォーカー)は、地元マンチェスターに戻り、家族が経営するビューティサロン「ミラーベル」を引き継ぐことになる。もともとベルが20代で開いた店だが、出産を機に家族に預け、今では経営危機に陥っていた。

店を支えるのは、日焼け肌メイクの名手である母をはじめ、美容の腕を持つ個性的な妹たち。ベルの2歳下、45歳で独身の次女ティナ(リサ・ライリー)はタトゥーアーティスト。40歳の三女リーン(ケリー・ハリソン)はネイリストで、夫テディ(ロブソン・グリーン)はベルの良き相談相手でもある。四女ハイジ(ヴィッキー・マイヤーズ)は美容整形のとりこで、アンチエイジングの知識を活かしてメイクを担当。35歳のシングルマザーで、サッカー選手との再婚と、9歳の娘をミスコンで優勝させる夢を抱いている。

ベルと夫ウェズリー(ジェームズ・マーレイ)は双子の子どもたちが大学に進み、夫婦として次のステージに入ったところ。ベルは故郷でのサロン運営に打ち込もうと考えるが、そんな矢先、夫が20代のフィットネス・トレーナーと不倫していることが判明する――。

■見ごたえのある演技と堅実な脚本に評価

「ミニスカートは25歳まで」「35歳になったらビキニはNG」「40代にロングヘアは似合わない」――といった劇中で飛び交う女性への無遠慮な言葉は、イギリスの女性が実際に気に病む問題でもある。本作の見どころは、年齢やライフステージの変化に翻弄されがちな女性の悲喜こもごもをリアルに描いているという点。彼女たちが、家族や仕事、健康など外見以外の問題にも右往左往しながら心のありようを変えていく姿が注目ポイントだ。

英Guardian紙もここに着目し、加齢による性的魅力が男女で違うととらえられがちな現実を指摘。美容産業への鋭い風刺を望む人にとっては期待外れかもしれないが、実力派俳優・脚本家による堅実な作劇が楽しめると評価する。

脚本家デビー・ホースフィールドの過去作『Cutting It(原題)』『風の勇士 ポルダーク』と比べる向きもある。16年前に放送された前者は『Age Before Beauty』と同じくマンチェスターの美容業界が舞台で、近年の美容技術の発展を踏まえ、三世代の女性の価値観を物語に活かしたと脚本家は語っている。視聴者も美容ドラマとしてのアップデートに着目しており、序盤で登場した『Cutting It』のパロディシーンはSNSで話題となった。

そして後者は2015年から放送されている歴史ドラマで、イギリスでは近年、『高慢と偏見』に次ぐ国民的な人気を誇っている。英Telegraphは、『Age Before Beauty』が『ポルダーク』以上に視聴者を熱狂させるだろうと見ており、群像劇の名手である脚本家が今回も多彩な役柄の物語を同時展開する戦術だと予測した。

『Age Before Beauty』は英BBCにて7月31日より放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:ポリー・ウォーカー
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