【完全版】『ホームランド』好きがハマる確率100パーセント!? スパイドラマの傑作『ジ・アメリカンズ　極秘潜入スパイ』血湧き肉躍る類似点

2018年9月2日 2022年9月30日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

レーガン政権下、再び激化する米ソ冷戦を背景に、ワシントンDC近郊に潜伏するソ連のスパイ夫婦の活動を追ったサスペンスドラマ『ジ・アメリカンズ　極秘潜入スパイ』。米FXチャンネルで6シーズンにわたり放送された本作は、同じくスパイ作品として日本でも人気を博す『HOMELAND／ホームランド』と双璧をなすドラマとして注目を集めている。誰が味方で、誰が敵なのか。何が真実で、何が陰謀なのか...。息詰まる攻防戦を展開する両作は、まさに視聴者を釘付けにする要素が満載！　その血湧き肉躍る類似点をご紹介しよう。

『ジ・アメリカンズ』は私生活がリアリティを生んだ?! 夫婦の葛藤ドラマ！町山智浩さんインタビュー

レーガン政権下、再び激化する米ソ冷戦を背景に、アメリカ人夫婦としてワシントンD.C.に潜伏するソ連のスパイ、フィリップ（マシュー・リス）とエリザベス（ケリー・ラッセル）の二人を軸とし任務遂行と心の葛藤を描き、米FXチャンネルで6シーズンにわたって放送されたスパイ・サスペンスドラマ『ジ・アメリカンズ　...

■リアルなタイトルバックが示す歴史的背景

まずは、タイトルバックのオープニング映像。湾岸戦争に端を発し、2001年9月11日の同時多発テロに繋がる脅威、そしてその悲劇を予見できなかったCIA特殊部員の苦悩を交錯させながら物語が展開する『ホームランド』に対して、『ジ・アメリカンズ』のタイトルバックは1960年代から1980年代へと新たな展開を見せる冷戦時代の米ソ両国を対比させながら激しい攻防戦の期待を煽る。時代の違いはあるが、両作とも歴代大統領の緊迫した姿や核爆発、テロの惨劇など、実際の衝撃的ニュース映像をコラージュさせながら、見る者に「これは実際に起きた事件を背景にした"リアルなスパイ戦"である」ことを示している。

■米ソのスパイ組織を中心とした対立軸

『ホームランド』はCIA対テロ組織の攻防、『ジ・アメリカンズ』はKGB対FBIの水面下の激しい戦いと、いずれもスパイ組織を中心とした対立軸をバックボーンに、主人公が優れた能力を発揮し、危機迫る状況に立ち向かう。

さらに、敵あるいは敵の可能性がある人間が「近しい存在」であるところも類似点の一つ。『ホームランド』では、テロ撲滅に執念を燃やすCIA特殊部員が、アルカーイダでの捕虜生活で敵に寝返った可能性のある元仲間の米海兵隊員と対峙する。一方『ジ・アメリカンズ』は、ソ連から送り込まれ、米国人夫婦になりすましたKGBの男女スパイに悲運とも言える試練が。なんと、最も警戒しなければならないソ連スパイ担当のFBI捜査官が隣引っ越してくることで緊張感が走る。

■スパイといえども感情を持った人間

スパイ＝頭脳明晰＆冷静沈着、何があっても動揺しないというイメージがあるが、両作は、スパイも感情を持った人間であることを情感豊かに描いている。そして、その感情によって生まれた隙こそが、新たな事件をどんどん生み出していく。

躁うつ病を患いながらも、9.11を阻止できなかった自責の念からテロ撲滅に異常なほどの執念を燃やす『ホームランド』の主人公・CIA特殊部員キャリー（クレア・デインズ）は、鋭い直感をキープするため薬物治療を拒み続けた結果、上司や仲間、家族をも翻弄し、唯一理解を示す容疑者の元海軍隊員ブロディ（ダミアン・ルイス）と禁断の恋に落ちていく。

一見、キャリーよりもクールな『ジ・アメリカンズ』のKGB夫婦、フィリップ（マシュー・リス）とエリザベス（ケリー・ラッセル）もまた、揺れ動く。米国の暮らしに馴染みすぎて寝返りをほのめかす夫、国家の命令さえも歯止めにならない殺された仲間への復讐心、両親がソ連のスパイと知らない子供たちや長年騙し続けてきた友人への罪悪感、そして偽夫婦に芽生えるスパイ計画を越えた真実の愛...。スパイとしてはミステイクだが、人間味溢れる行動が観る者の胸に突き刺さるのだ。

『ホームランド』も『ジ・アメリカンズ』も、任務遂行を中心としたハラハラ、ドキドキのスパイ作品であることは間違いない。巧みに仕掛けられた敵の罠、政府の陰謀、内部の裏切り、壮絶なカーチェイス＆銃撃戦、爆破シーンも映画並みの迫力だ。嘘発見器やスマホ、パソコンを駆使しデータ解析といったハイテク化した『ホームランド』。変装（成りすまし）やハニートラップ、盗聴など、ローテク時代が舞台の『ジ・アメリカンズ』では、工夫を凝らしたスパイの技にも目を奪われる。

ただ、両作が他のスパイドラマと一線を画す一番の要因は、正義や使命という大義名分を越えた、家族の絆、男女の愛、友情、復讐、嫉妬、憧れなど、個人に芽生える感情が国家を揺るがす引き金にもなり、また、最悪の事態を回避するストッパーにもなり得る物語の素晴らしさではないだろうか。見比べてみると、類似点に共感するとともに、双方の時代背景や敵対関係によって生まれる独特の世界観にハマること請け合いだ。