『ビッグバン★セオリー』のスピンオフ『Young Sheldon』 シェルドン少年の可愛さに注目!

9月24日(月)に米CBSで始まるシーズン12で幕を閉じることが決定している大ヒットコメディ『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』に、前日譚が登場した。スピンオフ作品『Young Sheldon(原題)』は、本編で主役を張る超天才物理学者シェルドンの少年時代を描いた作品で、今年5月に大好評のうちにシーズン1の放送を終え、本家と同日、9月24日(月)からシーズン2をスタートさせる。社会常識に疎いシェルドンの性分はそのままに、スピンオフならではのドラマ寄りのスタイルに挑戦しているシリーズだ。

■9歳にして天才、そして9歳にして生意気
少年時代のシェルドン(イアン・アーミテイジ)は、電車のおもちゃが好きなただの無邪気な子どものように思える。しかしその実態は、9歳にして高校に編入したという天才少年だ。将来の頭脳明晰な学者の片鱗をすでに感じさせる。

ただし残念なことに、社会常識のなさも本編のシェルドンとそっくりそのまま。家族での食事中に高校生の兄をサル呼ばわりし、学校では実力不足の教師をモノマネでからかう。他の生徒との関係にも、どこかぎこちなさが漂う。女生徒の校則違反を指摘するシーンでは、ブラウスが薄手だからブラジャーが透けて見える、と何とも明け透けな発言。卓越した頭脳を持ちつつも、世間の常識に疎い少年が巻き起こすコメディシリーズだ。

■大人びた少年がのぞかせる可愛らしさ
いつも周囲を見下したようなシェルドン少年だが、ふとした拍子に幼さを感じさせることも。米Varietyはそのギャップに注目し、高校転入にまつわるエピソードを紹介する。飛び級で兄と同じ高校に入学したまでは良かったものの、校内を歩く大柄な生徒たちに緊張気味。また、ガラスケース内の剥製に怯えるという可愛らしさを見せる。シェルドン役を務めるのは、『ビッグ・リトル・ライズ 〜セレブママたちの憂うつ〜』のジギー役で知られるイアン。10歳の若さだが、時に傲慢、時にナイーブなシェルドンの心理を驚くほど巧妙に表現している。

変わり者のシェルドンに愛情を注ぐ家族のおかげもあって、本編での主人公よりもさらに可愛らしいキャラクターになっている、と米Entertainment Weeklyは述べている。想像よりもずっと無害なジョークが続き、まるでシェルドンの母親が得意とするジャガイモ料理のように、安全・無害な作品な作品になっているとの評価だ。

■本編とは違うスタイルに挑戦
シリーズはスピンオフという位置付けでありながら、あえて本編とは異なる雰囲気作りにチャレンジしている。観客の不自然な笑い声もなく、キャラクターのオタク気質をからかうこともない。人をからかった後のシェルドンの決まり文句「バジンガ!」も聞かれないと述べているが、もしかすると最終話で彼の生涯初の「バジンガ」を聞けるのでは、とEntertainment Weeklyは期待する。

撮影手法の違いを指摘するのはVariety。マルチカメラでなくシングルカメラにしたのは賢明な判断だったと評価している。マルチカメラとは、セットと正対するように複数のカメラを配置し、一気に撮影する手法。シットコムに多用される手法であり、引きの画で舞台を観ているような印象をもたらす。12シーズンに及ぶ本編は、マルチカメラのシットコムとしては最も息の長い作品だが、スピンオフではあえてこの方式と決別。仮に本作でこの形式を採り入れた場合、気難しい天才少年のシェルドンが周囲に皮肉を連発するスタイルになったと予想され、観ていておそらく刺々しい気持ちになってしまっただろう、とVarietyは指摘する。一方、本作が採用するシングルカメラは、セット内にカメラが入り込み、各キャラクターの視点から見た主観映像をふんだんに取り入れることのできる手法だ。コメディと家族ドラマを掛け合わせた本作では、ドラマ性が際立つ後者を採用して正解だった、と同メディアは評価している。

人気シリーズのスピンオフながら独自のスタイルに挑戦する『Young Sheldon』シーズン2と、終わるのが名残惜しい大ヒットコメディ『ビッグバン★セオリー~ギークなボクらの恋愛法則』の最終シーズンは、CBSにて、今秋9月24日(月)から放送スタート。(海外ドラマNAVI)

Photo:『Young Sheldon』
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