米Lifetimeで9月9日(日)より放送中の『YOU -君がすべて-』は、古書店で芽生えた恋が恐怖のストーキング体験へと発展するサイコ・スリラー。店主の青年ジョーを『ゴシップガール』ダン役のペン・バッジリーが、聡明な客の女性ベックを『ワンス・アポン・ア・タイム』アナ役のエリザベス・ライルが演じる。
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(※本記事は、同シリーズのネタバレを含みますのでご注意ください)
■古本屋で一目惚れ
ある静かな夜、ジョーが営むニューヨークの古書店を、見目麗しい女性ベックが訪れる。店内に足を踏み入れたその瞬間から、運命を感じる二人。実は以前、地下鉄の線路に転落したベックをホームに居合わせたジョーが救っており、書店で運命の再会となったのだ。
しかし美しい女性は、ときとして興味を引き過ぎるもの。ジョーはネット上で執拗に彼女の情報を集め始め、ついには夜に外出したベックの後をつけるなど、物理的なストーキング行為に出る。もう少し、あと少しだけ彼女を知りたいという想いが、行動を徐々にエスカレートさせる。SNSの投稿を片っ端から読み漁ったり、カーテンが開いたままになっているマンションの部屋を覗き込んだりを繰り返すジョーに、良心の呵責を感じる様子は見えない。
表面上は好青年のジョーはベックとのデートを重ね、徐々に恋人の間柄に。体目当てでいまだに姿を見せる元カレのベンジー(ルー・テイラー・プッチ)という障害も乗り越え、すべては順調に行くように思えた。さて、めっきり顔を見せなくなったベンジーだが、そういえばジョーの営む古書店には防音で鍵付きの地下室が...。
■純愛と紙一重
ロマンチックなラブストーリーだと思わせておきながら、青年のストーカー気質が徐々に明かされてゆく本作。米IndieWireは、温厚だと思われた夫に妻の殺害疑惑が湧き起こる『ゴーン・ガール』や、会社副社長の青年が実は殺人鬼という『アメリカン・サイコ』を彷彿とさせると指摘。愛情とストーキングの区別がつかないジョーを見ていると、愛と執着は紙一重だとひしひしと感じてしまう。女性の全てを知ってなお愛するという設定は、少し味付けを変えれば最高のラブストーリーに仕立てることもできたが、あえてそうしなかった点がユニーク、と同メディアは讃える。
主人公ジョーについて米Washington Postは、逮捕寸前のストーカー魔だと断言。友人と食事に出たベックをつけ回し、わずかなチャンスから彼女の携帯を入手する。しかし、メッセージのやり取りを追ってゆくと、ベックの友人が自分の悪態を吐いていることが明らかに。ショックを受けるも反省の色はなく、交際の邪魔になるものは徹底的に排除しようと決意を新たにするばかり。絶え間なく注がれるジョーの歪んだ愛情が、背筋をゾクゾクとさせてくれる。
■一途な恋からほど遠く
好青年の恐ろしい一面が明かされるだけでも意外性十分だが、本作はそれ以外にも次から次へとどんでん返しを繰り出してくる。まるで昼メロのようなどんでん返しの嵐でデコレーションしている、とIndieWireは紹介。エピソード単位ではなく、1話のなかのツイストだけを切り取っても話として成立するほど面白く、中毒性の強いドラマだと述べている。ベック役のエリザベスは、ディズニー・プリンセスのような外見を持ちつつ、欠点のある生身の人間像を好演。惹き込まれるようなストーリーをさらに魅力的にしている。
実は純真無垢な子羊のように思えるベックも、油断ならない存在。話数を追うごとにその本性が露わになるとWashington Postは紹介している。可憐な女性かと思いきや、利己的に人々を操り、ネットを活用して策略を繰り広げていることが明らかになる。ストーカーと被害者という構図が一転する瞬間だ。
理想的なラブストーリーの裏側を知ることができてしまう『YOU -君がすべて-』は、米Lifetimeで放送中。日本では、今年Netflixにて配信予定。(海外ドラマNAVI)
Photo:
ペン・バッジリー (C) NYKC
エリザベス・ライル (C) NYPV