ポルノ映画界で夢を追うアイリーン、その行方は? 『DEUCE/ポルノストリート in NY』シーズン2

2017年のシーズン1が好評を博したドラマ『DEUCE/ポルノストリート in NY』にシーズン2が登場。9月9日(日)から米HBOでの放送が始まった。70年代ニューヨークの街角で客を取っていた娼婦のアイリーン(マギー・ギレンホール)が、強い意思のもとで自身と歓楽街の未来を切り拓いてゆく、過激なシーン満載のオトナ向け群像劇だ。

■あれから5年、変わりゆく繁華街で

NY43番外の一角、デュースと呼ばれる地区。寝床としてダンボールが広げられ、食べ物を漁ったゴミ袋があちこちに散らばるこの一帯は、ドラッグ、売春、賭け事の盛んな歓楽街として知られる。1972年に娼婦として街頭に立っていたアイリーンは、かねてから思い描いていた野望を実現。前シーズンではポルノ女優への鞍替えを果たした。

それから数年、今期の世界では、デュース地区の状況にも変化が。売春は下火となりつつあり、今や多くの売春婦たちがより良い働き口としてポルノ映画への出演を目指す時代になっている。成功する者が出る一方、折しも訪れたドラッグブームに呑み込まれ、身を持ち崩す者も。運命が元娼婦たちの明暗を分かつなか、デュースの状況を改革する野心的なプロジェクトを立ち上げるため、アイリーンはスポンサー探しに乗り出す。

■アイリーンの野心

ドラマは腐敗した警官や風俗街のバーテンダーなどを巻き込んだ群像劇の形式で綴られるが、やはり注目は主人公のアイリーン。作中で彼女は、ポルノ監督のハーヴィー(デヴィッド・クラムホルツ)の指示の下で撮影に臨むと同時に、風俗業界を良くするために自身のオリジナル企画を立ち上げる。快楽のためだけでなく、人々が最後まで観たくなるようなストーリー性のある作品を仕上げることが目標、と米IndieWireは彼女の遠大な計画を紹介。

"オトナ向けの赤ずきんちゃん"、と米Entertainment Weeklyが例えるその映画企画は、実はアイリーン自身の身の上がモデル。少女が道に迷い暴行を受けるという筋書きで、これまで彼女が経験してきた苦難を人々に訴えかける好機となる。不況の足音が近づき、歓楽街を重苦しい空気が包むなか、彼女のプロジェクトが元売春婦たちの希望の光となる。

■マギーの離れ業

アイリーン役のマギーは、逆境に負けない強い意志を持った主人公を熱演。過去の出演作と比べても、本作のパフォーマンスは全く別のレベルにある、とIndieWireは絶賛。不意に辛辣な仕打ちを受けるシーンでは、顔をわずかに動かし、はるか遠くから相手を一瞥。さりげない仕草ながら、その印象的な演技には感服だ。今シーズンはまさに彼女のシーズンだと同メディアは述べ、オープニングの数シーンを観ただけでも確信できるだろう、とマギーの演技を讃えている。

ゴージャスな映像が続く2分間のオープニングシーンには、Entertainment Weeklyも注目。薄汚れた歩道から華やかなディスコへと繋がる一連のショットは、まるで前作で売春をして毎日を生き延びていたアイリーンが、影響力ある映画監督として成功するまでの軌跡を暗示するかのようで、見応えのある仕上がりとなっている。

演技派女優マギーの魅せる『DEUCE/ポルノストリート in NY』シーズン2は、Amazon Prime Videoにて配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:マギー・ギレンホール(『DEUCE/ポルノストリート in NY』)
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