実際にあった政治家のスキャンダルを豪華キャストで映画化した『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』が10月21日(日)WOWOWプライムにて放送される(第1話無料放送)。同作に出演するベン・ウィショーについてご紹介しよう。
英国出身の名優は多いが、若手世代でその演技力を称賛される一人がベンだ。2004年の舞台でハムレットという難役を23歳の若さで演じきって高い評価を集めると、その演技を観たトム・ティクヴァ監督に抜擢され、2006年の映画『パフューム ある人殺しの物語』に主演。ベストセラー小説の映画化で、ある香りに取り憑かれ、少女たちを殺してその身体から抽出した香りで究極の香水を作ろうとする主人公を怪演してみせた。その際には共演者でアカデミー賞主演男優賞に2度輝いたダスティン・ホフマン(『クレイマー、クレイマー』『レインマン』)にも演技を称賛された。また、2012年からは大ヒットシリーズ『007』でジェームズ・ボンドを支えるQ役に起用されている。
線の細いベンは一見、普通の若者だが、その風貌のままで演技力によって浮浪者から国王、世界的アーティスト、実在の作家、熱意あふれるジャーナリストまで、実に様々な役を演じ分ける。子どもの頃は非常にシャイで、目立たないよう周囲に溶け込むのが常だったという経験が、カメレオン俳優の誕生につながったのかもしれない。
そのように自己を消す一方、これまでに演じてきたキャラクターの多くは面白いことに、秘められた、もしくは失われた一種の真実を追い求める。自らの存在を認めてほしいという願望の現れとも言えるそうした姿勢が、ハマリ役につながっているのだ。特に『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』でのベンは、庶民に生まれついたノーマンとして、自身の権利や自らの存在を何度もアピールする。同性愛が禁じられていた時代に密かに交際していた政治家ジェレミー・ソープと別れた後、就職もままならない状況に陥ったノーマンは、ソープが自分との関係に蓋をして生きていこうとするのとは逆に、二人の関係を周囲に訴え、誰かから黙るよう脅されると、その声をいっそう強める。のちにノーマンを殺そうとしたとして裁判にかけられたソープが、無罪になったもののスキャンダルで政治家人生を終えた一方、声なき者という立場を脱して自分の存在が認められたノーマンはある意味で勝者なのだ。
ベンの存在感あふれる演技が見どころの『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』は、10月21日(日)WOWOWプライムにて放送。特集ページでは21日までの期間限定で第1話無料配信を行っているのでそちらもお見逃しなく。(海外ドラマNAVI)
Photo:『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』
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