風刺溢れる犯罪コメディ・モキュメンタリー(フィクションをあたかも事実のようにドキュメンタリー風に描く手法)のNetflixオリジナルドラマ『アメリカを荒らす者たち』がシーズン2をもって打ち切りとなることが明らかになった。米The Hollywood Reporterなど複数のメディアが報じている。
現地時間10月26日(金)、配信元であるNetflixは「『アメリカを荒らす者たち』はシーズン3で戻ってくることはありません。Netflixに革新的なコメディをもたらしてくれたクリエイター、脚本家、キャストやスタッフのみなさん、そしてユニークで型破りなユーモアを受け入れてくださったファンや批評家のみなさんに心から感謝します」との声明を発表した。
2017年9月に配信されたシーズン1で物語の舞台となったのはアメリカのハノーバー高校。ある日、駐車場に停められていた教員の車に卑猥な落書きが描かれる事件が発生。落書きの常習犯であるディランが真っ先に容疑者として挙げられるが、彼が無実を訴えたことで放送研究会のピーターが立ち上がり、真犯人を追求していくという展開。続くシーズン2は翌年2018年9月に配信スタートし、舞台をワシントン州ベルビューの名門カトリック高校に移す。初めて手掛けたドキュメンタリーが成功を収めた後、新しいネタを探していたピーターとサムは、セント・バーナディン高校で発生した不愉快極まりない事件に狙いを定める。全校生徒の大部分が学食でレモネード飲んだとたんに下痢を起こし、トイレに間に合わない生徒があちこちにお漏らしするという集団おもらし事件を描く。
本作シーズン1は、主要キャストがあまり有名というわけでもなく、表立った宣伝もしていないにも関わらず、配信されるや否や話題となり、全米批評サイトRotten Tomatoesで98%という高い評価を批評家から得た。続くシーズン2の評価も97%を維持。一般視聴者からの評価も91%と高い数字だ。米IndieWireは、本作が扱うのは単なる高校生のいたずらではなく、SNSやプライバシーの流出、希薄な友人関係などの問題であり、共感だけでなく危機感を持って観ることができ、自然と物語に引き込まれるのだと指摘する。
Netflixでのシーズン更新は幕を下ろされた形になるが、この評価の高い作品に対して既に複数のところからシーズン3製作の打診を受けていることを、製作会社のCBS TV Studiosが認めている。そして嬉しいことに、クリエイターのトニー・ヤセンダとダン・ペローによると、まだ初期段階ではあるものの、具体的に話も進んでいるとのことだ。米Vanity Fairは関係筋からの話として、今回のキャンセルは視聴率云々というよりも権利関連によるものが大きいと伝え、製作会社であるCBSのストリーミングサービス、CBS All Accessでの配信可能性をにおわせる。
Netflixは先日、『Marvel アイアン・フィスト』と『Marvel ルーク・ケイジ』の打ち切りも発表しているが、こちらは2019年に開始するディズニーの新配信サービスでシーズン更新が期待されており、『アメリカを荒らす者たち』も今後の動向に注目していきたい。
『アメリカを荒らす者たち』シーズン1と2はNetflixにて配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:Netflixオリジナルドラマ『アメリカを荒らす者たち』