YouTube Premium『オリジン』は宇宙版『LOST』? 孤立した宇宙船で目覚め...

日本でもサービスが始まったYouTubeの有料版サービス「YouTube Premium」。広告なしの動画視聴やスマホでのバックグラウンド再生など様々な特典が付随しており、オリジナルドラマの提供もその一つ。11月中旬に公開された『オリジン(原題:Origin)』は、乗り捨てられた宇宙船に取り残された男女のサバイバル生活を追うシリーズ。日本語字幕付きの本シリーズは、サービス購読者以外にも10話中2話までが無料公開されている。

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■5光年先への移住 しかしトラブルに見舞われ...

東京でヤクザをしていた過去を捨てるため、他の惑星への移住を決意した青年シュン(セン・ミツジ)。だが宇宙船内でコールド・スリープになったはずが、到着前にひと気のない船内で目覚めてしまう。船内を探索するうちに、同じく睡眠から覚めた元ボディーガードのラナ(ナタリア・テナ)に出会う。他の人物と合流するうちグループは十数名になるが、搭乗していた乗組員を含め、大部分の人々の姿が見当たらない。

やがて、自分たちは置き去りにされ、そして船は宇宙空間に廃棄されたことが判明する。さらに悪いことに、エイリアンと思しき影が宇宙船内部で目撃され...。彼らの目先の課題は、自分たちの生命の維持。なぜ見捨てられたのかという疑問を胸に、信頼関係のない者同士でのサバイバル生活を強いられることになる。

■丹念な人物描写に東京のシーンが

本シリーズはSF作品でありながら、キャラクターの過去を丹念に描写している点が特徴的。米Screen Rantは、主人公の一人シュンを好感度の高い人物だと賞賛。多くのキャストが揃う中、兄弟を裏切った元ヤクザという印象的かつその心情に親しみを抱けるキャラクターになっていると述べている。他に、トラウマを抱えたボディーガードというラナの存在も興味深い。作中でシュンとラナは生死を分かつ判断を幾度となく迫られるが、このようにしっかりとした背景が語られているため、彼らの選択の一つひとつが非常に際立つものになっている、と続けて伝えている。

米Vergeも、特に冒頭の2話はシュンとラナを掘り下げた回であると論評。シュンの過去を語るフラッシュバックには、東京の景色が登場する。東京の洗練されたビジュアルは、映画『ブレード・ランナー』を彷彿とさせ、本作の印象的な視覚効果を象徴するものだと賞賛している。東京の景観やシュンの過去など、日本的な要素にも注目したい一本。

■『LOST』に次ぐ人気となるか

Screen Rantは、フラッシュバックを多用するスタイルはミステリー群像劇の『LOST』にも通じるものがあり、大胆に影響を受けたシリーズだと分析している。本作では宇宙船に多数の男女が取り残されており、1話ごとにそのうちの数名に焦点を当てる形で進行。フラッシュバックで一人ひとりの過去を紹介するのは、まさに『LOST』を彷彿とさせる手法。続けて、次世代の『LOST』とまでは行かずとも、SFの良さを探求した作品だと論評している。YouTube Premiumのシリーズに期待する視聴者を十分に満足させることだろう、と評価している。

同様にVergeも、ロングランのミステリ・シリーズである『LOST』を意識した作品だと指摘している。ただし、頻繁なフラッシュバックの挿入のためか、若干展開がスローに感じられる面もあると述べている。『LOST』とはまた違ったペース感が『オリジン』には求められている。他のプラットフォームでも豊富な作品が揃うなか、移り気な視聴者を繋ぎ留められるかが正念場となるだろうと締めている。

SFサバイバル『オリジン』は、YouTube Premiumで配信中。日本語字幕の設定も可能。(海外ドラマNAVI)

Photo:ナタリア・テナ
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