環境汚染などで少子化が深刻化した近未来を舞台に、妊娠できる女性は子どもを産むためだけに生かされるという世界を描いた衝撃的作『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。同作は、カナダ文学界の巨匠マーガレット・アトウッドが1985年に発表したベストセラー同名小説「侍女の物語」のドラマ版。その続編が30年以上もの時を超えて刊行されることが明らかになった。米Varietyなど複数のメディアが報じている。
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「The Testaments(原題)」というタイトルのこの続編は2019年9月に発表される見通しで、「侍女の物語」から約15年後の世界が舞台となり、語り手は3名の女性だという。
「侍女の物語」は、カナダ最高峰の文学賞である総督文学賞をはじめ数々の賞を受賞し、1990年にはナターシャ・リチャードソン(『ネル』)主演で映画化もされている。800万部以上売れた同小説は、20世紀のベストセラーの1冊にもなっている。
30年以上も前に、現在のアメリカを彷彿させるような事態を予期していたかのような内容を考えていたことに驚きの声が多く上がっているが、最近では『ハンドメイズ・テイル』のあの真っ赤なマントと白い帽子の衣装で、反トランプ政権を唱え抗議活動をする女性たちの姿がニュースになったこともある。
2017年のVarietyのイベントで、アトウッドは「「侍女の物語」は、もはや非現実的な小説ではありません。すでにこの物語のような世界が始まっているのです。ですからあの赤い衣装が今の世の中で、ある種のシンボルになったのです。小説の世界が現実になりすぎていますね」と語っていた。
アトウッドの広報によると、今になって続編を執筆しようとした理由は、「熱烈なファンのためだけではなく、小説の世界と酷似したアメリカの現実社会との奇妙な対比をもっと表現したかったから」だという。
アトウッドは、「読者の皆様、ギレアド共和国について、皆さんが私に答えて欲しかったこと全てがこの本のインスピレーションになっています。正確に言うと、ほぼ全てですね! もう一つインスピレーションがあって、それは、我々が今生きている世界そのものです」とも述べた。また、アトウッドが新たに執筆した小説「MaddAddam」3部作をTVシリーズにする動きがあることも報じられている。
すでにシーズン3の製作が決まっている『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』だが、物語がその続編と関係してくるのかは未定。Huluにてシーズン1&2ともに独占配信中。
(海外ドラマNAVI)
『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
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